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鎮座ましましたるは

 ここまでで、モンスター同士が繁殖しているかどうかはまだ確認できていないものの、ダンジョン内の魔素によって出現し、魔素によって消し去られるという事象は確認できた。


 そして、魔力を込めた(エンチャントした)弾であれば、ゴブリンであれば倒すこともできることは確認できた。試していないが、おそらくエンチャントした刀や剣、ナイフであれば、直接攻撃も通じることだろう。


 初のダンジョン調査としては、十分な成果を得られたのではないかと明狼は考える。


 明狼はこのまま引き返すことも考えたが、ここはまだ入口である。せめてある程度見るべきかと考え直す。


「二階、三階を見てみようと思うんだけどいいかな?」


「はい!」


 ゴブリンのうろつくダンジョン内を見て回るというだけなのに、嬉しそうに日美々は返し、明狼に手を差し出した。



 居合わせたゴブリンたちを、明狼の魔法で一掃しながら二人は進む。


 二階に上がり、明狼の魔法で周囲を確認しつつ歩いていると、教室――だった場所――の中に違和感を覚えた。


「うん?」


「めいろくん? どうしたの?」


「ここに何かある」


 明狼はそう言うと、昨日まで教室だった部屋のドアを開けて這入る。


 中に居たゴブリンは、明狼が這入ると同時に魔法によって倒されていた。


 明狼と日美々は、教卓の上に鎮座まします物体に目を奪われる。


 それは紛れもなく、宝箱と呼ばれる茶色い箱だった。



「宝箱だよね?」


「うん。どう見ても宝箱だね」


「開けてみる?」


「罠じゃなければ」


「罠だったりするのかな?」


「可能性はありそう。とりあえず調べてみる」


 明狼は、魔法でこの部屋の中を調べる。


「この教室の中には罠らしきものはなさそうかな。宝箱自体は近付いてみないとわからないけど」


 明狼はそう言うと、日美々を従え宝箱に向かって歩き出す。


「これ誰が置いたんだろうね? ゴブリン?」


 日美々が宝箱を見ながら言う。


「ダンジョンが産み出したんじゃないかな?」


「なんでダンジョンが?」


「たぶんだけど、人をおびき寄せるためじゃないかな?」


「宝箱で誘って、モンスターで倒す、と?」


「で、倒した人を栄養にする」


「まるでダンジョンが生きてるみたいだね」


「実際そうなんじゃないかな? だから羅羽羅もダンジョンが()()してきたなんて言ったんだと思うよ」


「うーん……らうらさんは知ってたってこと?」


「羅羽羅だからなあ……知ってたとしてもおかしくないんだよなあ」


 明狼には未だによくわからない御業で、自身に魔法をもたらした人物である。それくらいわかってても不思議ではない。わかってる上で何も語らず、こうして調査に送り出すような真似をすることもあるだろうと明狼は思う。


 そんな風に日美々と会話をしながら、明狼は宝箱そのものに罠が仕掛けられていないか、宝箱の見た目をしたモンスターではないかを調べていた。


「調べたけど宝箱も大丈夫そう。あとは鍵が掛かってないといいんだけど」


 そう言いながら明狼は宝箱を開ける。


 鍵が掛かっているようなことはなく、宝箱はあっさりとその中身を二人の前に晒した。


 宝箱の中には、一本の細長い瓶のようなものが入っており、中の液体の色のせいか、瓶のようなものの色なのか、青色に見える。


「青い瓶?」


「うん」


 明狼が取り出す。


「おそらくはポーションと呼ばれるやつだろうね」


 ゲームの世界でいえば、HPなりMPなりを回復してくれるアイテムに該当する物であろうと、手にした瓶を見ながら明狼は考察する。


「飲んでみる?」


「いや、やめとこう」


「私が飲んで試してもいいよ? 何かあったらめいろ君が助けてくれればいいし」


 実験台に名乗り出る日美々。


「そういう危険な物ではなさそうだけど、調査の一環として持ち帰るべきかなと」


「そっか〜。他にもあって、飲んで試すなら私が飲むね。めいろくんが飲んで魔法が使えなくなるとか困るし」


 日美々はふんすと気合を入れる。


「害が無いとしても、にみを実験台にはしたくないかな」


「ふーん……」


 日美々は飲みたかったのか、何かしらの役に立ちたかったのか、残念そうな表情をしているが、どうやら尻尾は嬉しそうにぶんぶん振っているように見える。



 二階には明狼たちが足繁く通い続けた教室もあり、一応様子を確認したが、何も残ってはいなかった。


「全部見たわけじゃないけど、二階にはこれ以上無さそうだから、上に行こうかな」


 日美々に明狼は言う。


「はーい」


 明狼は日美々と手を繋ぎながら三階へと階段を上がっていく。


 三階で魔法を使い、探索した明狼が驚きの声を上げる。


「――――――人が居る」

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