勝利のカギ
「それと――めおめおも行ってもらうから」
羅羽羅が芽緒に告げる。
「はい――ってええええ!?」
芽緒の絶叫が響く。
「いやいやいやいや。明狼様の修行の時は、戦わないって話だから行きましたけど、今回はさすがに無理です。足手まといにしかならないです」
「そんなことないから大丈夫」
「だいじょばないです。
なんでそんなに私を行かせたいんですか?
あ。え? もしかしてそういうことですか?」
何かに芽緒が思い至る。
「いや、めおめお、それじゃない」
「明狼様のピンチに身代わりになれってことですよね? 私が身を挺して明狼様をお守りしろってことですよね?」
「全然違うね」
きっぱり否定する羅羽羅。
「そもそもめおめおには、とっさにめいろを守る動きなんてできないでしょ?」
「それは……たしかに無理かもです……」
「なによりめおめお、めいろに抱かれることなく死にたくないでしょ?」
「それもそうですけど……」
「めいろにあんなことやこんなことされたいでしょ? あんなことやこんなことしたいでしょ?」
「したいですけど」
「なら皆で生き残るしかないでしょ?」
「はい」
「そのためには、にみたんとめおめおが勝利のカギになると私は見てるんだよね」
「え? 私もですか?」
思わぬところで名前が出てきたようで、日美々が驚きながら羅羽羅を見る。
「うん。だから、にみたんもめおめおも、めいろのことをよろしくね」
「めいろくんの為にもがんばる!」
「これはやっぱり本気のやつですよね……? 私なんかが勝利のカギになんてならないと思うんですけど……」
気合い十分の日美々と、対照的に動揺が収まらない芽緒。
「アタシの食生活もかかってるんじゃから、メイロウはしっかりと頼むぞ?」
すっかり芽緒の作る食事の虜となってしまっている威扇。
「みんな揃って生きて帰ってくるのは当然として、メオはメイロウとの仲も深めてくるんじゃぞ?」
「ええっ?」
威扇の謎の注文に芽緒は困惑する。
「メオがメイロウとやることやらないと、アタシの番が回ってこないじゃろうが。
メイロウは主体性に欠けておって、ラウラの言いなりじゃったりしておるくせに、妙なこだわりみたいなものがあるじゃろ?
進めるにせよ、終わらせるにせよ、メオとの関係が曖昧なままでは、新たな女に手を出さぬのじゃよ」
威扇が腕を組みながら言う。
「威扇さんは、本気でめいろくんとそういう関係になりたいんですか?」
日美々が訊く。
「アタシもメスじゃし、様々な欲を満たしたいという願望もある。
メイロウほどの優秀なオスが近くにおるんじゃから、尚更じゃな」
「むぅ。本気なんですね」
「なんにせよ、お主らが無事に帰ってきてからの話じゃ。
アタシが留守番しててやるから、ちゃんと帰ってくるんじゃぞ?」
「わかりました。帰ってきた後の事はその時に考えるとして、頑張ってきます!」
「ええと……善処します」
気合いを入れる日美々と、これはもう行くしかなさそうだと諦めた芽緒。
「メイロウもじゃぞ?」
「うん。俺との関係云々は聞かなかったことにして、やれることやってきます。
それと、威扇さんは羅羽羅のことを頼んでいいですか? 万が一狙ってくるかもしれないので」
「なるほど。たしかにそういう可能性もあるんじゃな。わかった。ここはアタシがしっかりと守っておくから、安心して行ってくるんじゃ」
――その日の夜。
トントン。
明狼の部屋にノックの音が響く。
明狼が扉を開けると、そこには落ち着いた色とデザインのパジャマ姿で、枕を両腕でぎゅうっと抱えた芽緒が立っていた。
芽緒は俯き、視線だけを明狼に向ける。
「その……寝付けなくて、それで、明狼様に、お願いがあって……」




