2016年4月14日
2016年4月14日 木曜日 雨
昨日に引き続き雨。
普段はうざったく思える雨も、不思議と心地よく感じる。
U太に改めて部活に誘われたけれど、満更悪い部活でも無い気がするし、ちょっと考えようと思う。
親友の頼みも無下にしたら悪いし。
以上、2016年4月14日の日記より(一部改変)
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自分の日記なのに、誰が書いたの? って思える様な内容だ。
まず、ボクは間違いなく雨が嫌いだ。
それは今も同じで、雨の日はテンションが下がる。
これは昔っからで、過去の日記を読み返しても、雨の日は漏れなく愚痴の様な雨に対するコメントが記されていた。
それが心地よく感じるって……
それにU太の部活が満更悪い部活でも無いって……
完全にこの時期のボクはどうかしていた。
振り返ってみると、何故かこの時期の記憶が無い。
日記を見返すまで、U太の部活を誉めていたなんて、全く覚えていなかった。
それに、いつの間にかU太が親友になっている。
……いや、まあ中学の時からの友達だけれど、親友なんて呼んだことなど皆無だったし、U太と親友って言うのは、同類と思われそうで、なんか嫌だ。
そんなU太とU太の部活、天文部について良く書いているのには理由がある。
3月末に行われた球技大会で衝撃的な印象をボクに与えた彼女に関係する。
と言っても、彼女の名誉のためにいうが、彼女が天文部だった訳ではない。
そもそも天文部は何人か居た三年生が卒業し、幽霊部員の二年生二人、後はU太だけの三人しかいなかった。
もっとも去年のうちはU太に勧誘されて入った女の子も何人か居たらしいが、U太の本性を知ったからか、一人また一人と居なくなったとのことだ。
何人かは在籍だけは残しているらしく、廃部にはギリギリなっていないが、新入部員の確保は必要不可欠だった。
そんな崖っぷちの天文部だけど、当時のボクには入部しても良いと思わせるものが一つ。
それはズバリ、天文部の部室の場所だ。
天文部だからかは分からないが、校舎の四階の一番端。校舎の中で一番見晴らしの良い所に部室があった。
廊下の突き当たりにある部屋で、校庭側と中庭側の両方を部室から眺めることが出来た。
それに、普通の生徒では上がることの出来ない校舎の屋上についても天文部だけは鍵が渡されており、自由に行き来が出来たのだ。
空を見るには最高の部室だけど、ボクにとっては中庭側の窓辺にしか興味が無かった。
そこからは隣の棟の三階、図書室の様子が良く見えた。
そして、その図書室の窓際の席が彼女の指定席だったのだ。
窓際に座る彼女を見つけたのは偶然としか表しようがない。
球技大会で彼女に一目惚れしたボクは、何気ない感じで彼女の事をクラスの女子に確認した。
そして、名前とか部活を知ったわけだが、それよりは先には進めない。
クラスも違うし、共通の友達がいるわけでもない。
話したくても話しかけられない手詰まりの状況だった。
そんな環境にやきもきしながらも、何も出来ないボクを、たまたまU太が天文部の部室に誘ったのだ。
端的に言えば勧誘だったのだけれど、全く興味がないボクは、適当に相づちをうちながら窓から景色を眺めていた時、ちょうど窓際に座る彼女を発見した。
それからボクは何かにつけて、天文部の部室で時間を潰すようになったのだった。
……自分で書いていても、気持ち悪いんだけれど、事実だから仕方がない。




