桜舞う公園で…
失恋は人を…大きくさせる? のかも
?「ごめんなさい……か」
春の夜、俺は外を歩いていた。
大いなる決別を迎えて…。
まぁ、ひどい女だったし…悔いはない…。
それでも…。
それでも…まだ俺は……少なからずあの子のことが好きなのか…?
馬鹿らしい…っ!
捨てろっ‼ その様な想い‼
邪魔な……だけだ……。
?「………」
?「桜……」
風が吹いていたのか、桜が地面に舞い落ちていた。
この辺だと桜があるのは坂の上の公園だな。
?「見納めかもしれないし、行ってみるか」
そこで俺は…彼女と出会った。
月光に照らされながら舞う桜は、とても幻想的に俺の目に映った。
?「ちょうど時刻は……0時か」
ブランコしかない割に景色がいいこの公園、そして桜。
?「悪くはない」
?「写メでも撮るか?」
携帯を取り出し、カメラモードにして桜にズームする。
?「ん?」
桜の正面のブランコに誰かが乗っている、月明かりがあっても意外と気付かないものなんだな。
?「デッサン?」
ブランコに乗りながら何かを描いてる様に見える、恐らく俺が写メしようとした桜を描いているのだろう。
これをなんらかの形で残したいと思うのは同じなんだな。
俄然興味が湧いた。
?「近付いてみるか」
桜が風で靡くと、同時にデッサンをしてる女性の長い髪も綺麗に靡く。
それは既に一枚の絵画の様に見える。
髪の長い女「誰?」
彼女がこちらに気付いて互いの目が合う。デッサンの手を止めて、俺を一点に見つめる瞳。
その瞳に吸い込まれるように、俺は言葉を一瞬忘れ、ただ圧倒された。
?「あっ、ごめんなさい…驚かせるつもりはなかったのですが」
髪の長い女「……」
?「どうかしましたか?」
髪の長い女「いえ…なんでも…」
少し変な間が出来たので、俺は気になっていた事を質問することにした。
?「桜の絵を描いていたんですか?」
髪の長い女「ええ、余りにも綺麗だったから」
?「隣宜しいですか?」
髪の長い女「聞く必要あるかしら?」
いたずらっぽく微笑する彼女、かと言ってバカにしている様でもなかった。
?「じゃあおかまいなく」
髪の長い女「……」
またデッサンに集中する彼女。
?「……」
沈黙は当然のように訪れる。話を切り出したのは彼女からだった。
髪の長い女「な、何か話しなさいよ」
?「は、はい?」
髪の長い女「気まずい…」
?「すいません、邪魔したら悪いかと思って…」
髪の長い女「私は誰かと会話しながらでも絵は描けます、見くびらないで‼」
?「す、すいません…」
髪の長い女「ちょっと、本気で受け取らないでよ…」
?「冗談だったんですか?」
髪の長い女「当たり前でしょうが、会話しながらでも絵は描けるのは本当だけど」
?「譲らないんですね」
髪の長い女「当然」
?「ここにはよく来るんですか?」
髪の長い女「初めて、最近この辺りに引っ越して来たから」
?「行動力あるんですね」
髪の長い女「どうかしら」
もしかして同じ高校になるんじゃ? いやあり得ないだろ、普通に考えて…年齢も判明していないのに。
髪の長い女「どうかした?」
?「い、いえ、寒くないのかと思って」
流石に苦し紛れな返しだったかな? 不思議そうに丸く大きな目で覗いてくる彼女に、たまらず目を背けてしまう。
髪の長い女「貴方は寒いの?」
?「ええまぁ…」
髪の長い女「だったら…どうぞ?」
彼女は地面に置いていたビニール袋から、コーヒーを出して俺にくれた。
?「すいません…」
俺がコーヒーに口をつけてから、彼女はこう呟いた。
髪の長い女「500円ね?」
?「ぶっ‼」
金取るのかよ⁉
髪の長い女「きゃぁっ‼」
?「ゲホッゴホゴホ…」
髪の長い女「冗談が通じない人ね……はい、ハンカチ」
そういうとポケットから花柄のハンカチを出して渡してくれた。
?「またなんですか………すいません」
髪の長い女「って言ってるうちに完成‼」
?「えっ?」
髪の長い女「じゃあ帰るわ」
素早くブランコから降りた彼女は、デッサンとビニール袋を片手に帰ろうとする。
?「えっ、見せてくれないんですか⁉ それとハンカチ!」
髪の長い女「貴方とはまた会いそうだし、その時に」
?「じゃあデッサンは⁉︎」
ずっと先に歩いて行き、距離をとってから彼女は振り向いて呟く様にこう言った。
髪の長い女「恥ずかしいだろ…」
?「あっ…! 行っちゃった、か」
?「また会えると思うって…はぁー、乙だな…」
初めまして趣味で小説? を書いてる上条です。
文字通り自分で書いていてこれは本当に小説なのかと思いながら書いたモノです。
どちらかというとギャルゲー?
……それはさて置きこの形式は永遠と続くと思うので気に入った方は「構わん、続けろ!」っと応援して下さい(笑)