あなたの魔力はどこから?
「頂上に来るまでの間も、アタシとの戦闘中も、大量の魔力を消費しておったじゃろう? その上で今もこうしてかなりの魔力を使っておるわけじゃし、どこから――あるいは何から、魔力を引っ張り出しておるんじゃ?」
「魔力を引っ張り出す?」
威扇の疑問にあまり心当たりのなかった明狼は、首を傾げる。
実際、全くないというわけではなく、明狼は自身の魔力が尽きることなく使えていることに、多少なりとも疑問は抱いていたが、どうせ羅羽羅の仕業であり、気にしても仕方がないことと割り切っていたのだった。
「魔力を扱うこととか、魔法とか、導入――使える状態にしてもらったもので、恥ずかしい話ですが、魔力にしても魔法にしても、全て与えられたものでしかなくて、自分で使うものだというのに、全然把握できてないんですよね」
「ふむ……?」
明狼の話を聞いた威扇は、呆れたような表情で言う。
「たしかにメイロウは自分の事を全然わかっておらぬようじゃのう。
お主の扱う魔力多くが、どこかから引っ張り出してきたものであるのは間違いないが、全てとは言っておらん。
お主自身からも魔力は湧き出ておるしの」
「俺から魔力が?」
「うむ。メイロウからはお主自身の魔力と、どこかから引っ張り出してきている魔力、その二つが感じられるのう」
「なるほど」
明狼は自らの出自に何故か興味が湧かず、深く考えたことは無かったが、物心付いた時から隣にはあの羅羽羅が居て、魔力を持っているとなれば、そういうことなのだろうと腑に落ちる。
「それと、魔法も授かり物みたいな言い方しておったが」
「はい」
「今やってる【転移】の魔法は、どうやって覚えたんじゃ?」
「覚えたというか、何となくというか、こうすれば使えるって感覚で、ですかね? 他の魔法も含めて」
「そうか。であれば、魔法もメイロウが元々使うことができたものってことじゃろうのう」
「そうなんですね」
「自分の事をなのにずいぶんと他人事のように言うのう」
「他人事って思ってるわけでもない……こともないのか?」
自問自答する明狼。
実際、他人事のように感じているのは間違いなさそうではあった。
「元々俺には、魔法を使う才能? のようなものがあったとしても、魔力の感覚も、魔法を使えるような感覚も、導入してもらうまでは無かったですけどね」
「その導入とやらは、誰にしてもらったんじゃ?」
「羅羽羅っていう、幼馴染みの女の子に、ですね」
「それはどのようにしたんじゃ?」
「これ、なんですけど」
明狼は、【転移】の準備をしながら、服の裾をたくし上げ、お腹――に描かれたモノ――を威扇に見せる。
「ふむ。これは……」
「何かわかるんですか?」
「さっぱりわからんということはわかった」
どうやら威扇にもよくわからない代物のようだ。
「その、ラウラというおなごは教えてくれぬのか?」
「そうですね。特にはなにも」
「お主から聞いたりもせんのか?」
「俺に必要であれば、話してくれてるはずですので、そうでないということは、少なくとも今は知る必要がないってことなので」
「信頼しておるんじゃな」
「まあ、ある程度は」
「お主の妻か?」
「いや、似たようなものだけど違う、かな?」
「ふむ。曖昧じゃのう。
まあ、理由や経緯はどうあれ、お主が魔法を使えるということに変わりないわけじゃしな」
「そうですね」
「アタシとしてもそっちよりは、お主の魔力の源のが気になるしのう。
正直、お主の魔力が底なし過ぎて、防御を突破する術が見つからんかったからのう」
威扇は思い返したのか困ったような表情を見せる。
「ちょっと調べさせてもらうかの」
威扇はそう言うと、明狼の全身あちこちを触り始める。
「ひとの体を勝手に……何を調べてるんですか?」
「魔力を供給する何か――例えば魔力を貯め込んだ装飾品とかを、身に着けておらんかのうと」
「そんな物はないです」
「本人の知らぬところで、着けられておるかもしれんしのう」
「魔力をどこかからもらってる意識なんてなかったので、俺の知らぬところで何かされてるのは間違いないですけど」
「あとはこことかどうかの?」
威扇は、戦闘中のような目に見えない速度で動き、明狼のズボンを下着ごと下ろす。
「ええと……脱がしたかっただけですか?」
明狼は冷めた目で以前を見下ろす。
「ふむ。なかなか立派なもんがついておるからか、動じぬのう」
威扇はニヤニヤとしながら、しゃがむような体勢で明狼の「立派なもん」を観察している。
明狼はため息をひとつ入れ、下着とズボンを履き直す。
「それで、何か見つかりましたか?」
「特にそれらしきものは何もなさそうじゃの」
「そうですか……。
こっちは【転移】の準備できました」
「では行くかの」
「行くってどこにです?」
「そりゃあお主の家に決まっておるじゃろ」




