2016年12月12日
2016年12月12日 月曜日
金曜に答え聞かないで良かった。
めっちゃ危なかったけど、兎に角良かった。
自分の気持ちに応えてくれた○○さん(彼女の名前)に感謝しかない。
そんな○○さん(彼女の名前)を絶対に幸せに出来る男になれるように一生懸命努力しよう。
以上、2016年12月12日の日記より抜粋
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この日、ボクと彼女は正式に付き合うことになった。
先週の金曜日にボクが伝えた想いに彼女は応えてくれたのだ。
ただ、これは本当に奇跡と言っても過言ではない偶然によってもたらされた結果だった。
ざっと振り返ると、告白までの流れは大体次のようになる。
まず、木曜日、ボクは彼女に告白をしようとボクは準備はじめる。
最初に考えたのがどこで告白するか。二人きりになれて、尚且、自然に誘えるところへ彼女を連れていく必要があった。
いきなり学校の外へ誘うのも変な感じがしたので、学校の中で邪魔されずに告白出来るところを考えたら、一ヶ所が頭に浮かぶ。
それはズバリ校舎の屋上。
ボクが通っていた高校では基本的に屋上へは上がれない。
事故防止の為か分からないが、生徒が屋上へと行けないように、屋上へと繋がる扉にはしっかりと施錠がしてあった。
ただ、完全に禁止されているわけではなく、ちゃんと正式な用事があれば、教師に申請して鍵を借りられる。
まあ、屋上で告白するから貸して欲しいなんていっても、まず無理だと思うけれど。
ただ、例外として天文部には屋上の鍵のスペアが部室にあって、申請しなくても自由に使うことが出来た。
恐らくは、昔の先輩達、ちゃんと天文部として活動していた先輩達が、屋上で観測でもするために学校に問い合わせて許可をもらったのであろう。
U太が部長になってからは専らUFOを探すために屋上を使用しているから、これを正式な用事と言って良いかはボクには判断出来ないけれど、兎に角天文部のコネを使えば屋上には上がることが出来た。
なので、ボクは校舎の屋上に上がったことがないであろう彼女を屋上に上がってみないかと誘った。
彼女は屋上に上がって良いの? と少し不安がっていたので、天文部なら上がれるんだ。とボク自身は天文部じゃないことは黙ったうえで、そう説明した。
どうにか彼女を誘うことには成功したので、U太には適当な事を言って鍵を入手する。
これが前日までの下準備。あとは金曜日が晴れるのを祈るだけだった。
そして告白する当日、金曜日は朝からなんとも言えない吐き気がボクを襲い、クラスの友達に心配されるほど体調がすぐれなかった。
不安で、何回も止めようと思ったけど、高校生になって今まで出来ないことにチャレンジしようって誓ったのを思い出して、どうにか逃げ出さずに放課後をむかえた。
彼女と屋上をぐるっと回って景色を見た後、ボクは彼女に自分の気持ちを伝えた。
告白されると思っていなかったのか、彼女はとっても驚いた表情をしていた。
ボクが好きだって伝えた後、少し間があって彼女が口を開こうとした時、ボクは猛烈に嫌な予感がして彼女の言葉を遮って
「答は今じゃなくて良いから。土日で考えて月曜日に答え聞かせて」
と、何故かボクが回答を先送りしたのだ。
何でこんなことをしたのか。今思い返しても理解が出来ない。
兎に角、嫌な予感がしたとしか言いようが無かった。
ただ、結果としてはこれがスーパーファインプレー。
月曜日に屋上で、彼女の答えを聞いて、ボクはガッツポーズをして、その後の彼女の言葉で大量に冷や汗をかいた。
なんでも、彼女いわく、金曜日にボクが遮らなかったら、断ろうとしていたらしい。
彼女自身、告白なんてされた事がなく、ビックリしすぎて咄嗟に「すいません」と言おうとしたらボクが遮って、回答が月曜日になった。
時間をあけたことで、落ち着いて考えられて、ボクと付き合っても良いと思ってくれたらしい。
危うくフラれるところを免れて、どうにかボクと彼女はこの日、晴れて付き合うことになった。
この日からかなりの頻度で、ボクの日記には彼女の事と、ファインプレーの事が話題の中心として何回も書かれている。
そして、これから半年位後にボクはこの小説家になろうというサイトの存在を知ることになった。




