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田中巡査はその事を聞いた時、血相変えて現場へと飛び出した。
突然、交番に飛び込んできた通行人からその知らせを受けて手に取るものも持たず、駆け出したのである。
それ程、彼は焦っていた。
彼が駆け出した現場と言うのは、あの楠の繁る石段、その途中にある祠だった。
巡査が現場に到着した時、既に人だかりができていた。
巡査はその人だかりを掻き分けるように石段へと駆け上ろうとする。
その時、激しい腐臭が巡査の鼻腔を突いた。あまりの腐臭に腕でそれを抑えながら、階段へと踏み込んだ足が思わず硬直した。
視線の先にある二つの塊が何だったのかはっきりと見て取れた。それが自分の全身に止まれと命じたのだ。
――そこに映ったもの
そう、それは老人の夫婦と思わしき二つの腐臭した生首だった。
そして
その横で数羽のカラスが嘴を開いてぎゃぎゃと鳴いていた。




