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 九谷焼の磁器。

 落ちれば割れる。

 割れるのは当然だろ?

 違うかい??


 しかし、

 ロダンは言った。


 ――そこがね…不正解なんですよ


「どういう事さ?物理的に不正解だと言うのかい?割れないってことが?」

 田中巡査は食い入るようにロダンを見つめる。ロダンはというとテーブルに置いた九谷焼を撫でながら言う。

「こいつは最新の軽量化できる粘土で出来た『三つ(みかがみ)』の精緻な模造品(レプリカ)なんです」

「だから?」

 困惑が収まらない。

 巡査は食い下がる。

「つまり、これがレプリカという事実があの老夫婦にとっては、まぁおまけとしてあのサングラスの運転手にとっても過去の事件の大きなミソ…、つまりある傷害事件を成立させなかった関係者全員が知り得ていて、かつ世間に隠した事件のラストピースなんです」

 老夫婦にとって…

 サングラスの運転手にとって…

 傷害事件を成立させなかった…

 関係者全員が知り得ていて…

 隠した…

 …事件のラストピース…???

 困惑の度合いが頂点にまできて沸騰しそうになった巡査はまるでロダンがいつもするように頭をぐしゃぐしゃと掻きむしった。

「分かんねぇ!!わかんねぇよ!!ロダン君!!」

 髪を掻きむしりながら叫ぶように言う。巡査の声高な叫びに辺りの客がこちらを振り向く。

「ちょっ、ちょっと田中さん落ち着いて!!」

「落ち着いていられるかよ!!分かんねぇんだよ!!さっぱり」

「さぁさぁ、早くビールでも飲んで」

 言いながらグラスにロダンがビールを注ぐ。それから耳元へ小声で囁く。

「皆に聞かれちゃいますから店を出ましょう。夏の夜です。少し涼みながら谷町筋でも天満の方に歩きながら下りましょう。夕陽も綺麗だし、こいつを借景して夏の暮れ行く空の下、散歩と洒落こみましょう」


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