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ブルームーン ~震災悲話~  作者: 石渡正佳
第7章 復讐
81/91

81 再結成

 歌舞伎町に向かうため、大江戸線新宿駅を降りたとたん、携帯が鳴動した。液晶にニューヨークの文字が出た。

 「ああ、よかった。やっとつながったよ」プラダの声が、なんだか懐かしく聞こえた。

 「どうしました」

 「リカが死んだの。2か月入院してて、今朝逝ったの」

 「えっ」涸沼は予期せぬ事態に声を上げた。

 「交通事故なの。警察の話だと、酔っ払い運転で自爆だってけど、あたしら殺されたと思ってる。第一、霧が峰で事故なんて変よ。リカは大阪に行ってたの。それに乗ってた車も違うの」

 「あたしらって」

 「ごめん、あんたに黙ってて。実はあたしも朱雀隊の元メンバーで、リカとは古いダチなの。でも、あんたのネタはしゃべってないよ。リカを殺したのは小手山よ。だってあいつのベントレーで事故ったの。ハイウェイで、ガードレールに激突した弾みにドアが開いて、崖から転落したっていうけど不自然でしょう。だって、ベントレーよ。軽じゃないのよ。ブレーキに細工したとか、誰かに突き落とされたとかしたのよ」

 「どうしてリカさんが命を狙われるんですか」

 「なにかの口封じよ。あんたが調べてたことと関係があるかもしれない」

 「今どこですか」

 「仙台よ。あんたには教えなかったけど、リカがいない間、あたしが美神連合のママ代理だったからね。これから朱雀隊を再結成して弔い合戦をするの」

 「再結成って」

 「朱雀隊はリカをカシラにした女だけのダンプ軍団よ。美神連合朱雀隊、もともと神奈川では知られたレディース(女暴走族)よ。仙台のお店の名前はそこからとったの」

 「初めて聞きました」

 「リカが抜けて活動休止だったからね。リカはエルメス、他にはグッチ、ティファニー、ディオール、みんなてんでにブランド名を自称してるの。あたしはプラダだったってわけ」

 「弔い合戦てなにをするつもりですか」

 「ツバサプロをつぶしてやるわ。あたしら、死ぬかもわかんないから、その前にあんたに会ってリカの伝言伝えたい。死ぬ前にリカがあんたに謝っておいてって」

 「やっぱり、リカさんは美姫の友達だったんですね」

 「あんたにウソをついて悪かったって。それからね、幽霊を見たと、うわごとに言ってたの。詳しいことは会って話そうよ」

 「いいですよ」

 「あんたどこ」

 「新宿です」

 「しゃれたとこにいんのね。あんた、市役所は」

 「辞めるかも」

 「あんたを裏切った女のためにか」

 「裏切られちゃいませんよ」

 「まあいいわ。これからあたしらも店を閉めて仙台出っから。歌舞伎町二丁目にサンチャゴってバーがあっから、そこで待ってて。場所わかんなかったら立ちんぼのホストとかに聞きなよ」

 「わかりました」

 「じゃね」プラダは電話を切った。

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