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ゲーム世界の1000年後に転生した俺は、最強ギフト【無の紋章】と原作知識で無双する  作者: 八又ナガト
第二章 アカデミー入学編

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077 再会

 翌日早朝。

 俺とシュナは寮の自室にて、昨日までの二日間で獲得した2つのスキルについて振り返っていた。



――――――――――――――――――――


【ファイア・エンチャント】Lv.1

 ・魔導のスキル

 ・属性:火

 ・追加でMPを50%消費することで、自身の魔力に火属性を付与する他、威力を30%上昇させる。


――――――――――――――――――――


【キリング・フィスト】Lv.1

 ・武道のスキル

 ・MPを消費することで、拳の速度と威力を大きく上昇させる。


――――――――――――――――――――



 ファイア・エンチャントは【セイクリッド・エンチャント】や【ダーク・エンチャント】の火属性版。

 【マジック・ストリング】と合わせれば筋力上昇のバフとしても扱える優秀な補助スキルだ。


 そしてキリング・フィストは、拳の速度と威力を大きく上昇させるスキル。

 発動時、大きな隙が生まれることは欠点だが、うまく使いこなすことができれば強力な武器となる。

 この2日間の成果としてはかなり順調といっていいだろう。


 だが、少しずつ課題も見え始めてきていた。


「そろそろ本格的な守りの手段が欲しいな」


 思わず呟いた言葉に、シュナが首を傾げる。


「今のパリィだけじゃ足りないの?」


「ああ。これ以上の難易度になると、パリィだけじゃ対処できない場面が色々と出てくるはずだ」


 魔物はレベルが上がるほど多種多様な攻撃手段を有し、その狡猾さも増していく。

 今のところは前衛の俺が敵のヘイトを集めるように立ち回っているが、ここから後衛のシュナを優先的に狙うような魔物も出てくるはず。

 【闇纏いの魔導霊(ダーク・ソーサラー)】がいい例だ。


 霞落としを使えば、シュナと離れていてもある程度は攻撃を凌げるが……それにだって限度がある。

 たとえば複数の敵が現れた場合、自分に攻撃を仕掛けてくる相手の対処に追われ、反応が遅れる可能性だってあるだろう。


「そっか。ゼロスがそう言うってことはそうなんだね。それで、何か具体的な案はあるの?」


「一つ、盾のスキルを覚えようと思う」


「……それって、ゼロスが左手に盾を持つってこと?」


「そうなんだけど、そうじゃないと言うか……」


「?」


 不思議そうな表情を浮かべるシュナには申し訳ないのだが、俺が想定している解決策は少し特殊で、言葉だけで説明するのが難しい。

 ここは必要な内容だけ伝えるべきだろう。


「とにかく、そのスキルを得るためにあるダンジョンを攻略しに行きたいんだけど、一つ問題があって……」


「問題?」


「ああ。そこは隠しダンジョンなんだ」


 シュナの瞳が、わずかに揺れる。


「隠しダンジョン……ってことは、【冥府の霊廟】みたいな場所ってこと?」


「そうだ。攻略には最低でも50レベルは必要で……なおかつ、ボスを倒すにはあるスキルが必須になっている」


 その説明を聞いたシュナは、無意識に背筋を伸ばした。

 【冥府の霊廟】での激闘を思い出したのだろう。

 あの時の戦いが、いかに危険なものだったかを理解している。


「それで、攻略に必要なスキルっていうのは?」


「【デコイ】系統のスキルだな。ただ、条件に合う人物を探せるかどうか……」


「そうなんだ……あれ?」


 シュナが何かに気付いたように顔を上げる。


「でも、デコイなら私も聞いたことがあるよ。【盾の紋章】なら、たくさんの人が持っているスキルなんじゃ……?」


「それが、ただ持っているだけじゃダメで……スキルレベルを最低でも5以上まで上げている必要があるんだ。それに50レベル以上の実力が必要なのに加え、継承祠グラント・ポイントについての秘密を守ってくれるって信頼できる相手じゃないといけないから、そこをクリアできるかも問題で……」


「そっか……それは確かに大変そうだね」


 シュナが遠い目で同意する。

 そんな反応になってしまうのも仕方ないくらいに厳しい条件であるというのは俺も理解していた。

 とはいえ、あまり先延ばしにできる問題でもないため、とりあえず試してみようとは考えている。


「まあ、見つかるかどうかはさておき、そういう事情もあって次の攻略には臨時メンバーを誘いたいんだけど……いいか? シュナが嫌がるようなら、別の方法を考えてみるけど……」


「ううん、大丈夫だよ!」


 シュナは元気よく首を振る。


「それにゼロスは覚えてないかもだけど、私はゼロスと出会う前は幾つかのパーティーに入れてもらって攻略してたから、慣れてるんだ」


「……そういえばそうだったな」


 俺がシュナと初めて出会ったのも確か、彼女が燃費の悪い【マジック・ミサイル】しか持っておらず、なかなか長期パーティーを見つけられずにいた最中だったことを思い出した。


 何はともあれ、シュナから許可を貰えたこともあり、俺たちはさっそく王都のギルドに移動して、メンバーを探し始めることにしたのだった。



 ◇◆◇



 しかし――


「う~ん、全然見つからないね……」


「……そうだな」


 残念ながら、条件に合うメンバーは一人も見つからなかった。

 そもそも忘れそうになるが、現状の俺やシュナの50レベルは王都においても高水準であり、まずそれだけに達している【盾の紋章】持ちがほとんどいない。

 何とか見つけ出した数人も、【デコイ】のスキルレベルが低いか、そもそも持っていないかのどちらかだった。


(さて……これは困ったな)


 ただレベルが低いだけなら、パワーレベリングに付き合ってやればいい。

 しかしスキルレベルを上げるには時間がかかるため、そちらは現実的ではない。


(……もしくは、()()()()()を持ってくれている人がいれば話は早かったんだが)


 今回俺が求めているのはあくまで【デコイ】系統のスキルであり、同じ効果を持つスキルであれば【デコイ】そのものでなくてもいい。

 その点から考えた時、実はもう一つだけ攻略に使えるスキルに心当たりがあった。

 しかも、そちらの場合はスキルレベルが関係ないという大きな利点も存在する。


 ただ、である。

 そのスキルは、シュナが持つ【セイクリッド・エンチャント】や【マジック・ストリング】と同等の超レアスキル。

 持ち主を探すなんて無理があるし、それよりはまだ、【デコイ】のレベルを上げたタンクを探す方が近道だろう。


 そんな風に考えていた、まさにその時だった。


「どうしてなんだよぉ……」


 ギルドに併設された食事処から、泣きじゃくるような声が聞こえてきた。

 とはいえ、特に気にすることなく素通りしようとした直後――



「どうして……【デコイ】の次にようやく習得できたのが、【インペリアル・デコイ】……強制的に敵の注目を集めるスキルなんだよ! ……2つしかスキルがないのに効果被りなんてあんまりだ! 僕はどうやって戦えばいいんだよぉ……」



「――……え?」


 予想もしていなかった単語に、俺は思わず足を止めた。


 【インペリアル・デコイ】。

 それは俺が可能性を切り捨てた、隠しダンジョン攻略に必要なレアスキルの名称。

 まさかの状況に、俺は慌てて声の主のもとに駆け寄る。


「すまない! 少し、話しを聞いてもらってもいい、か……」


 そして、そこにいる人物の姿が視界に入った瞬間、俺は驚きに目を見開いた。

 そこにいたのは蜂蜜色の髪に、中性的な容姿が特徴的な少年。

 間違いない。彼は――


「……イル?」


「え? ……ゼロス?」


 転生当初に出会った【盾の紋章】持ちの少年、イルだった。

というわけで、再会の相手はイルでした!

滅茶苦茶序盤に出てきたキャラなので覚えているでしょうか?

初出は『009 【スラッシュ】』です。

もしよかったらまた読み返してみてください!


【恐れ入りますが、下記をどうかお願いいたします】


ここまで本作をお読みいただきありがとうございます!

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