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鋼鉄のアイ  作者: 大紀直家@パブロン
スローター
46/90

収穫中・・・

 気がつけばベジーは地下牢に戻されていた。


 鉄骨と鉄板に囲まれた無機質な閉鎖空間。昨日までと異なるのは目の前に食料が置かれていることであった。


 食料はいわゆるスティック上の大きなビスケット――いわゆる携行食糧レーションであった。


 1食で成人男性が必要とする栄養素の半分を摂取できる品だが、味が薄く、ケミカル臭がすることで有名な最悪の一品である。ウォルマートで1食1ドルで販売されていたはずだ。


「め、飯……!!」

 そんな最低限の食事ですら今のベジーにとっては至高の味であった。食べられるということが、これほど幸せなことなのか彼は知らなかった。


「おげ……うぐ、ぐ……んぐ……」

 長い絶食で機能停止していた胃袋に無理矢理食料を詰め込んだせいで、喉がひっくり返りそうになる。しかし、ここで零すつもりはない。ペットボトルに入った水で無理矢理に流し込む。


 4本あったレーションの内、3本を胃袋に収めたところでベジーは満腹感を得た。2リットルサイズのミネラルウォーターも気が付けば空になっている。このレーションは胃の中で水分と混ざることで膨らむため、少量でも満腹感を得られるようになっている。


 完全復活とまではいかないが、1.5日分のカロリーを得られた。しばらくすれば飢餓状態からも解放されるはずだった。2リットルサイズのペットボトルも3本残っている。レーションも残り1つ。これだけであと3日は生きていけるだろう。


 そこまで考えたところでベジーは思った。これではまるで虜囚生活に慣れきった囚人のようではないかと。


 食料を得て活力を取り戻した精神が、この状況に怒りを覚えた。


 約束が違う、などと言うつもりはない。


 スローターは言った。『俺達・・を倒せたら解放だ』と。であれば自分は<スローター>を倒してはおらず、先日、MINIMIとグレネードで殺してみせた装甲服の男は、奴の手下か何かだったのだろう。


「仲間を殺されて、それでもまだ私を生かし続けるとは……」

 なんという輩だとさしものベジーも怒りを通り越して、呆れを覚えてしまう。


 思わず天井を仰ぐ、と


-------------------------------------

地下牢ルール


2日に1度、12:00から2時間の間、上階への繋がるゲートが開かれます。

あなたが倒した兵士の数に応じて以下のものが支給されます。

0体/不参加:支給なし

1体:回復薬(E)×1、2日分の食料、1000ドル相当の追加装備

2体:回復薬(E)×2、4日分の食料、5000ドル相当の追加装備

3体:回復薬(E)×4、(D)×1、4日分の食料、10000ドル相当の追加装備

4体:回復薬(D)×2、(C)×1、4日分の食料、50000ドル相当の追加装備

5体:回復薬(C)×1、(B)×1、4日分の食料、100000ドル相当の追加装備


全ての兵士を討伐すると奪われた全ての武器弾薬、車両、資産を返却し、地下牢から解放いたします。


演習途中で地下室に戻ると降参リザインと判断され、ゲートは閉じられます。

しかし、降参しても倒した兵士分の支給を受けることが出来ます。


なお消費した弾薬や破損した装備は支給されません。

別紙<追加装備交換レート表>をご参照の上、補充してください。


地下牢ルールは予告なく変更される場合がございます。

また演習への不参加が続いた場合には警告の上、それでも改善が見られない場合には閉鎖を検討いたします。


あなたさまの積極的なご参加をお待ちしております。


以上

-------------------------------------


「――ふざけやがって! 人の命を何だと思っている!!」

 弱い部下を勝てる見込みのない相手に突っ込ませるなど正気の沙汰ではない。ベジーは人の命を奪うことを生業とする殺人鬼であるが、無駄な殺生などしたことはない。


 奴の思考や行動は完全に埒外だ。


「キチガイめ……必ず、殺してやる……」

 ベジーが口を開くのと同時、警報が鳴り響いた。


『12:00になりました。演習を開始します。繰り返します。12:00になりました。演習を開始します。ゲートが開かれますので、各員は戦闘配置に付いてください』


 どうやら自分は丸一日以上も眠っていたらしい。カシャン、と音を立てて鉄格子の鍵が外れる。


 ベジーはレーションや水と共に支給された回復薬ポーションを掴み、牢屋から出た。


 武器庫に向かい、昨日とは異なる装備に身を包むと、上階へと続くゲートをくぐった。



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