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「北陸より遥か離れた地で練られた策は手でこねられた醜悪な陶器の形をしていたに違いありません。それは見事に醜悪で悪辣で、それが不幸にも三室魔鵬(みむろまほう)自身が作り上げた虚栄の炎に投じられることになった。虚栄の炎は世間が見ている彼に対する鏡であり、三人はその鏡に映る虚栄を足場に砂上の計画を練ったのです」

 ロダンは鼻下をこすると、慈しむ様に桐箱を見る。そこに何を見つけようと言うのか。

 巡査はそう、ロダンに問いただしたくなった。

三室魔鵬(みむろまほう)の窯に到着した三人は、年老いた巨大なヒキガエルのような老人の顔を見て、こりゃきっと噂通りだと思ったに違いありません。この容貌の下には隠されている女への欲望の炎がまだめらめらとあって、ひとたびその炎に薪でも加えようなら、ガソリンなどいらない、きっと一気に燃え上がるはずだ、そう!!その役こそ牧村佐代子が成し得るしかない」

 ロダンが髪を掻きむしる。その掻きむしる指がピアノの鍵盤を弾いているとでもいうのか旋律が激しくなる。それは階段を掛け昇るとする駆け足のように。

「しかし、以外なことがあった。それは三室魔鵬(みむろまほう)がそうした世間の鏡からは程遠く、芸術に足して彼等に取っては真摯で誠実だったという事です。まさにそこに誤算があった…」

 巡査が目を細める。

「つまり君がその…大学の卒業論文で研究して書いたような…人物だったという事だね」

 ロダンは掻きむしる指を止めて、やがて巡査の方を向き直ると「そうです」と言った。

「それこそが次の事を起こす引き金になったのです」

「次の事」

「そうです。『三つ(みかがみ)』の強奪です」


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