1/30
001 Lia 「ユメ」
私は夢を見た。
大きく、そして恐ろしいく深い、吸い込まれそうな夢。
煮え滾るように頭蓋を圧迫する感覚を覚えながら、唯暗い道をを真っ直ぐに歩くしか術の無い夢。
進む度に吐き気は増していく。進む度に立ち止まるなと頭に響く声が大きくなる、
五月蝿い。ちゃんと進んでやるから少し黙っていてくれ。
そう念じていても、この頭に響く声が口を閉じることはなかった。
――――止まれ
進めと命じていた声は、途端に私の足を止める。逆らおうとは思わなかった。それもそうだ。吐き気で俯いていた頭を上げたら、そこに誰かが立っていたのだから。顔はもう覚えていないけれど。
目覚めた時には、その人物は男か女かも覚えていなかったのだから、当然と言えば当然なのではないだろうか。
彼、いや、彼女かもしれないが、そいつはこう言ったのだ。
「魔の者が、千年の封印から解き放たれようとしている。黒き刃を握れ。その身体に流れる血が、お前を導くだろう」
その時はそいつが何を言っているのか理解できなかった。
――――そう、目覚めるまでは。