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2018年9月13日

2018年9月13日 木曜日


昼間、A子から電話があった。


A子も彼女のことが気になっているらしく、会って少し話をしないか誘われ、近所の喫茶店で待ち合わせをした。


そこで、彼氏の癖に何で何にも知らないの! と至極もっともな事を言われた。


知らないものは知らない。むしろボクが聞きたい位だ。という言葉が喉元まできたが、口から出たのは「ごめん」という言葉だった。


我ながら、余りにも情けなくて自分が嫌になった。


以上、2018年9月13日の日記より(一部改変)


◇◆◇◆◇◆


この日は、11日に徹夜して、12日も一日中、パソコンに向かっていたせいで、昼前まで寝てしまった。


起きた時間が二時限の途中というかもう終わる時間だったので、このまま午後の講義もサボろう決め、いつまでもベットでウダウダとしていた。


そんな時、知らない電話番号からの着信が煩く鳴り響く。


普段なら、知らない電話番号からの電話には、まず間違いなく出ないのだけど、流石にこの時は、何か出なければいけない気がして、電話に出た。


知らない電話番号の相手はA子。


今度は、ボクの母から直接ボクの電話番号を聞いたとのこと。


……やはり、ボクの周りには個人情報という概念はないみたいだ。


まあ、それはいいとして、A子がボクに電話してきたのは、もちろん彼女のことについて。


伝言ゲームのキーパーソンとして活躍したA子だが、断片的にしか情報がなく、されとて、彼女の母親には連絡しにくいみたいで、様子を聞くことが出来ない。


それで、ボクに矛先が向いたのだという。


会って少し話さないかとの、内容の電話だったけど、あれは一歩間違えれば、脅迫か恫喝という表現が正しい電話だった。


まあ、大学は行く気がおきず、サボろうとしてたし、A子は小学校からの同級生で家は近所。


正直、面倒臭いという気持ちと、断った時の事を比較して、結局は近所の喫茶店で待ち合わせをすることにした。


高校を卒業して以来、約半年振りにA子と会った。大学生になっても、A子は何一つ変わっていなかったが、長い付き合いの中で初めて見る真面目な顔をしていた。


席に着くやいなや、ボクはスキャンダルでワイドショーに出ている芸能人ばりに質問の嵐をA子から浴びせられたのだ。


そこでボクは大きな問題に直面した。


ボクはA子の質問にどうやって答えて良いのか分からなかったのだ。


A子も友達として、彼女を心配する気持ちは分かるし、彼女の現状を知りたい気持ちも良く分かる。


ただ、A子はこの時点で彼女が事故か何かで入院しているらしい。という程度の情報しかしらなかったのだ。


そのA子に対して、彼女や彼女の両親が今回の事について、ボクの口から話すのをどう思うのか。


首を吊ったということを、言って良いものか?


ベットでウダウダしてた時に、少し考えれば予想出来たであろう難問にボクは全く気が付かなかった。


ノコノコと喫茶店までやって来て、初めて選択を間違えたことが判明する。


人間は考える動物らしいが、ボクみたいな馬鹿は考えない。


そんな馬鹿が、少しでも人間に近付けるよう、愚かな事を口にしないよう、ボクは出来るだけ当たり障りの無い言葉を選んで、彼女は事故に合って入院しており、今意識が無いみたいだと言うことだけをA子に伝えのだ。


その後に来る、なんの事故? 何が原因なの? 何で意識が無いの? などの質問には良く分からないの一点張りを貫いた。


ボクの余りにもハッキリとしない返答に、A子は「あんた何で彼氏の癖に何にも知らないの?」「○○(彼女)が心配じゃないの?」と尤もな言葉を、険しい顔でボクにぶつけてきた。


そんなことはボクの方が聞きたいよ! 何で彼女はボクに何にも言ってくれなかったんだよ! そんな言葉が喉まででかけたが、実際にボクが口にしたのは


「ごめん」


と一言だけ。それも俯きながら、とても小さな言葉だった。



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