表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
茜色の宝石箱  作者: 杠葉 湖
7月 期末試験と招待状(上)
35/70

7月 期末試験と招待状(上) パート7

 いよいよ期末試験の当日がやってきた。

 これから3日間、授業は早く終わるが気を抜けない日々が続く。

「ふわぁ~……ねみー……」

 葵は机に突っ伏したまま、大きく口を開けて欠伸をした。

「まったく……これから試験だっていうのに、少しは緊張感を持ちなさいよ。それとも、もう諦めて白旗をあげてるのかしら?」

 その様子を間近で見ていた若葉が呆れてため息をつく。

「委員長はいいよなぁ……頭いいから勉強しなくっても点数取れるし」

 チラッと頭を上げた葵は、恨めしそうに若葉を見る。

「そんなことないわよ。私だってちゃんと勉強してるわよ。大体、勉強しないで点数取れるんだったら苦労しないわよ」

「そんなこと言って。点数ばっか気にしてると、いつまでたっても彼氏できないぜ?」

「余計なお世話よ。それじゃあ聞くけど、神津は今回のテスト、答案用紙真っ白で提出する勇気ある?」

「それは流石にできん……」

「まぁ、あんたには『奈緒』って言う立派な奥さんがいるから、人の彼氏を心配する余裕があるのかもしれないけど」

「だから、何回も言わせないでくれ。俺と奈緒はそんな関係じゃないっつーの」

「どうだか?だってあんた、昨日一昨日って奈緒と一緒に試験勉強したんでしょ?」

「なっ!?」

 葵は絶句した。そして上体を起こす。

「何で委員長がそのこと知ってるんだ?」

「だって神津、言ってたじゃない。土曜日の放課後奈緒と一緒に勉強するって」

「げっ!?立ち聞きしてたのか!?委員長、趣味悪いぜ」

「失礼ね。別に盗み聞きしてたわけじゃないわよ」

「それじゃあ何で知ってるんだ?」

「あんなに大きな声で喋ってれば、聞きたくなくっても聞こえるわよ」

「……ってことは……」

「痴話喧嘩するのもいいけど、もう少し場所とか考えたほうがいいと思うわよ」

 若葉は呆れながら言った。

「は、ははは……」

 葵は乾いた笑いをすると、再び机に突っ伏した。

「あれ?どうしたのアオくん?領家さんも」

 様子が気になったのか、奈緒が二人の近くへとやってくる。

「なんでもないわよ。奈緒、試験頑張りましょうね」

「う、うん……」

「あ、神津なら心配いらないわよ。誰かさんが一生懸命教えてくれた勉強の復習を、頭の中でしてる最中みたいだから」

「え、えっと……」

 奈緒は赤くなってうつむいてしまう。

「アオくん……試験頑張ろうね」

 そしてポツリと呟くと、若葉と一緒に自分の席へと戻って行った。

「ふぅ……」

 ようやく静かになると、葵はボーっと窓の外を眺めた。

「頑張るしかないんだよな……」

 そう何度も心の中で呟き、自らの気力を奮い立たせ、戦闘モードに移行する。

 そして、地獄のような3日間の試験日は風のように過ぎ去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ