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ベッド探らないで!猪恵美さん! ~3日目シェッド・ロック~

 俺が偽物の体から離脱して3日目、朝早くに三女の千恵美と二女猪恵美が部屋にやってきた。


 バターランプと香木が焚かれて、異様は雰囲気になっている。


 相変わらず、足元には食べ散らかしたゴミや人に見せられないモノが転がっている。


 もし干渉できるなら、パパっと自分で掃除したいくらいだ。


 猪恵美「うわぁ…これが男の部屋ってやつか。色々漁ってみようぜ、チエー!」


 千恵美「だめだよ、ちょえ姉ぇ。ちゃんとお務めしないと」


 猪恵美「ほーらベッドの下、みてみぃ!本とかこんなのあるよ!一緒に声に出して読もうぜぇ!」

 

 千恵美「えっ。裕也お兄ちゃんこんなの見てるの? んんんぅ? ……///」



 義務感より興味が大きくなり、姉妹は座り込んで色々読みだした。

 

 ダメだ! やめてくれぇ! 恥ずい! 誰かあいつら止めてくれぇぇぇ!!


 俯瞰TPSで浮いてる俺はその場で横にごろごろして悶絶した。



 猪恵美「これ良い記事だなぁ! ちょっとこの本だけ貰って、カレシに試してみるぜぇ、へへへ!」


 千恵美「だだ、ダメだって! 勝手に持ち帰るのは、ルール違反! 千春姉ぇが全部管理してるんだから」


 猪恵美「わーってるよ。スマホでパシャっと何枚か取って後で読み返すわ。さて本とか戻すか」


 ん? 千春さんが全部管理って、オレの承諾なしに譲るわけないよな。どういうことだろうか。





 「さて、そろそろ永遠(トワ)の儀式を始めるか。チエは初めて見るだろうから、ちゃんと見ておけよ」


 「マニュアルなんてねぇ、職人は見て盗むもんだ。天才肌のチエなら、ウチと違って1発で使いこなせるはずだ」


 猪恵美は1階に降り、近所の花屋のマイフラワーズの包み紙の花束を持ってきた。香水の小さな瓶を開け、アイテム入れてそうな片手サイズの焼き壺に注いだ。その水面に紫の花を散らして浮かべる。


 「これはサフランの花だ。花言葉は、歓喜、過度をつつしめ、濫用するな。これ豆な」


 しばらく花びらを泳がせた後、いきなり手ですくって部屋一面に水をバラまいた。


 ぱしゃぁぁ!!




 やめてぇぇ! 全巻コンプ本が! アルターの1/8フィギュアたちが濡れる!! いざというときに売れなくなっちゃうぅ!!



 「よし、お清め完了っと」


 「まずはシェッド・ロック! 裕也にはこのビートがまだわからねぇかもしれねぇが、ウチがちゃんと解脱(ヴッチギリ)させてやるから、よく聞けよぉ!!」


 猪恵美はおもむろにコンセントにアンプを繋いで、マイク片手にノリノリで歌う構えになった。


 妹の千恵美は、ペンライトを持たされて両手で応援しようとしている。興味津々だ。


 すぅーっ



「ゆうやがYo! 野蛮な動物に転生するとYo! 岩の洞窟、地面の穴ぼこ、わらぶき小屋が見えるYo」


「クソガキに転生するとYo! 朽ち木、崩壊洞窟、黒い空き地が見えるYo」


「こいつら地獄の苦しみあるから、みかけたらすぐ避けるんだYo!」


「地獄に転生するとYo! 悪魔の歌が聞こえて、黒と赤の家、黒の穴と道が見えるYo」


「暑くて寒くて苦しみあるから、みかけたらすぐ避けるんだYo!」


 ヘッドバンキングしながら、リズムを刻んでラップをする猪恵美。

 やってることは爆笑レベルだが、内容は割とガチめだった。

 なるほどメモメモ。苦しい転生したくないなら、こいつらを見かけたら避ければよいと。



「避けきれば、ゆうやに神スキルの神通力が付与されるYo!異世界転移するか、再生の胎児に入るか選ぶんだYo」


 地獄生きの転生を意識して避けきれば、有能スキル持ちで転生できるという仕組みなんだな。春藤姉妹の伝統の弔いのすごさを知り、素で感心した。





「よし本番いくぜぇ!!」


 猪恵美はベッドで横になっているオレの偽物の体に近づき、服を脱がし始めた。

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