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深淵よりの妖塊

作者: 豚蛇

 宇宙は果てしない。

 多くの星々が生まれては消え、多くの歴史が形作られては、忘れ去られて行く。

 無数の次元が交錯する中、暗黒宇宙の膨張は停まることを知らぬ。

 地球とは、その大宇宙において、存在しないのと同じ位、非力で、はかなく、限りなく小さな点でしかない。

 そこに住む人々はさらに小っぽけな存在であり、宇宙のスケールのあまりの巨大さについて行けず、哀れにも宇宙の本質の非常な深みにまでその科学力をもってして踏み入れていると思いながら、その実全く理解していないのである。

 しかし、だからこそ彼等は幸せでいられるのだ。この無限の深淵に、一体如何なる者共が存在しているのか、人間の、あるいはその何億倍以上の、それどころか無限倍の頭脳と科学力をもってしても解き明かすことの出来ぬ、如何なる脅威と恐怖が横たわっているのか、人々がそれを知ったら、世界はどうなってしまうのか、想像すら出来ないことなのだから――。

 しかし、いつの世にも凡人に比べて精神の鋭敏な者がおり、一般人よりも世界の真相を理解し得ることがあるのである。そしてさらにその中には、宇宙の本質を――脅威と恐怖を――崇め尊び、それを真っ向から受け入れようとする、俗に言う狂気の集団が、存在するのである。


 広大なアマゾンのジャングル地帯の一角から、一筋の煙が立ち登っていた。

 もしも近くで観察出来るものがいたならば、これが原住民の一部族による、彼等なりに大規模な祭儀か何かであることが分かったであろう。切り開かれた森の一角で、二、三十人の男女が炎の周りで踊り回っている。一番外側に長老達が環になって、木の幹をくりぬき、獣皮をはりつけた粗末な太鼓を全くリズムの読みとれぬ叩き方で叩いている。彼等の内側には、さらに二重の環の形にくべられた薪木が赤々と燃え、その二つの炎の環の間で奇妙な紋様を様々な色で体にぬりたくった、褐色の肌をしたほとんど裸の男女が木の枝で造った即席の杖をふり回してぐるぐる回っているのだ。彼等は奇声を発し、意味不明の言葉を半ば詠唱じみた調子でわめき散らしていた。そして彼等から二十フィートほど離れた円の中心に、不思議な物が立てられていた。

 白っぽい色をしていて、明らかに石で出来たものではあるが、針金をくしゃくしゃにねじ曲げ丸めこんだような、直径〇・七フィート程度のロープ塊めいた形状に彫り込まれていたのである。そしてその片方の末端部が中心から伸びて上を向き、先端で少し拡がり盃状を成し、そこに直径一・四フィート位の磨き抜かれた黒い球形の石が載っているのである。

 そして、この魔宴はアマゾン奥地だけで行われているのではなかった。様式は異なりこそすれ、根本的には同様の祭儀を、同じ時間に、様々な場所で、世界中を埋めつくす人々の中のごく少数の者達が、人目を避けて秘かにとり行っていたのである。ニューヨークの地下で黒いローブを着た人々が青い炎のゆらめく中、不気味な祭壇に祈りを捧げ、イヌイットが氷の上に人骨を積み上げてわめき立て、日本の山奥で修験者の如き出で立ちの者達が狂気の笑いを立てながら滝に打たれ、アフリカで砂漠の民が集団で頭を砂に突っ込みもがいていた。

 多種多様な者達が、それぞれの方法で、とりどりの喚びを上げている中、たった一つ共通して、絡まったロープの様な、黒球を頂く花崗岩の石創物が中央に据えられていた。そして、彼等の喚びに変化が表れ始め、徐々に共通の――意味は不明のままだが――呪文の如き詠唱へと変化していった。距離が隔たっているにも拘わらず、間もなく各地で詠唱の声は一つに揃い始めた。


「……イェイ、イェイ、ブグトラグルン……」

「……ブホオ=イイ……ヌーグルムフガナコピ……」

「……ナンブルアヌガカ……アホ……ゲプヒビコムゲ=ゴネレレフフ、ングァ、ネグ、イア……」


 そしてアマゾン奥地、長老の一人が現地の言語で声高に叫んだ。「……遂ニ我ラガ悲願ノ時ハ来タレリ……我ラガ主ノ統治ノ時ハ来タレリ……」

「……ガボーラ……ガブーラ……ガゼーラ……」

 詠唱はさらに一つの単語を頻繁に唱える様になり始めた。

「ガドゥーバ……ガドゥーバ……ガドゥーバ!!」と。

 ――程なく、彼等の叫びは絶頂に達し、黒い球体から青い炎が発して一筋の光となり、天に昇っていったように見えた。


 その頃――

 太陽系から程遠くない宇宙空間に、奇妙なひずみが出来始めていた。

 初めは、背後の星々が震え出し、歪み、最後には光が消え去り、暗黒の「穴」が出来上がった。

 そこから、虹色の火花を散らしながら、「それ」が現れた。

 

「UFO出現」――

 新聞の記事を見るなり、ロバート・ラトリッジは唸り声を上げた。つい一週間程前、初めてこの「空飛ぶ円盤」の記事が新聞の片隅に載っているのを見た時、彼はフンと鼻を鳴らしたものだ。大方自然現象のいたずらか、実際には何ということのないつまらぬ物を撮影して大さわぎしているのだろうと思っていた。

 彼にそう確信させていたのは被写体の小ささであったのだが、今ではその確信も揺らぎつつある。どう見ても今彼の見ている写真は、まだかなり小さなものであるとはしても、はっきりと形の識別出来る程度のものとなっている上、どう見てもUFO以外の何物でもないものであった。彼はこの手の話をあまり受け付けない人間であったのでいささか不愉快であった。そして、さして日をおかぬうちに、それを自分の目で見ることになったのである。

 彼はカリフォルニア州のとある町の大学に通う学生であった。大して優秀なわけでもなく、短めに切り揃えた少しくせっ気のある金髪と、眼鏡をかけた薄い青色の目をした顔は、何年間か留年を重ねたおかげで細い体躯とあいまって年配じみた雰囲気を醸し出している。賑やかな通りに入り、少し経ってから人々が空を見上げて叫んでいるのに気づき、上空を振り仰いでみると、午前中の眩しい日差しと雲一つない青空の(もと)、群集の真上にあたるところに例の空飛ぶ円盤が微動だにせず浮かんでいるのだ。今まで見たどの写真のものよりも大きく見え、太陽の光を反射して、白銀のボディがキラキラと輝いている。ラトリッジはこの円盤に不安を覚え、それは徐々に恐怖に変化した。太陽が地球に大接近し、いつもの三倍もの大きさになって燃え上がっているのを見る様な、何とも不可解な恐怖である。何故円盤を見た位でこんなに感情が揺るがされるのだろうか。周囲を見渡すと、他の者も同じ様に感じているのが分かった。

 やがて円盤は動き出した。初めはゆっくり移動していたが、徐々に速くなり、ついには高速で蠅の如く不規則に狂い飛び、突然パッと消えてなくなってしまった。地上の人々はただぼう然と円盤の消え去った箇所を見つめ続けていた。


 講堂に入ると、あちこちでUFOの話が交わされており、彼のところにも仲間が集まってきた。

「やあ、ラトリッジ。今朝の空飛ぶ円盤、見たかい?」

「お早うスティーブ……見たよ。何かこう、嫌な感じがした」

「確かに何ともいえない不安感を感じたな」

 スティーブは茶色い目を眠そうにこすりながら言った。

「でも、こんな頻繁にUFOが見られるなんて滅多にないことよ。謎の巨大円盤……何となくロマンチックじゃない?」

「何言ってんだ。お前はまだ実物は自分の目で見てないんだろ。だからそんな呑気なこと言えるんだ。あの嫌悪感を体験したらそんなこと言ってられないぞ。悪いやつが乗ってるんじゃないだろうか」と隣に来た銀髪の女性にラトリッジ。

「でもそれはあんな変な見慣れないものをまじまじと見たからそう思うだけじゃないの? 思い過ごしよ」彼女はいたって楽観的に応えた。

「実際見てみればわかるさ……。でも、まあ、レディアの言う通りだろうがな」

 ……とは言ったものの、見慣れないものを見たからといってああまで不気味な思いが出来るだろうか。ラトリッジにはどうしてもそうは思い込めなかった。

 しばらく経ってから、ラトリッジの通う大学の建つ町の周辺は不可解な倦怠感に覆われた。発熱や風邪の症状を訴える者も激増した。ラトリッジもひどい風邪をひき、学校に長らく行けない状態がつづいていた。町の住人の多くが、個人差こそあれ同じ様な目に遭っているらしい。倦怠感は依然として続くものの、なんとか風邪のおさまった彼は、あくる日大学へ行ってみると、多くの者が欠席し、教師までが学校を休み休講がやたらと有る有様だった。しかし何故か郊外から来る者はそれほど被害を受けておらず、ラトリッジはこれは何か悪性のビールスによるもので、町全体が封鎖されるのも時間の問題なのではないかなどと考えるようになっていた。

 家に帰りがてら、仲間達と一緒に近くに住む学校を休んだ友人の家に見舞いに行った。

「ハリー、具合はどうだ?」

「ああ、みんな……。咳と熱がひどいんだ。あまり近よらない方がいいよ」

「全くひどいことになったもんだ。一体どうなっちまってんだ」

「でも休講が多くなるのはうれしいよな」

「馬鹿だなジャック、そんなこと言ってる場合じゃないだろ。でもなんでこの町だけこんなことになってしまったんだ……」

「わりと小さな町だから、病気が広まるのも早いみたいね」

「そのことなんだが……」とハリー。「こんなことになったのは、あの円盤が現れてからじゃないか?」

「それは考えすぎじゃない? 放射線でも出してるんならカゼどころですむわけないし……」とレディア。

「そうかな。それならいいんだが……」

 その日は皆コンディションも悪かったので早々にハリーに別れを告げ、それぞれの帰路についた。しかしラトリッジにはハリーの言ったことが気にかかって仕方がなかった。


 ある日、ラトリッジは夢を見た。暗い森の中に一軒の小屋が立っている。内側から薄明りがもれており、彼はだんだんそこへ引きよせられていった。戸が開き、中へ入ると黴臭い空気が漂っており、蝋燭を置いた粗末なテーブルを前に、これまた粗末な椅子に腰かけた老人が一人、フードに埋もれた目で彼をじっと見すえていた。薄めのグレーのローブに身を包み、くさび形文字のようなものが沢山彫りこまれた金製の逆三角形の中心に、丸い紫色をした宝石を埋めこんだネックレスをその上からかけている。壁は古臭い書物で埋められ、老人の座っている机の上にも古く、黄変した紙にラテン語に似た文字で手書きされた厚い本がのっていた。

「よく来たな」老人は言った。ローブの中で青い目が光る。「待っていたぞ」

 ラトリッジは不思議と抗う気も起きぬまま老人の傍らに立った。老人は本のページをめくりながら言った。「お前達の町は……いや、今地球全土が危機にさらされておると言っていいかもしれん。お主も薄々感づいているだろう。今町を襲っている事態は、尋常のものではないのじゃ。率直に言おう。地球は今、邪神ガドゥーバの脅威にさらされておる。お主らが空飛ぶ円盤と言って騒いでおる物体……あれがガドゥーバじゃ。(きゃつ)は人々の生気を吸い取り、力を蓄えておる。人々が病に倒れ易くなっているのは、体の抵抗力が低下しているからじゃ。このままでは取り返しのつかぬことになる。

「ガドゥーバは偉大なる古き神々の眷族じゃ。故にその思考――と言ってよければだが――も人間の常軌を逸しておる。本来なら地球など目にもくれないのかもしれん。が、言い伝えによれば、長い長い年月の中でたまたま、()()()()()()()()()()()()()()()()、というのが存在するのじゃ。あの神の信者はごくごく少数ながら、世界に散らばっておる。彼らだけがこの『運命の日』を知っているという。そしてその日が、つい最近訪れてしまったというわけじゃ。

「信者達はその日に闇の中で邪悪な儀式を行ったのじゃろう。はたしてあの神は、よび出されてしまった。この『運命の日』によび出されると、やつの注意は地球にある。地球にとりつき、災厄をまきちらし、恐怖を喰らい、大都市の一つや二つ、壊滅させたぐらいでは離れようとはせんだろう――とは言っても、その程度の破壊ですら、星辰の位置が正しい所にもどり、完全なる力を回復した時の奴の力には、とうてい及ばぬものであるのじゃがな……。ともかく、召喚されてすぐに破壊活動を行うわけではない。しばらくはお主が経験したように、人々の生命エネルギーを吸いとって、力を蓄えておるのじゃ。ガドゥーバが力を蓄えている間現れるのは、ある程度数の揃った信者が召喚の儀式を行った場所の周辺のみに限られておる。これはお主の町のどこかに信者共が潜んでいることを意味する。そして、少なからず他の幾つかの地域でも同じことが起こっているはずじゃ……」

 老人の突拍子もない話を耳にしながら、ラトリッジはどうして良いか分からずにただただ立ち竦んでいた。ガドゥーバ? あのUFOが邪神? 生きものだというのか? いや、邪神ならば生きものすら超越していると? あいつが世界を滅ぼす? そんな馬鹿なこと……。

 しかし馬鹿げた作り話と思い込もうとしても、今まで自分が感じていた危機感と照らしあわせて、どうしても否定しきれないでいた。

 老人が本の頁の一ヶ所に指をあて、囁くように言った。「この箇所を読んでみろ」

 彼はラテン語など分からぬ筈だったが、何故か書かれた文章が手に取る様に理解出来た。それにはこう書いてあった――


 大いなるガドゥーバ、彼のもの、宇宙の深遠より現る。旧支配者グレート・オールド・ワンズの一人にして、測り知れぬ力の持ち主なり。彼のもの、常に澄明たらんとするバルゼーと共にクグサクサクルスより生まれ出でけり。その体は無限の硬度の金属塊なり。何者もガドゥーバを傷つけること能わず。彼のもの、はるか太古に地上を訪れ、シャッド=メルをその背に大空を駆け、ヨグ=ソトースの歌声を聞きしもの、グラーキをアトラク=ナクアに邂逅させしものなり。彼のもの物質にして物質にあらず、侮るなかれ。


 彼が読み終わると、目の前の光景が光に包まれ、気がつくと空中に浮いた状態で、眼下の情景を見下ろしていた。

 そこには大勢の人々がいた。本当に大勢だ。遠くに山々がそびえ、その手前に大きな町――というより都市――が発達している。家々があり、みな風変わりな石作りで、割と低い一般人のものらしきそれや、城の様な高くそびえ立つものまである。そしてその石畳の街路の到るところに、人々がひしめき、泣き、喚き、叫んでいた。皆腕や脚のあらわになった鮮やかな布地の服を着て、サンダルの様なものをはき、腕輪や足飾りをつけている。その他に銀や銅などの立派な鎧と兜に身を包み、大剣をもった騎士団らしきものや、ローブをまとい杖をもつ僧侶も混じっていた。そして――彼等と自分の頭上に、それがいた。

 銀色に輝く件の円盤――ガドゥーバ。

 ラトリッジは大きな街道に降り立ち、大衆と共にその異様な姿を見つめた。人々は彼の体を次々とすり抜けて行く。その人々の、そして彼の真上に浮かぶ恐怖の源――今まで彼が見たどれよりも近づき、大きく見える。実際、それは大きかった。その巨大な物体が眼下の逃げ惑う人々を嘲るように、時々微妙に位置を変えつつ音もなく旋回している。見ているだけで吐き気を催すその嫌悪感がこの物体から湧き出ているのを彼は感じた。そして円盤はしばらくすると、より地上に接近していった。

 惨事が始まった。

 円盤は彼から少し離れた所に一気に降下し、下にひしめいていた人々を大音響と共に押しつぶした。地上に輝く金属塊の大山が数秒間そびえ、その後再び遥か高空へと一気に上昇する。あまりの出来事に惑乱しつつも事態のありさまを近傍より窺えば、円盤の浮かび上がった後には巨大なクレーターと、その底にへばりついた形のない血と肉の塊だけが残っていた。その異常極まりない重量をまざまざと見せつける悪夢はなおも覚めることなく、妖塊はまたしても急降下して大地に巨大な烙印を捺した後、今度は上昇せず低空飛行で人々の群れを吹っ飛ばし、家々を破壊し、恐怖をまきちらしていった。騎士達は聖剣を手に、勇ましく――あるいは愚かにも――円盤に切り込んで行くが、巨像に挑む蚤の群れも同然で、彼等の鋼鉄をも切り裂くその剣も、嫌な金属音を立てて折れ飛ぶか、例え折れずとも相手の身体には髪の毛一筋程の傷をもつけることが出来ぬのだ。ローブをまとった僧侶達も、何やら呪文を唱え、火球やら、雷光の如きものを杖から発するのだが、これも一向に相手に効かぬ。ほどなく彼等も狂乱の衆の仲間入りをはたした。

 ラトリッジのすぐ近くまで突っこんで来たので、彼は思わず飛びのき、空中にどんどん浮上していった。実に巨大である。直径五百ヤードは下らないだろう。全身は銀色に輝き、あれだけ暴走したにもかかわらず傷一つなく、完全に磨き上げた石の様につべつべとしていて、鏡の様でもある。時々、シャボン玉の膜の様な、虹色の照り返しを見せることすらある。円盤とは言うもののかなり肉厚で、長短径の比率が二対一程度の楕円形の、短径を軸とした回転楕円体を思い浮かべて貰うと良い。

 その円盤がラトリッジの眼下をよぎり、ついに彼の視界に今まで明示されていなかった円盤上部を露わとした。彼は悲鳴を上げた。

 円盤を見下ろす形で、その頂部にあるものを見ていた。

 それは三つの「眼」だった。しかし眼と言っても、赤い、透明の、ルビーの様な直径十~十五ヤード程度の球体が一辺二○~三十ヤード程の三角形の頂点を成す様に埋めこまれているだけである。しかし――それにも拘わらずその「眼」は邪悪の知性を、克明に宿しているのだった。彼は今や完全に悟っていた。これは空飛ぶ円盤などではない。宇宙人のつまらぬ空飛ぶ機械が、こんな邪気を発散するはずはない。これはガドゥーバなのだ。旧支配者の一人、邪悪なるガドゥーバなのだ!!

 彼は嘔吐した。ガドゥーバの殺戮は再開され、あたり一面原形をとどめるもののない瓦礫の山と化したが、すでにその光景をつぶさに見てとる程の気力は残っていなかった。


 再び光に包まれ、彼は元の老人の家の中に戻っていた。あれ以上いたら完全に発狂していたであろう。あの世界がいつの時代の、あるいはどこの次元のものか分からなかったが、もはやそんなことを聞く気にもならなかった。

「今のはまだ穏やかな方じゃ」老人が言った。「今見て来た光景で、ガドゥーバを放つことがどんな結末を招くか、お主には充分分かったはずじゃ。しかし……危なかった。お前さんはあやうく奴に見つけられるところだった……今の光景は単なる記憶の再生――分かりやすく言えば録画装置の再生画像――にすぎんのじゃが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。我々の常識など奴には全く通用せんのだ」

 ラトリッジはやっと落ちついてきていたが、まだ心臓の鼓動が早鐘の様に鳴り響いていた。

「何故お主がここに呼ばれたか、それを今から教えよう。既に人知をこえた存在について信じずにはいられぬ状態じゃろうからな」と言って老人は語り出した。

「お主ははるか太古に栄えたムー大陸の大司祭――ベル=ヤルナクのヴォルヴァドスの大司祭の血を引く子孫なのじゃ。ヴォルヴァドスだけが――あるいはヴォルヴァドスの()()呪文だけが――ガドゥーバを追放する力を持っておる。お主はこの地球のためにもヴォルヴァドスにガドゥーバを追放させねばならんのだ」

「なぜ私が――なぜよりによって私でなければならないんだ!」

「確かに司祭の血を引く者は他にもおるじゃろう。それどころか、ある程度以上の力さえもっておれば、例え血を引いていなくとも、『運命の日』に召喚されたのでない限り、奴を追い払うことも不可能ではなかろう。しかし今は『運命の日』じゃ。奴の力も普段より段違いに強力なのじゃ。この時のガドゥーバをくい止める力はお主にしか備わっておらぬ。これは定めなのだ。運命がお主を選んだ。ゆえに、お主にしか出来んのだ。それだけのことじゃ……」

 ラトリッジは混乱していた。本当に自分が何とかせねば、この世界が先程の映像の様な惨事に見舞われてしまうのか。

「実際、難しいことは何もない。お主は我々の言う通りのことをしてヴォルヴァドスを呼び出しさえすれば良い。それで全てはうまくいく……」

 だんだん老人が、部屋がかすんできた。

「十日後、再び会おうぞ……お主しかおらぬ……頼んだぞ……」

 その言葉を最後に、周囲の光景は完全にぼやけ、遂に消え失せた。あとには静かな眠りだけが彼を包み込んだ……。


 次の日、彼は大学を休んだ。一日中家におり、混乱した頭を鎮めようと努力した。彼は朝目覚めた時、自分が吐瀉物にまみれているのに気づいた。布団をはずし、シャワーをあびて着がえてから、あれは全て単なる夢だと考えてみたが、夢にしてはあまりにも生々しすぎた。自分がこれからどうしたら良いかはっきりせぬまま、二日が過ぎていった。

 その日の朝はなかなかすがすがしかった。彼は半ば無理矢理に二日前の出来事を単なる悪夢と信じ、久々に大学に行こうと家を出た。

 しばらく行った時だった。――現れた。ガドゥーバ……いや、()()()()()()。ピンポン球位の大きさに見える。地上に近付いて来るようだ。

 しかし何か変だ。彼は人通りの激しい街路を歩いているのに、自分の他は誰も円盤に気づいていないらしい。わずかに犬だけが空を見上げ唸っている。みんなあれが見えないのか? あんなにはっきりしているのに。あの円盤は人に姿が見えないようにすることができるのか? だとしたらなぜ自分だけ見える? 自分が不可思議な力を受け継いでいるから? いいや! あれはただの夢だ!!

 街路を歩く人々は目に見えてコンディションが悪そうである。ラトリッジも初めは朝日をあれほどすがすがしく感じていたのに、もはや頭痛を伴う最悪のコンディションとなっていた。

 その時である。円盤に大きな動きが見受けられた。下界を品定めするが如く、しばらくゆっくりと円を描く様に周辺を巡った後――頭上の一点でぴたりと止まったかと思うと、鏡の様に日の光を反射しながら、その輪郭を微妙に変形させていったのだ。相も変わらず周囲の人々が上空の様相に気づかぬ中、ラトリッジは一人で上空の物体の変化とその意図について不安な思いを巡らせていたが、突如として悟った。

 何のことはない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 反射と陰影に束の間目を眩まされ、三次元的な回転を二次元的に捉えたことで、円盤の径が増減して見えたというに過ぎなかった。だが、彼はその些細な事実の裏に――まさしく裏にこそ――言い知れぬ恐怖を感じ始めていた。自分は実際にあの円盤の「上面」を見たことなどないのだ。どの様になっているかなど知らないはずだ。ひっくり返したところで、下面と何ら変わらぬ銀色の曲面が見えるだけ……いや、どうなっているにしろ、少くとも言い知れぬ狂気を呼び起こすような、忌まわしき三つ目などは断じついていないのだ!!

 ラトリッジのその僅かの希望もしかし、程なく脆くも崩れ去る運命にあった。なぜなら、円盤がゆっくりと完全に上面を下に向けた時、そこに見えたのは地上の虫ケラどもがどうしているか探ってでもいるような、恐ろしい邪悪の理性を内に秘めた、虹彩も瞳もない、それでいてはっきりそうだと分かる、三つの赤い恐怖の目であったのだ。

 ラトリッジは、悲鳴を上げながら家に逃げ帰った。

 それから後、彼はもはや恐怖の神ガドゥーバの存在を信じざるを得なかった。その出来事を契機に人が変わった様になった彼は、邪悪の知識についての情報を集め、狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードの『ネクロノミコン』の存在をつきとめ、はるかマサチューセッツ州アーカムのミスカトニック大学付属図書館まで赴き、かの魔道書を閲覧し、その他『エイボンの書』『無名祭祀書』『グラーキの黙示録』など講義にも行かずに読みあさり、禁断の知識に精通していった。そしてガドゥーバの同類――ツァトゥグァ、クトゥルー、シュブ=ニグラス、さらにナイアルラトホテップや「万物の王」アザトースの存在を知ったのだった。


 かくして運命の十日目の夜が来ようとしていた。彼はヴォルヴァドスの大司祭の子孫として、ガドゥーバと対決する覚悟を決めていた。

 その夜は睡眠薬を飲んで寝た。深い眠りの中、あの例の森と、そこに立つ小屋が現れた。

 中に入るとこの前の老人が前と全く同じ格好で、例のガドゥーバについて詳しく記された魔道書――『ドゥーギ大教典』――をひらいて待っていた。そしてその傍らには、以前は見かけなかった人物――鮮やかなブルーの優しい瞳と、同じ色のよく梳いた真っ直ぐの長い髪、それに老人と同じグレーのローブと三角のネックレスをつけた、二十歳前後の東洋的な顔立ちをした美しい女性がおり、その背後に同じいでたちの数人のローブをかぶった人々が佇んでいた。

「来たか」と老人は言い、本をとじた。

「今夜はガドゥーバの高位の司祭が集い、最後の儀式をとり行うことになっている。そしてその儀式がすんだ時……彼の邪神は世界を破壊と恐怖のどん底におとしいれるじゃろう。そしてそれを阻止できるのも、今夜をおいて他にはない」

「古き神々について調べられるだけのことは調べました」とラトリッジ。「私は何をすればいいのだろう?」

「今夜ある場所で儀式が行われ、そこにガドゥーバが降臨する。そこでお主は儂の指示通りヴォルヴァドスを呼び出して、かのものを深淵へと追い返すのじゃ。そこにおる者共がお主を援護する。何も心配はいらん」

 しばらく後、彼等は小屋を出た。すると小屋がゆらいで消え、森も消え、突如四囲を巨大な岩山で囲まれた、石ころと岩だらけの盆地の様な所に出た。彼等はすぐに大きな岩陰に隠れた。盆地の中央で十数人の人々が環になって集っているのだ。暗闇の中で鮮やかに光を放つ緑色の発光物質で、巨大かつ不気味な魔法陣が地面に描かれ、その中央には縮れ丸まったロープの様な意匠の彫刻が、中央に黒球を頂いて祀ってあった。やがて彼等は不気味な詠唱を始め、それは次第に高まっていった。

「こうしてはおれん。タイミングが大事なのでな。良いか。儂の叫ぶ呪文と身振りを真似るのじゃぞ!」と老人は言うと、ラトリッジに向かって何やら複雑な呪文を唱えてきた。

 敵の祈りが最高潮に達した時、中央の黒球が輝いた様に見え、次いで上空にぼやけた円形のものが見え始め、すぐにはっきりとした形をとった。ガドゥーバが召喚されたのだ。

 と、その時、彼等が身を隠していた巨大な岩が、突如粉々にとび散り、仲間の何人かが負傷した。今や彼等の姿は呪文を唱え終わった敵信者の群にさらけ出されている。

 邪教徒の全てがこちらを向いている。しかし、その顔は全くの無表情であり、低いうなり声を発している。皆漆黒のローブを纏っており、約半数の者はフードを被っている。そしてその胸には三角形でなく円形で銀色のネックレスをつけていた。その中心で何やらちらちらと反射しており、ラトリッジには直に見えなかったものの、それが三つの赤い宝石であり、ペンダントが彼等の神を形どっていることが分かっていた。

 中の三人ほどのローブのすそには金の縁取りがあり、象徴的な肩当てをつけている。高位の司祭であることが分かるが、さらにその内の一人、中央に位置するすらりとした背の高い者が指からプスプスと煙を発しており、その者がなにか破壊的な力でもって岩を打ち砕いたらしい。無表情な顔に位置する口から低い呟きが聞こえた。「生け贄だ……生け贄が……増えおった……」

「邪神の司祭共よ。お主らにガドゥーバを放たせる訳にはいかぬ……!」老人が言った。

「それが……この世の……定め……」件の司祭がしわがれ声で言った。かがり火に照らされ、フードの中の長い白髪と切れ長の虚ろな目が見えた。

「我々はお前達の目論みを打ち砕く力を持っておる。ヴォルヴァドスの力は我等にあり。必ずや邪神を放逐しようぞ」

 藻屑の様に揺らいでいる信者たちの口から虚ろなざわめきが聞こえた。と、その時ラトリッジの目は、微動だにせず立ちつくす、三人の高位司祭のうちの一人に釘づけになった。気まぐれな風が吹いた時、その者のフードが外れ、その顔が露わになったのだ。

 彼は信じられなかった。あまりのショックに口も利けずにただ立ち尽くした。その者は女性で、大きな目と、軽くカールしたふさふさの髪――銀色の――そう、かの円盤の様に鮮やかな銀色の髪をしていた。

「レ……レディア……」彼はやっとのことで言った。「なぜ……なぜだ……なぜ君がこんな所に……」

 日常生活では考えられない無表情のまま、レディアはゆっくりと前に進み出た。そして言った。

「そう……あなたが……選ばれし者だったの……。残念だわ……あなたとは、最後まで仲のいい友達でいたかったのに……まあ、それも私達の神が放たれて――世界を死の大地と化すまでのことだったけどね……」

「目を覚ませ! 君は邪神の下僕に操られている!」

「私は元々正気よ……。それに、あなた達は邪神と言うけど、それは人間の勝手な言い分よ……彼等には人間の考えは及ばない……私達の神など、他の多くの旧支配者に比べたら、まだ、分かりやすい方かもよ……」と言ったレディアの顔に、この世のものとも思えぬ邪悪な笑みが浮かんだ。「あなたには……生け贄になってもらうわ……」

 こんな馬鹿なことが! よりによって日ごろ最も身近にいた者の一人が邪神の司祭なんて!

 そんなことを考えている暇はなかった。レディアの周囲から霧が立ちこめ、その霧に自分が引っ張られていくのを感じた。しかし間一髪で仲間の一人が彼を助けだした。

 レディアの顔が悍ましい憎悪で歪み、何らかの呪文を唱え始めた。

「いかん!」老人が叫び、皆に指示すると、彼らの周囲が不思議な霊光で包まれた。

 殆ど時を違えずにレディアの呪文が完成し、空からな数の小隕石群が降ってきた。その威力は強大で、周りの岸壁や地面を打ちくだき、灼熱の炎を吹き上げた。と、霊光の結界にすら影響が及んでその一部に亀裂が生じ、何人かが隕石の直撃を受けて倒れる。

「おのれ、こうしてはおれん……!」老人はラトリッジへの呪文を再開した。「プファテデ! そちらを頼む!」

「御意、エスラル師」 

 プファテデと呼ばれた例の青髪の女性は頷くと部下をつれてレディアと対峙した。

「あなた達に邪魔はさせない」とプファテデが言い、呪文を唱える。

「それはこちらの台詞よ……」今や悪鬼の形相のレディアもそれに対抗する。それぞれの部下も構えをとる。

 その戦いは凄まじかった。雷が飛び交い、炎が吹き上がり、得体の知れぬ力と力がぶつかり合う。まさに精神の戦いである。その中で両者の軍勢は徐々に傷つき倒れながらも一向に勢いの衰える兆しはなかった。

 邪神の司祭の残る二人は何とかガドゥーバへの儀式を完了しようと祈りを続けていた。

 ラトリッジと老人もヴォルヴァドス召喚に集中していた。

 ――そして両者の儀式は、同時に完了した。

 ガドゥーバは地球壊滅の準備を万端とし、ヴォルヴァドスは――ラトリッジの身体に降臨した。人間としての姿が朧げになり、一瞬、異界的な幾何学パターンの容貌と、黒い怜悧な目を垣間見せたが、すぐに全身光輝く神聖な炎に包まれ大きさを増し、邪神目がけて飛んでいった。

 ガドゥーバの三つ目から妖しい雷光がのび、ヴォルヴァドスの動きを一瞬鈍らせたが、ベル=ヤルナクの神は突如異界的な呪文を大音量で唱え始めると、邪神からこの世のものならぬ不気味なうめき声の様な「音」が聞こえてきた。

 ヴォルヴァドス自身の唱えるそれこそ、唯一ガドゥーバに対抗出来る、そしてガドゥーバが唯一恐れる驚異の呪文なのであった。

 しかしガドゥーバの力は計り知れず、その呪文を押し返し始めた。今や二神の力は巨大なエネルギーの奔流となって、互いに押しつ押されつしている。

「いかん、あのままではヴォルヴァドスがもたぬ!」老人は喘いだがどうしようもない。

 一方、プファテデとレディアもまだ戦っていた。今や他の者はみな倒れ、彼等二人だけとなっていた。ガドゥーバの優勢を見ながら、プファテデがもはやこれまでか……と思い始めた頃、レディアの背後、魔法陣の中央の、黒く輝く球体を頂く像に目がいった。そして彼女は決心した。

「我らの勝ちだ! 異教の司祭よ!」レディアが言った。その時プファテデは最後の力を振り絞り、叫んだ。「まだよ!!」そしてその手にした杖から強力かつ巨大な光の矢がレディアに向けて放たれた。

 その威力にたじろいだレディアは脇にすかさずよけた。――が、光の矢はそのまま直進し、魔法陣の中央にある石像の黒球を打ち砕いた。

 その瞬間、ガドゥーバに揺らぎが生じた。黒球と邪神の間に残っていた「何か」のわずかな繋がりが破壊され、邪神に影響を及ぼしたのだ。ヴォルヴァドスはその機を逃さなかった。一気に相手の力を抑え込み不可思議な呪文の力をもろに邪神にたたき込んだ!

 ――そして、全てが終わった。ガドゥーバは聞く者を狂気に陥れるうなりを上げながら、空間の歪みからはるか暗黒の深淵に送り返された。役目を終えたヴォルヴァドスは一瞬その理性的な瞳を地上に向けたかのように思われたが、すぐに消え去り、空中にラトリッジの霊体のみが残された。老人が魔力でそれ引き寄せる。

 レディアをはじめ邪神の司祭共は狂気の罵りを上げていたが、もはやどうすることも出来ない。彼等は奇妙な唱句を発すると、倒れた者共々消え去った。

 しかし消え去り際に憎悪に満ちた言葉を残していった。「ガドゥーバは死なぬ……あれは死ぬ者ではない……ガドゥーバの世界支配を免れたからとて喜ぶではないぞ……彼の神は……力ある者が求めれば……必ず現れる……『運命の日』が避けられたからとて……ガドゥーバの脅威は常に留まるであろう……そしていつの日か旧支配者の支配が復活する……畢竟、地球の運命が少しばかり延びただけなのだ……良く覚えておくがいい……」

 そしてその声も消え、あたりは静寂に包まれた。残っているのはヴォルヴァドスの同盟者のみであった。


 ラトリッジはしばしの休養の後、再び大学に通い始めた。しかしレディアの姿はそれ以来なく、警察が必死で捜索したにも拘わらず、分からず仕舞いであった。そして彼はヴォルヴァドスを呼び出した老人とその仲間のことを考えた。ラトリッジはあの戦いの後、気がついてみると自分の部屋に倒れていたのだ。

 一体彼等はどこから来て、どこへ行ったのか……。彼にはヴォルヴァドス降臨の呪文が完成した所までの記憶があったが、それ以降のことを全く憶えていなかった。しかしガドゥーバが世界を恐怖に陥れていない以上、彼等は勝利したのだということには確信がもてた。

 その時、ラトリッジは彼等の顔つきや服装が、恐怖のヴィジョンの中で見た、邪神に襲われた世界の人々に何となく似ていることに思い至ったのだった。


 数年後。南太平洋上の名もない孤島に、正体不明の発光現象が起こったとの記事が世間を騒がせることになるが、ラトリッジを含め、それが過日の円盤騒動とどんな関りがあるのか、或いはないのか、明確な判断を示せる者はだれ一人いなかった。

 少なくとも、表向きは……。


 年末年始の部屋の整理で発掘された、紛失扱いだった過去の遺物(原稿用紙)第二弾です。

 かなり昔、大学二年生時代に執筆したクトゥルー神話の習作というか、人生で二回目に書いた小説といって差し支えないもので、うん十年の時を経ての、初さらしです。

 登録しただけで未使用・放置の小説執筆サイト有効活用の第二弾でもあります(第一弾はカクヨム投稿の「異次元の傀儡師」参照)。


 第一弾に比べてファンタジー色が強い気がします。

 執筆原稿とはいえ第一弾に比べ未完成度が高く、固有名詞未決定部分やセリフ未決定部分、描写保留、仮名不統一など空白や仮決め、未整合の部分が随所にあったので、この機にそれらを全て埋め尽くし、明らかにおかしな記述をなおし、整合させて完成品としました(ただし、今の自分ならここはこう書く、こう表現する、ここは漢字に……といった表現法に関しては、よほどおかしなことになっていない限り、当時の表現を尊重するべく、あえて修正しませんでした)。


 多少ネタバレ発言になりますが、これを書いていた頃、ちょうどスーファミ版の「ファイナルファンタジーVI」を馬鹿のようにやっていて、そこで初めて攻撃呪文「メテオ」を覚えて、使いまくっていたのです。某人物が放つ小隕石群招来魔法はまんまそれです。その影響をもろに受けた場面で、原稿用紙上では書いた後、そのシーンを線で消し去っていましたが(安易に影響された描写が気に喰わなかったんだと思います)折角なので、復帰させておきました。

 しょうもない短編ですが、暇つぶしにでもなれば幸いです。

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