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ゲーム世界の1000年後に転生した俺は、最強ギフト【無の紋章】と原作知識で無双する  作者: 八又ナガト
第二章 アカデミー入学編

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78/80

078 イルちゃん

 イルと出会ったのは、俺が前世の記憶を取り戻してから二日目のこと。

 Fランクダンジョン【棘針きよくしん巣窟そうくつ】で大量の魔物に襲われているところを助けたのがきっかけだ。


 【盾の紋章】持ち――つまりタンクは序盤において需要が低く、パーティーを探すのが困難であり、それはイルについても同様だった。

 そこに付け込まれるような形で、先輩冒険者たちから騙されたり、逆に俺がそいつらを制圧する一幕があったりはしたのだが……それはさておき。


 俺はまず、シルフィード領で活動していたはずのイルが王都にいるという事実に驚いていた。


「どうしてイルがここにいるんだ?」


「それはこっちのセリフだよ……まさかこんなところでゼロスと再会するなんて」


 互いに戸惑いの表情を浮かべながら、そんなやり取りをしていると――


「ゼロス! 急に走り出してどうしたの……って、そちらの方は?」


「シュナ」


 遅れてやってきたシュナが、イルに視線を向けながら首を傾げる。

 元々は同じシルフィード支部のギルドを拠点にしていた二人だが、この様子だとどうやら初対面のようだ。


「そうだな。勧誘云々の前に、まずはその辺りから済ませるか」


「勧誘……?」


 想定していなかったであろう単語を復唱するイル。

 その後、俺たちはまず近くのテーブルに座り、自己紹介とお互いの事情について話すことにした。




 数分後、ある程度の情報が出たタイミングで、まとめるように俺は切り出す。


「つまり、だ。向こうのギルドでなかなかパーティーメンバーが見つからなかったイルは心機一転、より多くの冒険者がいる王都に可能性を求めてやってきたと?」


「う、うん。実際にこっちだと低レベルのタンクでも最低限の需要はあって、募集しているところが幾つかあったんだ。ただ……」


 明るく話していたイルの表情が、後半になるにつれて萎んでいく。


「条件の一つに、有用な防御スキルを一つ以上持っているってのがあって。だから、次にスキルを獲得できる15レベルまで一生懸命上げたんだけど……」


「得られたのが、元々持っている【デコイ】の上位スキルである【インペリアル・デコイ】だったと」


「……うん、そうなんだ」


 ズーンと、後ろに重たい黒色のオーラが見えるのではないかと思うほど落ち込んだイルは、その状態のままステータス画面を見せてくれる。

 そこにははっきりと、こう刻まれていた。



――――――――――――――――――――


【インペリアル・デコイ】Lv.1

 ・盾のスキル

 ・MPを大量に消費することで、ヘイトに関係なく、強制的に敵の注目を集めることができる。


――――――――――――――――――――



(本当に入手したんだな……)


 疑っていた訳ではないが、証拠を前にして俺は思わず感嘆の息を漏らす。

 イルはまだ気付いていないが、【インペリアル・デコイ】は可能性に満ちたレアスキル。

 特に、俺が次に攻略したいと思っているダンジョンには必須なほどだ。


 しかしそれを伝えようとした矢先、イルがハッと顔を上げる。


「それよりこっちの方が驚いたよ。ゼロスがまさかお貴族様で、あの王立アカデミーに入学したなんて。ううん、思い返してみれば実力も知識も駆け出しの冒険者のそれとは思えなかったし、納得かも……ってごめん、ちゃんと敬語を使った方がいいよね……」


「いや、そこは気にしなくていい。特にギルドじゃ、これからもただの冒険者で通すつもりだし」


「本当? ならよかったよ。敬語なんて普段使い慣れてないからさ」


 イルはホッとしたように胸を撫で下ろしたあと、シュナに視線を向けた。

 不安げな表情を浮かべながら、おずおずと尋ねかける。


「その、君も貴族だって話だけど……普段の口調で話してもいいかな?」


「もちろん。私もゼロスと同じように接してくれると嬉しいな」


「そっか。ならよろしく、シュナ」


「うん! よろしくね、()()()()()!」


 訪れる数瞬の静寂。

 そして、数秒後――



「「…………え?」」



 ――俺とイルは、同時に驚きの声を上げた。

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― 新着の感想 ―
>・MPを大量に消費することで、ヘイトに関係なく、強制的に敵の注目を集めることができる。 多用はできないけど、ここぞという時に味方の為に敵の隙を作れる有能スキルじゃないですか。 しかもゼロス談によれば…
僕っ娘も 男の娘も どちらもそれなりに 需要があるよね
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