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2017年6月12日

2017年6月12日 月曜日


自分が知らないだけで、世の中には面白いものが一杯あるって改めて思った。


本だけでも誘惑が多いのに、携帯で読めるって完全にワナでしょ……


来年、受験なんだからなるべく使わないようにしよう。


以上、2017年6月12日の日記より(原文)



◆◇◆◇◆◇



彼女と付き合いだしてから約半年。


ボクらは高校三年生になり、これから控えている受験というビックイベントに向け必死に勉強していた。


ボクらの通っていた学校は、一応は進学校であるので、ほぼ全ての同級生が大学受験を予定していた。


ボクと彼女もその例に漏れず進学予定だった。


まあ、ボクと彼女って並列にしているが、彼女の希望校は日本で一番難しい大学で、ボクは私立大学が第一希望。


ボクも彼女と同じ大学を受ける予定だけれど、記念受験という意味合いの方が強い。


受験する大学には大きな格差があるけれど、お互いに受験生であることには違いなく、一生懸命に勉強しないといけないのは二人とも同じだった。


だから、ボクらは交際していたけれど、あまり頻繁に遊びには行けなかった。


大抵は学校の図書室か地域の図書館、もしくは喫茶店が主なデート場所で、参考書と問題集が邪魔な友達の様にいつもくっついてきた。


この日も、放課後に彼女が通っていた塾の近くの喫茶店で二人で勉強をしていた。


互いに一言も喋らずにただ黙々と目の前の問題を解く。


付き合いたての頃は、彼女の事が気になってボクは全く集中出来なかったけれど、この頃には慣れてきて普段通りに集中することが出来ていた。


ただ、ボクが集中して勉強出来るのは頼んだ珈琲が温くなるまでだけど、彼女は珈琲がすっかりと冷たくなるまで勉強していた。


ボクがいつも通り、一段落ついて温い珈琲を飲もうとしたら、珍しく彼女が先に顔を上げて携帯をいじっていた。


それも百面相みたいにコロコロと表情が変わる。


初めて不安そうな顔をしていたと思ったら、グッと気合いを入れた表情になり、最後はパァーっと満面の笑みになった。


どの顔も可愛いなぁ~って、ボクが見とれていたら、ふと彼女と目が合う。


「なんか楽しそうだね。何か良いことあったの?」


ボクがそう訪ねると、彼女は恥ずかしそうに少し顔を赤らめてコクりと頷く。


「ランキングが予想してたのよりとっても良かったの。今回は自信あったから……」


「そうなんだ。いっつも成績良いのに、今回は更に良かったんだ。それにしても模試の結果が携帯に送信されてくるなんて凄い塾だね」


「えっ!?」


ボクの返答に彼女は戸惑った顔をした後、赤らんだ顔がゆでダコみたいに真っ赤になっていく。


急な彼女の表情の変化に、ボクの理解が追い付かない。どうしたのかと彼女に確認したら、どうやらボク達の会話が噛み合っていなかったのだ。


ボクはてっきり塾の模試の結果が良くて、彼女が喜んでいると思っていたのだが、実際には彼女は自分が書いた小説をネットに投稿しており、そのランキングが良かったので喜んでいたのだった。


凄いね! と大きめにリアクションをした記憶があるけれど、正直いってボクにはなんのことだかサッパリと分からなかった。


この時、ボクは彼女が小説を書いているっていう事を知ってはいた。


付き合う前にも、高校の文化祭で文芸部が発行している部誌で彼女が書いた小説を読んだことがあった。


他にも文芸部で彼女が書いた文章を読んだこともある。


彼女が書く文章の内容は多岐にわたっていて、ミステリーだったり、恋愛色の強いもの、童話みたいなものもあった。


だから、彼女が小説を読むだけじゃなくて、書くことも好きだってことは知っていたけれど、ネットに投稿しているっていうことは、この日初めて知った。


それと併せて、素人が書いた小説を投稿して掲載しているウェブサイトの存在を知った。


小説家になろう


この時、ボクが彼女から教えてもらったウェブサイトで、この後、ボクの受験勉強を邪魔した非常に厄介なものだ。


そして、彼女はこのウェブサイトに小説を投稿していて、その小説は日間と月間のランキングに載っていた。


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