第二話 席替え
今日の六時間目は、席替えだ。
私の学年は、くじ引きで席を決める。
班をくじで引いて、大体の席を決めるシステムだ。
着々とくじが引かれ、席が決まっていく。
私の番になった。
私は、五班だった。
一~四班は前側、五、六班は後ろ側になる。
私は、残っていた席に入れる。
だが、その席は、渡川さんの隣だったのだ!
このクラスは、女子の方が比率が多いので、女子が隣同士になることも珍しくない。
さっき少し気になっていた、渡川さんの隣になるというまさかの偶然!
やばい、やばい、やばい。
緊張のせいか、少し胸がドキドキしている。
そうこうしているうちに、移動する時間になった。
改めて見ると、やはり優しそうで、いい人そうだ。
「よろしくね」
そう言われて、ドギマギしてしまった。
「よ、よろしくね。あ、あはははは」
これじゃ慌てているのがバレバレだ。
「フフ・・・咲ちゃんって面白いね」
咲ちゃん!
今までほとんど呼ばれてこなかったあだ名!
それをいきなり言われるなんて!
あわあわしながらしゃべっていた。
「ええっ、そっそうかな」
「渡川ー、お前、係何にするー?」
同じ班になった班長の清水くんが言ってくる。
「私はー、じゃあ、どうしようかな。咲ちゃんはどうする?」
「え、ええ、わ、わたしは、何でもいいよー」
「どうしたんだ、成島」
「い、いや、な~んで~もな~いよ~」
うまくごまかす。
落ち着け、落ち着け、成島咲美。
私は普通の女子中学生。
別に何もやましいところはないはずだ。
「じゃあ私は回収係にするよ」
「じゃあ成島は給食係な」
「う、うん・・・」
なんだろう、この気持ち・・・。
まあ、大丈夫だろう。
今日はいろんな思いがいっぱいある一日であった。