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「詐欺犯罪グループ…」

 田中巡査は呟いた。その呟きの先にピアノの細い音が灯る。灯るとそれが明かりのように巡査の謎の先を照らしてゆく。

「それは…一体…」

 自分は今精いっぱい言える言葉を呟いた。


 ――詐欺…


 思いもよらないサイコロの出目と言っていい。しかしロダンは、それを確実に自分に出した。

 その意味は?

 その謎は?

 果たしてそれは何故?

 ロダンはリュックからファイルを取り出した。それを巡査の前に置く。置くと微かにワイングラスに注ぎ込まれた巡査の赤ワインが揺れた。

「こいつは…」

 巡査が呟きながらファイルを開く。開くと新聞の記事の切り抜きが見えた。どうも一般紙ではなく、業界新聞のようだった。

 新聞の日付は昭和XX年とあるから非常に古い物だった。

 するとロダンの指が伸びてきて、ある新聞記事の所を指差す。それは小さな記事だった。

 巡査がその記事に目を通す。


 ――道修町にある老舗薬屋Dは資金繰りが厳しく、江戸の頃より続いた当店もいよいよ廃業の見込みである。


「次はこちらを見てください」

 ロダンが指差す。

 記事の日付が過ぎている。


 ――道修町にある老舗薬屋Dは有志による資金援助を受けることに成功し、当代で江戸時代より続いた店の廃業をする必要がなくなった。尚、事後は漢方へ事業を専年させ、特許等を習得するなど少しでも事業の継続をする方向である。


 巡査が読み終えて顔を上げる。

「こいつがどうしたんだい、どうも古い…業会新聞の用だけど」

「これ…図書館資料で検索して見つけたんです」

 そう言いながらページを捲る。そこにも新聞記事が切り抜かれている。巡査は何も言わず、それに目を通す。しかしながら直ぐに顔を上げた。

「君、これは…」

「はい、これは昭和の初めに起きたあの石段での学生の縊死の記事です」

 巡査は静かに頷いた。

「それで、これらがどういう意味に?」

 ロダンが答える。

「田中さん、実は道修町にある老舗薬屋Dにはお子さんがいましてね、一人がX氏のご婦人、そしてその弟が有馬春次なんです」

「えっ!!」

 思わず、巡査は声を出した。

「二人は兄妹だったのか?」

「驚かれましたか、まぁ弟の方は早くに別に養子に出されていましたから、警察でも分からなかったのかもしれませんが…それから…」

「それから?」

「その縊死事件、第一発見者の医学生とありますが、その時の女学生がなんと…亡くなられたご婦人なんです」

「何…だっ…て!!」

 巡査はピアノの音を消さないように押し殺すように驚きを声に出す。

「ほら、ここに名前がある」

 指差す様に目を向ける。そこに小さく

 名前が書かれていた。


 ――ああ、これは確かに、

 警察で調べたあの老婦人の名だ…


 巡査は顔を上げた。

 ロダンが呟く。

「しかし、時が巡りまさか自分があの場所で生首として、人々の前にさらされるなんて思わなかったでしょうね。まさに因果応報でしょうね、『三つ(みかがみ)』を三室魔鵬(みむろまほう)から盗んだことに対するね…」


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