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茜色の宝石箱  作者: 杠葉 湖
11月 それぞれの秋
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11月 それぞれの秋 パート5

 静寂に支配された空間。

 カチ、カチ、カチ、と秒針が時を刻む音だけが虚しくリビングに響き渡る。

「遅いな……」

 葵はイライラしながら、部屋の時計を見た。

 長針と短針は既に午後9時を指し示している。

「まったく……どこ行ったんだよ……」

 葵は開けっぱなしになっている窓の外を見た。

 外は既に闇に包まれており、その様子を窺い知ることはできない。

 まるで手を伸ばせば闇に吸いこまれそうな錯覚にさえ捕らわれる。

 この時間になっても、姫子は未だ帰ってこない。帰ってくる気配すら感じられなかった。

「この家って、こんなに広くて静かだったかな……」

 葵はポツリと呟くと、寝転んで天井を見上げた。

 騒がしい姫子の元気な姿が目の前に浮かび上がってくる。

 自分の魂を狩りに来た忌むべき存在であるはずなのに、今の葵には何故か姫子を憎むような感情が沸きあがってこなかった。

 むしろいないことによって、寂しさ、虚しさが募っていく。

「仕方ない……探しにいってくるか……」

 葵は身を起こすと、テレビのリモコンのスイッチを押した。

 テレビがついて、天気予報が映し出される。

「まずいな……」

 葵はそれをみて、表情をしかめた。

 傘マークがビッシリと表示されており、降水確率もかなり高い。

 おまけに、ところにより雷雨になると報じている。

 葵は傘を持つと、自責の念にかられながら家を出た。

「っ!!」

 途端に肌を切り裂くような冷たい風が葵に遅いかかってくる。

 まるで棘でも刺さったかのように、痛みを感じるものだった。

「はぁ……こんなになるまで意地はることないのに……」

 空を見上げると、厚い灰色の雲に覆われており、星や月が顔を覗かせることはなかった。

「まったく……世話の焼ける奴だ……」

 葵は独り言を呟くと、そのまま姫子捜索に出発した。

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