2017年9月9日
2017年9月9日 土曜日 晴れ
高校最後の文化祭も1日目終了~
それにしても意外と反応無くて良かった。
○○(彼女の名前)にバレたら怒られるかも知れないけど、この件に関してはホントに良かった。
以上、2017年9月9日の日記より抜粋
◆◇◆◇◆◇
高校生活最後の文化祭。大多数の人が楽しみにしているであろうこのイベントを当時のボクは心のそこから中止になって欲しいと祈っていた。
同級生で、もう目の前に迫ったセンター試験の申込みに焦って『文化祭なんかして遊んでる場合じゃない』って吠えてた奴がいたけど、ボクはそんな高尚な理由で中止を祈っていたのではない。
と言っても、ボクが中止を望んだ理由を簡単に言えば、自業自得。この一言に尽きる。
彼女の話を上の空で聞いて、内容も良く分からない依頼を安請け合いしたことによって、ボクは高校最後の文化祭を楽しむことが出来なくなった。
ボクが彼女からお願いされたのは、文芸部が発行する部誌への作品の投稿。
今までの部誌……ボクが知っているのは昨年と一昨年の二年分だけだが……には文芸部の部員の作品しか載っていなかった。
だけど、彼女曰く、五年毎に発行される特別号には文芸部の部員以外の一般の生徒に広く作品を募集して作製をしているのだという。
そして、その五年がこの年。彼女が部長を努める2017年であった。
ボクが知らないだけで、実はこの年の4月頃から作品募集のポスターが掲載されていたらしい。
まあ、文芸部の部長の彼氏が知らなかったのだから、他の生徒が認識している筈もないと、口にこそ出さなかったがボクはそう思っていた。
部長会議の場で彼女が協力を呼び掛けたので、何個かの部活は、部活紹介みたいな感じで実績発表みたいな文章を提出してくれたらしいが、その他の一般の生徒からの投稿は殆ど無い状況だった。
そんな所へのまさかの参戦。
今まで課題として出される体験学習の作文や読書感想文位しか書いたこともないボクにはハッキリ言って荷が重い。
彼女からは出来れば小説と言われたけど、書いたこともなければ、その書き方すら分からない。
そんな完全にお手上げ状態のボクに、更なる追い討ちをかける彼女。
「実はかなり押してて、締め切りまでそんな時間無いんだ……」
部誌は基本的には文芸部の部員の手作り。
コピー室を占領して、手作業で作製するから業者に依頼するのとは違い、まだ時間があるらしい。が、けして余裕が有るわけでは無いとのこと。
だからボクは、彼女から依頼を受けた翌日から一週間、受験勉強を投げ捨てて、必死に小説の様なものを書き上げた。
……内容についてはここでは書かない。
ボクの完全な黒歴史としてしっかりと封印したい。
ただ、U太とA子からは爆笑され、彼女からは「私は良いと思うよ」と何かを噛み殺したような声で感想を頂くことが出来た作品だった。
そんな物が不特定多数に配布される高校最後の文化祭。
何度も文芸部の部室の前で妨害活動をしようとしたけど、実際は恥ずかしすぎて文芸部の部室にすら近くことが出来なかった。
ただこの日、ボクに小説の事でからかってきたのはU太だけで、他の友達からは何も無かった。
この時ばかりは、彼女には悪いが、心の中で文芸部の知名度低さを喜んだのだった。
そして、この時の経験がボクが小説家になろうに作品を投稿する切っ掛けになったのだ。




