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エッセイ集積所

峠の釜飯が仲間になりたそうに

作者: しめさば

 群馬県の「峠の釜飯」を食べる機会があった。

 小さな釜の形をした焼き物に、具沢山の炊き込みご飯が詰められた上品な弁当で、長らく人気を博している。

 珍しいのは杏子が入っていること。

 酢豚にパイナップル的な不愉快さを覚える人もあるかもしれないが、個人的には、拒絶感を覚えないギリギリのラインを突いてくる絶妙な甘さと酸味で、唸るほど美味しかった。

 入れ物は貰えるので、食べ終わったら、自分なりの一皿を考えるのも楽しい。


 群馬は美味いものが多い。

 「焼きまんじゅう」が特にお気に入りだ。

 肉まんの皮のような生地の白い饅頭を串に三〜四連、甘い味噌だれをベトベトに塗って香ばしく焼いた一品である。

 血糖値は爆上がるが、あと引く甘辛さで、一本ペロリといけてしまう。

 もっと広く知れ渡っていいと思う。

 その奥ゆかしさもたまらない。


 初天神という落語を思い出す。

 縁日に連れていけとごねる子どもと、金がかかるからと渋る父親の話で、子どものあざとい交渉術と、大人げない父親の醜態がアンバランスで面白い噺だ。

 観客が沸くのが、閉じた扇子を団子に見立て、みたらしの蜜が垂れるのを、あっちゃこっちゃと父親が舐める場面。

 パントマイムと横文字で言ってしまうと興醒めかもしれないが、名人の妙技を見ることができる。拍手喝采である。

 ガリガリ君の食べ終わる間際で、似たような経験を、日本人なら誰もがしているだろう。

 それで共感を呼ぶのかもしれない。

 落語業界は赤城乳業とタイアップしても良いと思う。


 焼きまんじゅうは垂れてこそこないが、ベトベトさでは負けていない。

 また格闘したいと想いを馳せてしまう。

 一度出会ったら忘れない顔で、面白い奴である。

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