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茜色の宝石箱  作者: 杠葉 湖
6月 恋の梅雨前線北上中
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6月 恋の梅雨前線北上中 パート8

 夕食も食べ終え、風呂にも入り、後は寝るだけとなった葵は、暗闇の中、ベッドにゴロンと横になりながら、ただ宙を見つめていた。

 先程姫子が言った言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返される。

『だからもし、あんたを連れてけなかった場合は、あたしの存在が消滅するだけ』

 それは、葵にとって思いがけないものであった。

「そんなこと言われてもなぁ……」

 葵ははぁ、っと大きくため息をついた。

 自分が生きようとすれば、姫子の存在を消すことになる。

 かといって姫子の存在を守ろうとすれば、自分はこの世にいないことになる。

 それは葵に突きつけられた残酷な二者択一であった。

 あんな奴、消滅しちまえばいいのに……

 姫子が来た当初の葵であったならば、間違いなくこう思っていたであろう。

 しかし今の葵には、そのようなことはまったく考えられなかった。

「一体どうしたらいいんだ……」

 葵は瞳を閉じた。

 雨の音が葵の耳に入ってくる。

 相変わらず外は雨が降り続けているようであった。

 葵はジッと、その雨の音に耳を傾けた。

 今まで混乱していた心が、少しずつ落ち着いていく。

「……そうだよな……なるようにしかならないよな……」

 葵は目を開けると、閉められたカーテンを見た。

 こうジッと考えていても仕方がない。

 こうなってしまえば、もう後はなるようにしかならないのだ。

「……俺とあいつの、二人共が助かる方法があればいいのにな……」

 葵はまるで他人事のようにボソッと呟くと、再び瞳を閉じた。

 そして、雨の音をBGMに、深い眠りへと落ちていった。

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