第四話―2 琴香が受けた告白~琴香のきもち~
私は、保健委員の臨時の委員会に行った。
夕方、辺りは少し暗くなってきたころに、それは終わった。
下駄箱に行く。
そうすると、下駄箱の中には一通の手紙があった。
“教室に来てください。M.A.”
M.A.?
名字がMで、名前がAか・・・。
名前がA・・・麻美?
松原麻美?
M.A.!
そうかもしれない!
何かあったのかな・・・。
少しそう考え、急いで教室に戻った。
しかし、教室にあったのは、男子の面影だった。
誰?
教室に入ってみると・・・そこには水上がいた。
水上・・・明良・・・。
そっか!M.A.!
そっちがあったか・・・。
ならこっちは早く帰りたいなあ。
「よ、渡川」
水上は窓の外を見ていた。
水上が私に近づいてくる。
「来たけど・・・なんか用事?」
「その・・・えっと・・・」
「なんだよ」
「渡川、実は・・・その・・・俺・・・」
「何?」
「えっと・・・あの・・・」
「早くしてよ。時間ないんだから」
「好き」
え!いきなり告白ですかー!
ちょっとこっちも心の準備ができてなかったー!
どう言おうかな・・・。
他に好きな人がいれば、そう言い切れるんだけど・・・。
好きな人?
私に好きな人なんて・・・
いた。
咲ちゃん。
好きだから、こんなにくっつきたいんだ。
好きだから、こんなに話したいんだ。
何か・・・涙が出てきた。
泣いてる?
「どう・・・かな?」
「ごめん!私、他に好きな人がいて!」
あ、咲ちゃん!ドアのところにいる!
あ、聞かれてた・・・。
「すまん!」
水上はそう言って、教室から出ていった。
ちょっと涙を拭って、笑顔になる。
「あっ咲ちゃん!どうしたの?」
「ちょっと・・・忘れ物しちゃって・・・」
やっぱり、これは咲ちゃんへの想いなのかな・・・。
咲ちゃんを見るとドキドキしちゃう・・・。
思いを伝えたい!
「じゃ、じゃあねー!また明日!」
「ちょっと待って!」
「え?」
「咲ちゃん、ちょっと来て!」
「?」
「あの・・・その・・・実は・・・その・・・私・・・」
いや・・・やっぱり・・・言えない・・・。
こんなに大変なんだ・・・。
水上、すごい勇気出したはずなのに・・・ちょっと悪かったなあ。
やっぱり・・・どうにかして言い逃れたいな・・・。
あっ咲ちゃんのブレザーに何か白いものが・・・。
・・・それだ!
「いや!ブレザーにお米ついてるよ!」
「え、あ、ほんとだ!ありがとう!」
もうちょっと話したい!
「あっそうだ!明日朝集会だから、早く来ないと!」
「そうだったね!ありがとー」
「どーいたしまして」
ちょっと私もぎこちなくなっている・・・。
もしかして・・・気持ち読まれてる?
ああー。ちょっと気持ちを整理したい!
「一緒に帰ろ!琴香!」
「ごめん、私もうちょっと残るわ」
「そっか・・・じゃあねー」
「うん、ばいばーい」
ああ、天使だ・・・。
別れたくない・・・。
待って・・・でも別れなきゃいけないんだ・・・。
惜しいなあ。
そして、教室内で一人、たそがれの中で考えていた。
水上・・・ごめん。
ちょっと粗末に扱ってしまったなあ。
それにしても、私は咲ちゃん・・・いや、咲美のことが好きなのだろうか・・・。
こういうの、百合っていうんだよね。
窓の下で、咲美が通り過ぎる。
ああ・・・かわいいな・・・。
最近は積極的に普通に話してくれるから、ありがたい。
だめだ・・・平静にしないと・・・。
“咲ちゃん”って呼び始めたのも、こういう感情からなのかな・・・。
ああー、もうわかんない!
とりあえず私も帰ろう!
そうだ!もともとは早く帰りたかったんだ!
そして、私は日が沈んだ住宅地に向かって走っていった。
今度は琴香視点です。
「・・・」が相変わらず多いですが、引き続き気にせずお読みください。