表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/59

脱いでください

「これ、昨日見ました!」


 部屋の中央部を指差してそう言う日美々に、明狼は首を傾げる。


「昨日? どこで見たの?」


「ここです!」


 日美々はそう言うと、明狼の正面に回って腰をかがめると、明狼の服の裾をたくし上げる。


「――――え?」


 固まる明狼の、へその辺りを凝視する日美々。


「にみ?」


「うーん……」


「にみみさん?」


「うん! やっぱりおんなじだね!」

 

「同じ?」


「めいろくんのおへそ周りの模様と、この部屋の真ん中にある模様」


 言われて明狼は、改めて部屋の中央部を見る。


(そう言われてみると、たしかに見覚えがあるかも?)


 明狼は自身への興味の無さと共に、日美々が昨日しっかりと見ていたという事実を再認識していた。


「昨日のにみは、俺の身体に書かれている模様をじっくり見てたのか」


「それは違います。めいろくんの()()()()()()を見てました」


 即否定された明狼は、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「ついでに見えていたので、覚えてただけです」 


 あくまでついでだと日美々は言う。


 明狼は、何年も付き合ってきた、自らの身体書かれたほとんど覚えていなかった模様を改めて見直す。


 そして部屋の中心部に書かれた模様と比較する。


「たしかに似てる――というか、同じものみたいだね」


「この模様に、術? を発動させる効果があるとか?」 


「それだと羅羽羅は、真っ先に俺の身体にこれを書かなきゃいけないはずだけど、そんなことは無かったからなあ」


「うーん」


 部屋中の模様を見回しながら、日美々が唸りながら何かを考えている。


「とりあえずめいろくん」


「はい」


「脱いでください」


「……はい?」


「服を脱いで裸になって」


「なんで?」


「確認します」


「確認?」


「はい。めいろくんの身体にある模様と、同じものが他に無いか、隅から隅まで目を皿のようにして探します」


 真顔で明狼に迫りながら、日美々が訴える。


「にみみさん? なんか、俺の身体を見るのが目当てになってませんか……?」


 自分の身体目当てなんて、普通に言ったら自惚れもいいところだが、この場合は間違って無さそうだと明狼は確信していた。


「まあまあまあまあ気にしない気にしない」


「いやいやいやいや」


「これって後でらうらさんに確認するんだよね?」


「そうなるだろうね」


「こういうおんなじのがありましたって説明できる方が良いと思う」


「羅羽羅には、この部屋をスマホで撮って、画像なり動画なりで見せれば良くない? 俺の身体にあるかどうかも把握してるだろうし」


「……あ――」


 とても残念そうに明狼を見つめる日美々。


「そんな顔してもダメだからね?」


「はーい」


 日美々が落ち着いたところで、明狼はスマートフォンを取り出し、部屋中を撮影し始める。


「ところでめいろくん」


「うん?」


「めいろくんの身体とこの部屋に、ピッタリ一致する模様があるってことは、黒幕がらうらさんって可能性もあるんじゃあ?」


「可能性としてはあるね」


「可能性としてはあるけど、無い?」


「うん」


「らうらさんに感情を植え付けられてるかもって疑うのに、これはらうらさんの仕業ではないと思ってるんだ?」


「羅羽羅は俺に対してはなんでもありだけど、そうじゃないならちゃんと弁えてるはず」


「なるほどー。信頼だなあ」


 日美々は羨ましそうな顔を浮かべる。


「でも、私もめいろくんとの絆をこれから深めていけばいいんだよね」


 日美々はそう言って気合を入れる。


「ね? めいろくん」


「えっと……はい」


 日美々の笑顔の圧に負けて頷く明狼。


 そんな明狼とのやり取りに満足したのか、日美々は振り返り、改めて部屋中を見回す。


「ここでストーカー野郎がダンジョンを召喚? したってことでいいんだよね?」


「あいつがやったっていうのが本当なら、ここでやったんだろうね」


「他にもなにか残ってるかな?」


「何か出てくるとかはないと思うけど、慎重に調べてみよう」


 明狼がそう言うと、二人は部屋の中を探る。


 何ヶ所か調べた後、勉強机の引き出しを開けた明狼の動きが止まる。


 横から覗き込むようにして見た日美々の、その目が冷ややかなものに変わっていく。


「うわー……これは」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ