2015年4月8日
2015年4月8日 水曜日
4月なのに雪ってなんだよ!
寒いよ!! ずっと雨も降ってるし。
対面式も部活紹介も寒いってことしか記憶にない。
U太に部活誘われたけど、ヤバそうだから早めにちゃんとしたのに入ろう。
以上、2015年4月8日の日記より抜擢
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入学式の翌日。
この日、ボク達新入生は対面式という行事で二年生、三年生の先輩達と正式に顔を合わせる。
その後、半日かけて行われた部活紹介。
色々な部活があり、さすが高校は違うな。と思った記憶があるけど、一つ一つの内容については全く覚えていない。
これはボクだけじゃなくて、記憶にない新入生は他にも一杯いるはずだ。
その理由は単純明快。前日に続いて、いや、前日よりも遥かに寒かったからだ。
4月なのに雪がちらつく日。
その日に、寒い体育館でやっても頭になんて入ってこない。
部活紹介の内容なんかより、吐く息が白かったことの方がよっぽど強く印象に残っている。
全く覚えていないって書いたけど、こうやって振り返っていて思い出したのが、水泳部。
あの日にブーメランの水着一枚で登場したのを見て、絶対に入らないって心に決めたことが甦ってきた。
特にやりたかった部活があった訳じゃないので、体験期間にゆっくりと決める。もしくは無理に入らなくても良いかな。って考えている時にボクを部活に勧誘してきた奴がいた。
それは同じ中学校だったU太だ。
A子とは違って、U太は中学校から同じ学校になった奴で、まあまあ仲も良かった。
因みに、同じ中学校から同じ高校に入ったのは、ボクとA子とU太の三人だけ。
自分でいうのもなんだが、ボクらが行った高校は、ボクらの住んでいる地域では上の方のレベルで、現役で東大に行く人もいるような高校だった。
その高校に同じ中学校から行ったのが三人なのが多いのか少ないのかは分からないけれど、兎に角、その内の一人に、部活紹介が終わって寒い体育館から教室へと戻る途中で声を掛けられた。
「□□! (ボクの下の名前) もう部活決めた? まだなら良い部活あるけどどう?」
普通なら「何部?」なんて返事をすると思うけど、ボクは、咄嗟に「軟式覗いてみるつもり」と返した。
U太の口から出てきた良い部活。
同じ中学校だった奴なら、間違いなく警戒する言葉だ。
どうせろくなことにならない。ボクは、瞬時に軟式野球部に興味があるようなことを言い、事故に巻き込まれないように努めた。
中学校の時、野球をやっていたボクを知っているからか、U太はしつこくは勧誘せずに、気が向いたら声を掛けろって笑いながら手を上げて去って行く。
その後、同じクラスと思われる女の子達を勧誘しだすのをボクは後ろから眺める。その時、声を掛けられた女の子の顔が少しだけうっとりとしているのがイメージとして良く記憶に残っている。
中学時代、U太は結構モテた。あの特異な性格を持っていても結構モテたのだ。
ボクには俄には信じられないけど、それは一重に、U太の見た目と話し方のせいだ。
良くマンガで出てきそうな、インテリの生徒会長。
ボクが誰かにU太を紹介するなら間違いなくそう説明する。
身長も180センチ位あるし、手足も長くスタイルが良い。
一見、クールというか近寄りにくいような何処か冷たい見た目だけど、実際に話してみると物凄い物腰が柔らかい。
本人いわく、人見知りで、あまり馴染みがないとどうしても敬語になるとのことだが、U太の事をよく知らない先輩や後輩なんかからは絶大な人気があった。
付き合いが長くなるに連れて、その人気は落ちて行くんだけど、この日はまだ入学から二日。
ボクは、声を掛けられた女の子達を心配しながらも、上手く回避出来てホッとしたのを良く覚えている。
当時の日記でも面倒臭そうに書いていたU太の部活。
この時のボクは、この部活が本当に良い部活となるとは、夢にも思わなかった。