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2015年4月1日~7日

2015年4月1日 水曜日 くもり


○○(担任の先生の名前)から貰った日記。


日記なんて何を書けば良いか分かんないし、どうすれば良いのかも分かんない。


5年も続く気がしないけど、まあ、折角だから今日からスタート!


以上、2015年4月1日の日記より(名前のみ変更)


◆◇◆◇◆◇


ボクの日記はこの日から始まった。


中学校の卒業式に担任の先生から貰った、分厚く黒い日記。


卒業式の次の日から書いていた同級生が多かったけど、ボクは、この4月1日からスタートさせた。


特に何か意味があるわけじゃないけど、単に3月までは中学生で、4月からは高校生という一つ上の段階。


その事への憧れや期待みたいなものがあったのかもしれないが、何か新しく始めるならこの日しかないと決めていたのだ。


いざ書き始めると何を書けば良いか分からない。


誰に読ませるわけでもないのに、なんか照れくさくて、たった三行の文を書くのに色々と悩んだ記憶がある。


それに最初のうちは、出来るだけ綺麗に書こうと、自分の字が気にくわないと、何回も消して書き直していた。


日記の所々にその形跡が見てとれる。


そんな初々しい日記は、7日に向かえる高校の入学式の日まで、見返すとかなり恥ずかしい内容が綴られていた。


◇◆◇◆◇◆


2015年4月7日 火曜日 雨


昨日は晴れてて、暑かったのに、今日は4月とは思えない位寒かった。


着ていく服をどうしょうかかなり悩んだけど、言われた通り黒のスーツにしといて良かった。


何人か私服がいたけど、あれは凄かった。


特に赤い髪のやつ。


友達になるかどうかはけど、彼らはボクに出来ないことをやってる。


折角、高校生になったんだから今まで出来なかった事にもチャレンジしよう。


以上、2015年4月7日の日記より(一部改変)



◆◇◆◇◆◇



日記を見直して思い出したけど、ボクらの入学式の日は4月だっていうのに、ビックリする位寒かった。


雨が降っていたこともあると思うけど、それだけじゃなく、明らかに変な天気だった。


なんたって、翌日の4月8日は雪が降ったのだ。


4月に雪! って8日の日記には大きく書かれていた。


翌日に雪が降るような、異常な環境で、ボク達は只でさえ冷える体育館で震えながら、入学式ではお決まりの偉い人達の有難い話を耳にする。


隣に座っていた女の子が、コートを膝掛けにしているのを見て羨ましく思ったことが、こうやって振り返ってみると頭の中にハッキリと甦ってきた。


ボクはコートは羽織っておらず、ただじっと身を縮めて耐えることしか出来なかったのだ。


ただ早く終わることだけを祈った入学式で、ボクの記憶に残っているのは、ちょっと遠い席に座っている私服の男子生徒だった。


私服といっても、ボクらが入学した高校は、比較的珍しい公立の私服高校。


当然、制服はなく、何を着て登校しても問題ないし、髪の色だって好きにして良かった。


実際、入学式に参加した新入生のうち半分位は髪を染めていた。


ただ、入学式ということもあってか、今思えば、割りと控え目な色が多かった気がする。


ただ、自由な服装といっても、入学式の服装は「黒いスーツなどを推奨」のようなことが入学案内に記載されていたのを読んだ記憶がある。


そんな中で、異彩を放つ私服。しかも赤い髪をワックスでバシッと決め、真っ赤なアウターを着た男子生徒。


悪そうな奴だけど、かなり整った顔立ちをしていた。確かに周りからは浮いていたけど、ボクはそんな彼を、少しだけ格好いいと思いながら眺めていた。


格好いいけど、高校に入学した当時のボクには真似出来ないし、大学生になった今のボクでも無理だろう。


自分に出来ない事が出来る彼がどこか眩しく、日記にもあるように、ボクも高校生になったんだから、自分も何かしよう。


今まで出来なかったこと、やれなかったことに挑戦しよう。と当時のボクは彼を見て勝手に盛り上がって高校生活の目標を決めていた。


日記を見返すまで忘れていたけれど、改めて振り返ると、この時のこの目標があったからこそ、ボクは彼女と付き合うことが出来たのだ。


ボクと彼女のキューピッドは赤い髪で赤いアウターを着ていた。


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