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αラインより ~ ラブレター

作者: 藍色折紙

「どうも皆さま、藍色折紙と申します。短編、αラインより~ラブレターをお読みになられる方へのご案内です。この短編は会話のみで構成されており、描写文等はございません。気軽にお読みいただき、ふふっ、と笑っていただけたら幸いであります。タイトル見るとですが、これ恋愛なんですかね。いやコメディー……うーん、ジャンル的にはどうなんでしょうねぇ。ま、なにはともあれ、ごゆるりどうぞ」


「ななみっちゃん!ちょっと教えて!」

「なに、どした?ゆつぎん」

「マジ急ぎ案件発生中。ななみっちゃんのお時間をいただきたくー」

「現在時刻は午後の4時過ぎ」

「え、うん」

「雨降ってる」

「どしゃぶりだね」

「で?帰宅部の闘志あふれる私に聞きたいこととは何ぞや?」

「それがですねぇー」

「数学?それとも英語?物理?科学?家庭科?保健体育?」

「私の赤点候補をつらつらと並べるこのド畜生め」

「今日はだれに怒られてた?」

「数学の谷せんせー」

「なんて言われた?」

「なんか「睡眠学習は効果ありません」だって。科学的に根拠説明しろよなー」

「授業中爆睡決め込む根性は自業自得では?」

「知ってるよぉ!じゃなくて、勉強以外のを教えてほしいんだって」

「へぇー、何?」


「ラブレターの書き方」


「……はあっ!?」

「駄目かなぁ。書いて机に仕込んどこうかと思ってんだけど」

「あー……ゆつぎ、ゆつぎ」

「何?」

「私書いたことないんだけど」

「アドバイス、いや、書いた文面をチェックしてくれるだけでいいからこのとぉり!」

「えぇー」

「親友の頼みごとに間髪入れず嫌な顔をしておるぅ」

「雨降ってるし帰りたいんだけど」

「スイーツ奢るぜ、ななみっちゃん」

「……」

「駅前スイーツショップ『レミントン』」

「……」

「新作のエナメルチョコパウンドケーキ」

「乗った!」

「現金だぜっ、ななみっちゃん!」

「あそこのケーキセットほんと美味しいんだよねー。お手ごろ価格450えん」

「ワンコインでもらえる幸せマジハッピー」

「そうと決まればさっさと済ませよう、そうしよう。その甘ったるいお手紙を見せて」

「やー、ノリノリだぜ。ほい、これ」

「音読していい?」

「流石に外道だぜななみっちゃん」


「えー何々?"あなたを見つけて早2年。ずっと後姿を見てきました。たくましい背中に憧れ、私は今もあなたの後ろに。ほら後ろを見て。ずっと見つめる私がいる。早くお顔を見たいな。貴方が好きです。ふぉーえばーとぅーゆー"……やっべぇ!やっべぇ!」


「読むなってのに読みやがったぜ。ちょっと恥ずかしいんだけど!」

「おい、おい親友。いや親友ストーカー

「なに?」

「110案件。つか、自覚あるのか」

「インパクト重視だけど、やっぱダメかぁ」

「ラブレターとしてとかそういう問題じゃないし」

「まじかぁ、書き直しかぁ。しょーがない。書き直すか」

「なぜに渋る」

「じし」

「自信作とか言わないでね?」

「先をつぶす速度に怖さを感じるぜ」

「私は親友の怖さを知ったよ」

「まぁいいや。便箋あと一枚あるし」

「ここで書き直すの?」

「ここで書き直す」

「つか放課後の教室で書くとか見つかったらどうすんの?」

「いいんじゃね?そのまま告白としゃれこもうぜっ」

「この場にいる私が巻き込まれてる事実に返答がほしい気分なんだけど」

「どんまいっ」

「考慮されてないことにマジ遺憾の意」

「表明の速度が伊達じゃないぜ」

「やるならささとやってスイーツ食べよう」

「親友の一大事に思うとこはないのか。あ、やべ、ペン無いや。ななみっちゃん貸して?」

「え、芯きらしてボールペンしかないけど」

「いいよー」

「便箋1枚にボールペンて失敗できなくない?」

「背水の陣だぜ」

「自ら窮地に立ってるし、だれも追い込んでないし、敵いないし」

「文面の初めってどう描くんだっけ?序文?、拝啓?」

「終わりは敬具とかだっけ?」

「それ文法あってる?」

「要は想いが届きゃオッケー」

「字、これであってる?」

「書いてから聞くんじゃない。それボールペンでしょ?」

「こっち?」

「書き直すな」

「いたし……そうろう?」

「あ、ほんとに書いた」

「あーでもない、こーでもない」

「うわー、私ちょっと横向いてていい?」

「いいよ。でもなんで?」

「ドッキリって好き?」

「仕掛ける側なら」

「そういうこと」

「どういうこと」

「いいから書く書く」

「……できたっ」

「やっとか」

「んじゃ読むよ。あ、名前は秘匿さしてもらうぜ」

「あ、今度は自分から読むのね」


「"拝刑、敬。前略。このたびは、このお手紙をお読みくださりマジサンキューそうろう。おかげさまでこの恋文ラブレィターを書くにしたんですけど。〇〇マルマルさんのご厚意を頂戴したく低調…ご丁寧に?あ、ござそうろうでーす。今日か明日かその先あたりでお返事って言うのをいただきます。心して待つように。ごつごう(漢字わかんない)いい感じ?ならこっちから聞きに行くんで。あ、ござそうろうでーす。末筆(まっぴつてなに?)なんですけど、敬具(けいぐってなんだ?)いじょう!よろしく!"」


「……」

「ななみっちゃん、黙ってないでご感想」

「んー……どう思う?我が親友」

「ごった煮感すごない?」

「つか、途中で思い出したかのような"あ、ござそうろうでーす"はなんだ?」

「ありがとうてきな?」

「じゃありがとうでいいじゃん」

「あれぇ、えー、なんでこうなった?」

「想いを吐き出したら向こうが吐しゃするとか斬新すぎない?」

「言葉もでないね……あれ、これならフラれないんじゃないっ!?」

「以前の問題でしょ」

「ですよねー」

「つーかそもそも私に聞く時点で間違ってない?」

「え?なんで?」

「彼氏いないんだけど」

「いない歴?」

「いこーる年齢」

「うっそぉ!?マジで!」

「マジで」

「……か、」

「か?」

「悲しい女二人、雨降る学校でラブレターに四苦八苦」

「やめーい!暗くなるような言い方するんじゃない!私もラブレター書くみたいになってるし!」

「それだっ」

「"それ"じゃねぇし。もしそうだとしても私は誰に書くんだそれ」

「私?百合的な?」

「私そういうの範疇外なんで。そこに正座して割腹しようぜ。罪ある女子よ」

「いつの時代だよ!いまや同性愛は世界のグローバル化だぜ」

「頭痛が痛いみたいな表現しない。馬鹿っぽいぞー」

「えぇ、じゃぁ腹痛が痛い的な表現ならOK?」

「それがOKだと思う根拠どこよ。一緒だ一緒……あれ、ちょとまて!」

「なんぞ?」

「そもそも出そうとしてるラブレターはあれか!女子宛てか!」

「いんや、男子だけど」

「……う、うん?百合属性で彼氏ほしい?需要は、どこだ」

「そこだ」

「私かよ。そしてねぇよ、圧倒的なまでにないから」

「ないかぁ」

「残念がるな。しっかし、これじゃ爆弾にしかならないよ」

「あ、」

「ん?」

「当たって砕けろというのはまさに今の」

「自爆専用だから。気が付いて、そこ」

「相手も巻き込めばそこからなにか始まるかもしれないじゃん?」

「知ってる?後ろに私もいるんだけどー。いいから次」

「はーい」

「ていうか、その闇鍋ラブレターどうすんの?替えの紙ないんでしょ?」

「あるよー」

「あるって……ゆつぎん。そこあんたの席じゃないでしょ?」

「出席番号15番、鈴木だいもんじ。趣味、授業中の手紙廻し。あったー」

「あったー!て、それ人の!」

「あいついつでも使っていいって聞いてるし大丈夫!」

「あっそう……って、それルーズリーフじゃね?ランク下がってね?」

「手紙は、中身と気持ちですぜ!」

「その中身もいまんとこ問題だけどね」

「んじゃ、次の作戦考えよーぜー」

「はいはい。次はどうすんの?」

「やっぱインパクトを重視したい!」

「ん、あれ?誰か来る?」

「ほんとだ?だれ?やっべ隠せ!隠せ!」


「おい、緑野ゆつぎ、雨水ななみ。雨降ってんだ、さっさと帰れよ」


「おっ、坂下せんせだ。じゃ問題ねーや」

「問題ってなんだ?」

「……」

「雨水、今、露骨に嫌な顔したね?先生が何したってんだ」

「息した」

「たった一言に込められた悪意に涙出そうだぞ。やめろよ。リアルにきついから」

「せんせぇ、ちとこれ見て」

「なんだ緑野」

「文法あってる?」

「ラブレターか……ラブレ……おい雨水っ」

「その疑問は実に正しい」

「なんだ、俺の受け持ちは科学と物理だが、そちらの方角からのメスを入れろと?」

「ご冗談を。今更食材入れても遅いですよ」

「最初から食材で作れよ。てか、あれか。ラブレター書いてたのか」

「坂下せんせは察しがよくて助かるぜ」

「察した結果が致命傷なんだが緑野」

「えぇー。じゃせんせーアドバイスくれ。せんせー的な奴で!」

「まぁなんだ。そもそも科学、物理の俺に聞くこと自体間違ってるが……」

「やっぱ坂下じゃなぁ」

「おう雨水。ほんとに化学式でラブロマンス描き出そうか?」

「……」

「……」

「お前ら無言で黒板消しを取りに行くんじゃない。そして構えんな」

「坂下せんせー、そいで?科学的なアドバイスは?」

「いいか、緑野。ラブレターって言うのは恋人なるための手段であって、それが目的に成ったらおかしいだろう?線を飛び越えることに意味があって、飛び方は自由なんだ。それを頭に入れてみろ。そうすりゃ自然と分かるだろう?というかそこは察しろ」

「せんせ、授業より饒舌に語ってるし」

「へっ、未婚者の持論に説得力があるとは思えないんだけど」

「雨水、お前はなんだ。俺に恨みでもあるのか?」

「薬指にわっかでもはめたらまたどうぞー」

「うるせー雨水。今に見てろよ、今日か明日か明後日かその先かしらんが、彼女紹介してやるからな」

「数学の谷せんせー、中華嫌いだって」

「嘘だろ!何情報だ!緑野!」

「さっき怒られついでに聞いてきた」

「おまえまた怒られてたのか。昨日俺にも怒られてただろ」

「慣れたぜ!」

「慣れんなよ!」

「参考になるかどうかわかんないアドバイスありがとうー」

「最初から最後まで辛らつだな雨水」

「私が見ていてあの文章だけど」

「……俺のアドバイスは役に立つか?緑野?」

「ばっちしだぜ」

「その返答に不安しか覚えられねぇぞ」

「ですよねー」

「いいか、そのラブレターは書きなお……新しいのを作り直せ。テンプレでいいから。あと雨降ってるから早く帰れ。いいな」

「「はーい」」

「…………坂下せんせ行った?」

「行った」

「ななみっちゃん、あれ脈あると思う?」

「思うからむかつくんでしょ。まぁ、谷せんせーもまんざらじゃなさそう」

「坂下せんせに彼女が来る日は近いな」

「で?ゆつぎ、次は?」

「あ、さっきケータイでテンプレのやつ書いた」

「早っ」

「ななみっちゃん、そろそろ帰ろーぜー」

「そだね」

「あ、やっべ。傘ねぇや」

「なんで?今日雨だって天気予報で言ってたじゃん」

「私の傘、なんでか知らんが誰かに」

「あれ?ゆつぎん」

「へ?なに?」

「いいの?ラブレター入れなくて」

「あー……思ったんだけど下手なごった煮食わされるより、ストレートに砂糖を食わされた方がまだ被害少ないと思わない?」

「そんな表現してるようじゃ私の親友に彼氏ができる日は遠いなぁ」

「お疲れですか!スイーツでもおごりますぜ旦那!」

「はいはい、おとなしく奢られてあげましょう」

「んじゃれっつごー」

「ごー」

「お読みいただきありがとうございます。……読みました?ほんとに読んだんですか?短編とか小説とかいうジャンルにすらはらなそうなただの殴り書きな何かをよんだんですか!?うわぁ、感謝しきれない思いで胸が爆発四散しそうな勢いです。ま、まぁ、どうせ、「へっ三流が!こんななの書いてるんじゃねぇぜ」とか言われてそうですが、私は 元気です。たぶん、おそらく、めいびー、あばうと、あさると。以上、藍色折紙でした」

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