表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

【ある監視者のログ】

 〇月〇日『新入りの紹介!』


 本日、こざかな市立動物園のペンギンプールに、新しい仲間がやってきました!

 フンボルトペンギンのユーリくんです。


 ユーリは北市水族館生まれの、一歳のオスです。とっても元気で、たくさん鳴きます。園内で「ボーッ」とペンギンの大きな声が響き渡ったら、ユーリかもしれません。


 当園のフンボルトペンギンファンの皆様なら、もうお気づきですよね。北市水族館といえば、三年前に転園してきたリック。リックも、同じく北市水族館からやってきました。

 リックは転園初日から、当園のペンギンプールのボスであるビクターと喧嘩してしまったことが懐かしいです……(笑)


 余談ですが、フンボルトペンギンは群れのリーダーを作らない生き物です。でも、力関係はあるようですね。いちばん身体が大きなビクターは、他のペンギンたちから一目置かれているみたいです。


 話が逸れましたが、ユーリは、ビクターには関わりません。

 ユーリのお気に入りは、どうやらカイのようです!


 カイは、当園生まれの七歳のオスです。

 ユーリは、カイがどこに行くにもヨチヨチついていきます。カイがプールに飛び込むと、ユーリも一緒に飛び込みます。

 最初は、ちょっぴり神経質なカイは、付いてくるユーリに戸惑っているようでした。飼育員一同は、付き纏われるカイがストレスを感じていないか、慎重に見守っておりました。

 ところがカイは、意外にも面倒見の良さを発揮! ユーリと仲良く一緒に寝ていました。

 カイ、大人になったね……! もうすっかり兄貴分だね。


 当園のペンギンプールは、フンボルトペンギンにとって暮らしやすい広さ、プールの深さが自慢です。泳ぐのが仕事のペンギンたちが、伸び伸び暮らせる環境が整っています。

 新入りのペンギンたちを迎えるたびに、どの子もあっという間に馴染んでくれます。ユーリも、早くも新しいプールに慣れたみたいですよ。先輩のカイのおかげかもしれませんね。


 そんなわけで現在、当園のペンギンプールでは、カイとユーリの仲良しな姿が見られます。

 飼育員一同も、彼らのキュートな姿にメロメロです。ぜひ、ペンギンプールに遊びに来てくださいね!


 こざかな市立動物園・ペンギン担当



 〇月✕日『おめでとう、ケイジ&ミリィ』


 ペンギンプールから嬉しいお知らせです。

 ケイジ&ミリィカップルに、卵が産まれました!


 しかしミリィが卵を産むだけ産んで放置してしまい、抱卵の様子がないため、卵は飼育員が孵卵器で温めることになりました。

 無事に雛が孵るよう、願うばかりです。


 当園のペンギンカップルの産卵は、ヴィノとカリーナの間に産まれた卵以来、三年ぶりとなります。

 あのときはカリーナが献身的に卵を温めていましたが、なんとその隙に、ヴィノが浮気! サラとレイチェルにもアタックしておりました……。

 ペンギンはオスとメスで交代で抱卵、育雛をおこなう鳥。だというのに育児をサボって浮気とは、困ったお父さんです。


 レイチェルは座り込んでいることが多く、飼育員は「レイチェルもお腹に卵があるのでは?」と考え、当園に併設された動物病院で診断をおこないました。

 動物病院への搬送は、ペンギン用のキャリーケースを使っておこないます。健康診断をおこなうときにも、一羽一羽連れ出して、検査をするんです。

 狭いキャリーの中は不安でしょうから、なるべく手早く運んであげる。それが飼育員の腕の見せ所です。

 因みにレイチェルは、単純に座って日向ぼっこをするのが趣味の個体だったようです。卵はありませんでした。


 さて、ヴィノは、レイチェルに振られたショックで体調を崩してしまい、非展示となりました。その後無事に回復しましたが、元の展示場には戻らず、あさぎ町動物公園へ転園しました。

 同時期に転園してくることが決まったリックと、入れ替わる形で、お引越しとなったのです。


 動物園、水族館は、動物の展示施設としての役割だけでなく、種の保存のための繁殖活動の役割も担っています。血統管理として、動物たちは、他の施設へお引越しする必要があるのです。

 繁殖能力に優れたヴィノは、引っ越し先のあさぎ町動物公園でも、新たなペンギンのお父さんになりましたよ!

 一応リックも、レイチェルのお婿さん候補として迎えられたのですが……二羽が仲良くなる兆しはありません(笑)


 リックとレイチェルの相性は今ひとつでしたが、ケイジとミリィは相性抜群! 頑張って卵を産んでくれたミリィ、ありがとう。

 皆様、当園でペンギンの赤ちゃんが産まれる日を、楽しみにしていてくださいね。


 こざかな市立動物園・ペンギン担当



 〇月□日『カイくんの脱出劇!?』


 ペンギン担当です。本日の記事は、ペンギンプールのフンボルトペンギン、カイのお話です。


 カイは当園生まれの七歳のオス。他のペンギンたちとあまりつるまない、一匹オオカミタイプのペンギンです。

 新入りのユーリが来てからは、二羽で傍にいることが増えたと、先日の記事でも紹介しました。

 ここ数日は飼育員の観察がマイブームなのか、二羽でペタペタ、飼育員のあとについてきます。

 お掃除のために展示場に来た飼育員を、じーっと眺める姿はキュート! でも、飼育員が振り向くと、展示場の擬岩に隠れてしまいます。それもまたかわいいんですけどね。


 さて、そんなカイですが、今日の彼はひと味違いました。

 いつもどおり、飼育員が餌の小アジを持って展示場ペンギンプールへやってくると……なんと、開いた扉に突進。奥のバックヤードに続く廊下へ、滑り込んでしまったのです!


 当園のペンギンプールで飼育しているフンボルトペンギンは、全部で十羽います。彼らの一回のご飯は、小アジ六キロ。

 重たい餌を持ち運び、そしてお腹ペコペコのペンギンたちに囲まれて、身動きが取れない飼育員。カイは見事に隙をつき、脱走を試みたのです。


 カイは別の飼育員に確保され、無事に展示場へと送還されました。いやはや、油断しました。

 その後はまるで何事もなかったかのようにプールで泳ぎだすカイ。飼育員も餌を撒き終えて、バックヤードへの扉を開けようとしたのですが……。

 なんとまたもや、カイが扉をすり抜けようと突っ込んできた!


 今度はすぐに確保、展示場へと押し戻しました。しかし普段は大人しいカイ、この日は一体、どんな風の吹き回し……?

 仲良しのユーリも、心配しているのか普段以上に大声で鳴いていました(笑)

 飼育員はこれからは、カイの突然の脱走に警戒し、慎重に扉を開けようと誓ったのでした。


 こざかな市立動物園・ペンギン担当



 〇月△日『ペンギンプールの不思議な来客?』


 こんにちは、ペンギン担当です。

 本日はペンギンプールの常連客の、あいつのご紹介です。


 ペンギンファンの皆様ならお馴染み、大きなグレーの翼に、長い首のあいつ……そう、アオサギです!

 黒いポニーテールのような冠羽と、色素の薄いミステリアスな瞳が印象的ですよね。


 時折、来園のお客様から、「あれもペンギン?」「展示されてるの?」「逃げ出してない?」などとお声掛けいただきますが、あれは野鳥です(笑)

 日本に限らず、世界のどこの動物園でも、ペンギンプールにアオサギがやってくることは日常茶飯事なんですよ。


 北市水族館のペンギン担当さんの話によると、そちらのペンギン展示場にも、アオサギがしょっちゅう来ていたそうです。

 北市水族館から来たユーリも、「またあいつかあ」なんて思っているかもしれませんね。


 ペンギンたちとアオサギは、どんなお喋りをしているのかな? ちょっぴり気になる、ペンギン担当でした。


 こざかな市立動物園・ペンギン担当



 ●月〇日『カイがついにキレた!』


 先日のブログにも登場しました、新入りのユーリと先輩のカイ。実は……ユーリが来て一ヶ月経ったの朝、事件が起こりました。


 付き纏われることに嫌気が差したのでしょうか。カイがユーリを引っ叩いたのです。

 しかしユーリは反省するどころか、むしろ逆上!? なんとカイを叩き返し、プールの中に突き飛ばしてしまいました。


 仲良しだった二羽が大喧嘩!

 飼育員は彼らを引き離し、怪我を負ったカイは園内に併設された動物病院へと搬送されました。

 急な出来事だったのでお知らせができませんでしたが、カイが展示場にいなかったのは、そういった事情でした。ご報告が遅くなり、申し訳ごさいません。


 カイは怪我が治るまでは入院生活となりましたが、順調に回復し、現在は展示場ペンギンプールに復帰しております。

 ユーリとも仲直りしたようで、一緒に並んで泳ぐ姿を見せてくれます。


 皆さん、かわいらしいカイとユーリたちに、ぜひ会いに来てくださいね!


 こざかな市立動物園・ペンギン担当



『こざかな市立動物園・飼育員ブログ』より引用

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ