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茜色の宝石箱  作者: 杠葉 湖
5月 木漏れ日の公園
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5月 木漏れ日の公園 パート7

 ポッテリアに入った5人は、それぞれセットメニューを買い、ちょうど空いていた6人がけの席に座っていた。

 席の位置関係はというと、萌と鈴歌が隣同士で、その対面に葵、奈緒、姫子が座っている。

「でもよかったねアオくん。席が空いてて」

「ああ、そうだな。ま、俺って日ごろの行いがいいから」

 奈緒の言葉に葵はそっけなく答える。

「どこの口がそんなこと言ってるんだか」

 さりげなく姫子のツッコミが入った。

「……………………」

 葵は無関心を装いジュースを飲む。

 その様子を鈴歌がジーっと眺めていた。

「どうしたの鈴歌ちゃん?俺の顔に何かついてる?」

「あっ、いえ、そうじゃなくって、ちょっと先輩にお聞きしたいことがありまして……」

「俺に聞きたいこと?なんだい?」

「あの……それじゃあ聞きますけど……先輩と虹沢さんが同棲してるって、本当ですか?」

「!!」

 鈴歌の質問に、葵はジュースを吐き出しそうになった。

「ちょっと鈴歌!!『同棲』じゃなくって『同居』よ!!」

 葵の代わりに、姫子が抗議の声を上げた。

「まったく、同棲するならこんな奴じゃなくってもっと相手を選ぶわよ。ホント、失礼しちゃうわね」

 そしてぷんすか怒りながらポテトをほおばる。

「……つまり、同居してるというのは、本当だったんですね」

 姫子の迫力にタジタジになりながら、鈴歌は言葉を言い直した。

「ああ。本当だよ。まったく不本意なことではあるが」

 葵も負けじときつい言葉をいい、ハンバーガーを食べる。

 二人にはさまれる格好の奈緒は、相変わらずしょうがないなぁといった様子で苦笑していたが、向かい側に座っている二人に話しかけた。

「二人とも、ここにはよく来るの?」

「あっ、はい。ここって結構なんでもそろってますから。ね?萌」

「うん」

 鈴歌と萌は互いの顔を見て頷きあう。

「二人とも、仲がいいんだね」

「そうですよ。あたし達、大の仲良しコンビですから。……もっとも、神津先輩や紅林先輩、虹沢さんには負けちゃいますけど」

「えっ……」

「だから!!違うって言ってるでしょ!?」

 ほんのり頬を赤く染める奈緒とは対照的に、姫子は物凄いきつい視線で鈴歌を睨む。

「まったく、あたしだって好きで同居してるわけじゃないんだから!」

「ああまったくだ。俺だってこんな可愛げのない奴なんかよりも、鈴歌ちゃんや萌のような可愛い女の子と同居したかったよ」

「えっ……」

「お兄ちゃん……」

 突然の葵の言葉に、鈴歌と萌は顔を赤らめる。

 対照的に姫子の表情が、ますます険しいものになっていった。

「ちょっと……それ、どーゆー意味よ?あたしのどこが、可愛げがないって言うわけ!?」

「全部だ全部!!そーやって、すぐ逆ギレするところとかだ!!」

「うっ……」

 痛いところをつかれ、姫子は言葉につまり、ジュースをすすった。

「ふぅ……」

 勝った!!と勝利の余韻に浸りながら、葵はポテトをほおばろうとした。

「……………………」

 と、奈緒が何か物言いたそうな眼差しで葵を見つめている。

 それがなにであるか、葵はすぐに察した。

 奈緒の表情から、先程何故自分の名前が出てこなかったのか、という不満がありありと見て取れたのだ。

 葵は奈緒に話しかけた。

「お前はもうちょっと口うるさくなければいいんだけどな」

「ボク、口うるさくなんかないもん!!」

 奈緒はブスッと膨れる。

「大体、アオくんがしっかりしてれば、ボクが起こしに行ったりしてあげなくってもいいんだから」

「ええっ!?神津先輩って、紅林先輩に毎朝起こしてもらってるんですか!?」

 鈴歌が素っ頓狂な声を上げる。

「ち、違うって鈴歌ちゃん。そんなことないよ」

「そんなこと、なくないもん」

「だぁぁっ!!お前は少し黙ってろ!!」

「ふーん……そうなんですか……」

 葵と奈緒が口論を繰り広げるそばで、鈴歌は独りうんうん頷く。

「思ったよりもライバルは多そうね。萌、しっかり頑張らなくっちゃダメよ?」

 そして萌の肩をポンとたたいた。

「う、うん……」

 萌は恥ずかしそうに頷く。

 そして、そのまま和気藹々とした会話が成されるのであった。

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