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第四章



「う、うわあああああ……!!」


 美しい森に似つかわしくない悲鳴が響き渡る。


 目の前で、肉食植物に捉えられ締め上げられる仲間を周囲は震えて見つめることしかできない。


 少人数での旅。

 本来は護衛を雇うべきだった……いや、雇ってはいた。


 ただ、街を出て数日後に金銭を持ち逃げされてしまったのだ。

 戻るには食料も足りず、ならば目的地に向かう強行軍を行うしかなかった……が、その判断は間違えていたらしい。


「助けてくれ!!!……いやだあああ!」


 せめて我が子に残酷な光景を見せまいと、目と耳を覆う。

 そして、覚悟を決めて顔を上げる……が、その光景は訪れなかった。


 捉えていた蔦を斬り落とし、そのまま本体を袈裟斬りする。


 どさりと落とされた当人は何が起こったのか分からない顔で戸惑っている。


「……あ、あの……あんた」


 一拍おいて、我を取り戻した仲間が助けてくれた男性に声をかける。


 そうだ、まずはお礼をして……もし、腕の立つ人なら盗られずに残っていた金で雇われてはくれないかと交渉でも……。


「……えっ」


 出かけていた言葉が全て霧散する。

 目の前で、声を上げるまもなく……斬り捨てられた。


「い、いやああああ!!」


 仲間の一人が叫びながら逃げ出そうとするが、後ろから斬られる。


 恩人の筈の彼が自分達に刃を向けている。

 目の前の人間が、突然理解不能な化け物に変わった。


「や、やめてくれ……この子、この子だけは……」


 何が起こったのか分かっていない我が子を腕の中に庇い、必死に懇願する。


 男は剣を振り上げようとしたが……一瞬、動きが止まる。

 剣を落とし、呼吸を乱しながら胸を押さえる。


 ただ必死に逃げ出すことしか出来なかった。





「……斬らないのか?」


 荒い呼吸が周囲に響く。

 落とした剣が目にとまる。


 ……ただ、首を横に振った。



 



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