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二章 希望の塔と恋情の邂逅 1

 任務を譲り受け向かった先は『創楽社(そうらくしゃ)』の本社である巨大なビル。そこは研究所も兼ねているためか、とても広く大きい。流歌はそんなビルの前で髪を靡かせ悩んでいた。手には『創楽社』のパンフレットから周囲の噂までを集めた資料。ここまで来たら次は侵入の経路を考えなければならない。調査、というからには裏から忍び込んで探るというのが常套手段ではある。しかしあまりにも労力がかかる上にリスクが高すぎるのも事実。それにある程度内部のことを知らなければその方法を使用しても全てはわからない。

 ぐるぐると頭の中を引っ掻き回して、結局考えるのに飽きてしまって「一般市民」として正面から乗り込むことにした。

 中に入り受付に向かう。アポ無しで簡単に入れるなんて思ってはいないが、まぁ、なんとかなるだろう。

「すみません」

「過去と未来を創る『創楽社』へようこそ。本日はどのようなご用件でしょう」

「見学ってできますか?」

「研究所内見学ツアーのご希望ですね。ではこの用紙にサインをお願いします」

 そんなのあるんだ。なんて思いながら用紙に目を落とす。ざっと読んでみれば主に、所内の情報を外に漏らさないこと・個人情報漏洩の防止などについて書かれていた。まぁこんなものだろうとサインをした用紙を職員に手渡し、彼女がそれを確認する。自然な流れで捺印して予約は終了した。

「ツアーは10分後に開始されます」

「他にも見学者が?」

「本日の見学希望者は現在お客様だけでございます」

「そっか、ありがとう」

「はい。では集合時間には遅れないよう、お願いいたします」

 職員から手渡されたパンフレットを手にロビーを見渡した。近くに手頃なソファがあったので座る。パンフレットをぱらぱらと捲り新しい情報を探す。

 創楽社現社長、「双葉(ふたば)流星(りゅうせい)」について始まり、その歴史や家族構成などが書かれたページ。現在手掛けられているプロジェクトなど様々な情報を確認していく。一般的に知られている情報から新しいものまで全部頭に叩き込む。

 ふとその手があるページで止まった。視線の先には一人の女性の写真がある。名前は「遊理(ゆうり)」。『プロジェクト・ルカ』の研究員らしい。流歌はにやりと笑うと彼女の写真を親指でぐりぐりと押した。

(あいつまだこんなことやってんのか)

 遊理は流歌の昔馴染みである。知り合った当時から研究のことしか頭にないような性格だった。初対面の人間はかなり困惑するタイプの人間だろう。悪人ではない、はずだ。時計に目をやる。集合時間に指定された3分前。丁度いいだろうと流歌は立ち上がった。


 創楽社の研究施設は全7棟からなっている。

 第1棟、中央塔には受付と本部があり、先程まで流歌がいた場所である。その名の通り7つの建物の中心に建ち、塔と呼ぶにふさわしい高さでその他の6棟を見下ろしている。

 第2棟は乳児、幼児向けの様々な製品を開発している。玩具~ベビーベッドまで、なんにでも手を出しているらしい。栄養価を完全に計算した離乳食は、社会になくてはならない。

 第3棟は児童向けの製品。玩具や文房具に始まり、服・靴、ランドセルまで開発されている。教育方面にも力を注ぎ、その分野の専門家たちが作った参考書は、政府の公的施設『学校』で正式な教科書として扱われている。

 第4棟は青年期~中年期向けの製品開発で、音楽プレーヤーや少し大人向けのファッション、あるいは花嫁衣装や育毛剤に美容グッズなどなど、様々なジャンルでアプローチがなされている。もちろん旅行や読書等の娯楽製品の開発にも余念がない。

 第5棟は老年期向け製品である。杖はもちろんのこと、バリアフリーや老眼鏡、車椅子などなんでもありだ。ユニークなのは墓まで作っているとかなんとか。古き良き時代の資料保存と銘打って、古代遺跡の発掘・調査もこの棟が管轄して行われている。

 第6棟は健康や医療関係の開発施設である。薬の生産や新薬の開発、新しい病原体の発見など、内科・外科などの分野に拘らず様々な研究が行われている。

 第7棟は魔法や科学の研究施設である。ここだけは中央塔と繋がっておらず、部外者は完全立入禁止区域となっているため、見学は出来ない。魔法の起源やその性質について、とは言われているがその正確な情報が外に漏れたことはない。

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