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第六話 バレンタイン

 二月十四日、それは女の子にとって大切な日のひとつ。


 ―バレンタインだ。


 「バレンタイン」っていう団体が由来と聞くが、本当なんだろうか。


 でも、元々は男性が女性に花束を贈る日だったというのは事実だ。


 今でもフィリピンとかではそんな感じらしい。


 でも、なんで逆に私たちがあげる方になったんだろう。


 ・・・ていうか、なんでチョコになったんだろう。


 まあ、そんなことはいい。


 とにかく明日はバレンタインだ。


 実際、私は男子にあげたことなどない。


 ・・・いや、一回?か二回はあるかも。


 まあ義理だろうけど。

 

 でも、95%女子同士の友チョコだ。


 本命とかわかんないしー。


 でも今年は違う。


 琴香にもあげるんだ。


 琴香からしたら友チョコのつもりになるかもしれないけど、私的には「超」本命だ。


 お菓子作りは好きなので、一応母にきくところもあるが、ほぼ一人で作る。


 え?友達と?


 友達なんか巻き込んだら色々迷惑だし大変だし自分のペースでできないし・・・で面倒じゃん。


 幼なじみの佳留子とだって一回しかやったことない。


 それも小一か小二の頃くらい。


 っていうか、歳がそもそもそんなんじゃないし。


 あと、時代を考えろ、時代を。


 世間で一緒にバレンタインのチョコ作ってる女子なんて現代(?)ではそうそういないよ。


 そんなことはいいから、とにかくバレンタインだ。


 今回は何にしようかな・・・。


 いつもいろんな形のチョコとか、チョコクッキーとか、カップケーキなど、割と定番な物を作っている。


 今年は、カップケーキかな・・・。


 でもなんか工夫が欲しい。


 うーん。


 そうだ!


 型をハートにすれば!


 どうせ男子にあげるわけじゃないんだし。


 あと、琴香への思いとしてハート・・・ふふ。


 ってなわけで、カップケーキを作る。


 小麦粉やホットケーキミックス、ココアやチョコチップなどを入れて、混ぜて、さっき買ってきたハート型のカップケーキの型にそれを流し込み、オーブンで焼く。


 その間に、洗い物をして、 


 出来上がったら、少し冷ます。


 出来た!


 あとは、琴香、佳留子、静子、美穂、三月、麻美、園華・・・・・・

 

 と、一人ずつにまとめる。


 いよいよ明日だ!


 少し、楽しみ・・・


 翌日ー


 私は、こっそりとリュックの奥の方にチョコを入れて、学校へ行った。


 本当は持ってきちゃだめだから、こっそりと…ね。


 それでも、毎年袋とかでバレちゃう人もいるから、先生も大変だ。


 私も気を付けなきゃ!


 朝から、話はバレンタインの話で持ちきりだ。


 男子なんか、「俺、誰から何個貰えるかな!」とか言ってる奴もいるし。


 でも、隣のクラスには、天才のイケメンのモテモテくんもいるからなあ。


 そいつはたっくさんもらうだろう。


 私?


 私は・・・そんなやつには、も、もちろん興味ない・・・はず!


 私は琴香一本!


 麻美が、こそっと言ってくる。


 「チョコ、持ってきた?」

 「え?あっうん…」

 「やっぱー!だよねだよねー」


  っと、端から見たらただのいつもの光景にしか見えない女子の会話をする。


 「麻美は何作ったの-?」

 「私は・・・あとであげるから、お楽しみってことでっ!」

 「そっかー!」

 「あと、今回は隣のクラスのイケメン君にも一個あげようかなーって思っててっ!」

 「へえー!そーなのー!」

 「咲美はどうするの?」

 「私は・・・仲いい女子だけでいいかなー」

 「えー!いいのー?それで」

 「だって・・・別にあげる男子の相手とか居ないし・・・」

 

 でも、予備的な感じで、余分にもう一個持ってきている。

 

 「琴香は?」

 「え?も、もちろん!」

 「やっぱ~最近仲いいもんね」

 「そうだよねー」

 「佳留子!」


 話に突然入り込んできた。


 「咲美は、琴香のことが・・・」

 「おっとそれ以上は!」

 「大事な人だからねー」

 「ま、まあ・・・そういうこと・・・ね?」


 そして、六時間の授業が終わり、やっとこさ放課後に入った。


 今日はなんだか一日が長く感じた。


 「みんなー!俺に何個でもチョコあげていいぞー!」


 クラスの、自称イケメンのあんまりもてていない男子がチョコ募集をする。


 後日聞いてみたら、そいつはどっかの義理と母以外、誰にも貰えなかったそうだ。


 私は、園華や三月、麻美や佳留子、静子や美穂など、仲いい女子にあらかた渡してから、琴香の所に向かう。


 「成島さん、ちょっといい?」

 「え?」


 いきなり、同じクラスの、松木君が声をかけてきた。


 「その・・・あの・・・えっと・・・」

 

 なんかこれ告白っぽい流れなんだが・・・。


 「スカート、折れてて、凄い短くなっているんだけど・・・先生にそろそろ注意されそうだよ。大丈夫?」

 「え?え?えええええ!」


 何やこの変態!と思ったが、本当の話で、私自身、気づいていなかったので、凄い助かった。


 「あ、ありがとう・・・」

 「あれ、怒らないの?」

 「だって・・・ちゃんと言ってくれたし・・・」

 「・・・そっか!じゃあ、また明日!」


 え?もしかしてこの人に惚れてる?


 とりあえずっ!


 「まって!」

 「ん?」

 「これ・・・さっきのお礼・・・ありがとうね!」


 予備のチョコを渡してしまった・・・。


 「じゃねー」

 「ばいばーい!」


 ・・・じゃなくて!


 琴香!


 琴香に渡さなきゃ!


 靴はあるから、まだ居るはず!


 そしたら、琴香が出てきた。


 「あ!咲美いた!一緒に帰ろう!」

 「おー琴香ー!一緒にかーえろ!」


 そして、一緒に歩き出す。


 しばらく無言の下校が続く。


 先に口を開いたのは、琴香だ。


 「咲ちゃん。今日バレンタインだからチョコ持ってきたんだけど・・・」

 「あっ私も!」

 「そう?じゃあ、交換しよ!」

 「うん!」


 そうして、交換をした。


 琴香は、オーソドックスな、小さないろんな形のチョコを作ってくれていた。


 琴香は、私のカップケーキを見て、

 

 「わあー、かわいいー!すっごく嬉しい!ありがとう!」


 と言ってくれた!


 私もとっても嬉しい!


 ありがとう!


 そうして、お互い赤くあぶられた頰を見ながら、笑い合った。

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