第四話―1 琴香が受けた告白~咲美のきもち~
修学旅行が終わり、私は琴香のことがさらに気になってきた。
そんな時だった。
ある日の放課後、私は忘れ物を取りに行った。
辺りはもう薄暗くなっていた。
靴を履き替え、教室へ急ぐ。
そしたら、教室に入ろうとしたところ、声が中から聞こえてきた。
「渡川・・・実は・・・その・・・俺・・・」
「何?」
水上明良が琴香と二人きりで話している。
「えっと・・・あの・・・」
「早くしてよ。時間ないんだから」
「好き」
はっ!
水上くん、琴香に・・・告った!?
なんだか自然と涙が出てきた。
何でだろう・・・何で?
そうすると、琴香も泣き出していた。
二人とも少し黙り込んでしまった。
もう少し話を聞く。
「どう・・・かな?」
「ごめん!私、他に好きな人がいて!」
はっ!
他に・・・好きな・・・人?
「すまん!」
そう言って、水上君は逆側のドアから出ていった。
「あっ咲ちゃん!どうしたの?」
「ちょっと・・・忘れ物しちゃって・・・」
テヘっと少し舌を出して言う。
「じゃ、じゃあねー!また明日!」
「ちょっと待って!」
「え?」
「咲ちゃん、ちょっと来て!」
「?」
「あの・・・その・・・実は・・・その・・・私・・・」
少し沈黙がある。
「いや!ブレザーにお米ついてるよ!」
「え、あ、ほんとだ!ありがとう!」
え!?何!?突然!
まあでも、私も琴香と少し近づけて、普通に接することができるようになってきた。
「あっそうだ!明日朝集会だから、早く来ないと!」
「そうだったね!ありがとー」
「どーいたしまして」
いつもより・・・まあ、いつものことなんだけど、会話がぎこちない。
でも、なんか・・・いつもは私の方がぎこちないのに、今日は琴香がおかしい。
水上くんのことがあるからかなあ。
「一緒に帰ろ!琴香!」
「ごめん、私もうちょっと残るわ」
「そっか・・・じゃあねー」
「うん、ばいばーい」
琴香の顔は少し寂しそうだった。
そして、一人で帰る。
水上くん、大丈夫かな・・・もしかして、私のせい?
いやいや、琴香が振ってたんだもん。
でも、琴香の「他に好きな人がい」るっていうのは誰だろう・・・。
ああ、私の恋はやはり叶わぬものなのか!
それとも、その言葉は言い逃れに使った?
ああー!もうわかんない!
とりあえず、一回忘れよう!
そうして、急いで家に帰った。
もう、外はずいぶん暗かったが、私の心は少し明るくなっていた。
咲美視点です。