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第40話:ミコトの水着ファッションショー




「暑いっスね……」


「暑いな~」


 今年の夏……。


 幽霊船を調査したり。

 装備を強化したり。

 大樹の街で怪しげな宗教団体と戦ったり。

 街と街の交易ルートを探したり。

 海まで旅行したり。

 怪しげな宗教団体から街を守ったり。

 2年目にして先輩風をピューピューさせたり。


 と、週替わりで色々なことがあった。

 暦の上なら夏はいよいよ折り返しが終わった頃だが、どうも今年は熱波に見舞われているらしい。

 林の中にある我が家も、未だ熱気に包まれていた。


 ミコトと俺は今水着を着て、すっかり空っぽになった生簀に浸かっている。

 この世界には水着は存在しないが、キャンプ道具召喚したらなんか出せたのだ。

 キャンプ用品店で売ってるものは大体出せるとかそういう括りなのだろうか……?

 分からん……。


 白と黒のツートーンタイプ、フリル付きパレオ付きのミコトの水着が、水面下でユラユラと揺れる。

 しかしまあ……驚くほど豊満な体だな……。

 水着で持ち上げられるとよく分かるが、彼女の胸はデカい上に形がいい。

 それだけではない。

 腰のくびれの下にある、ふにっとした腹肉……、ムッチリした太腿……。

 俺の欲望をすべて満たすような欲張りボディである。

 白と黒のコントラストが締ったところ、張っているところをこれでもかと強調してこれはこれは……眼福……。



「もー雄一さん何ジロジロ見てんスか~」



 そう言いながら、腕を体の前で交差させ、柔らかな双峰をボインと持ち上げてみせるミコト。

 こいつ……まだ午前中だぞ……。



「暑いから今は無理だ」



 流石に断る。

 ていうかこの暑い中、ますます体温上がるようなマネをしてどうする……。



「ぷーっス……。女の子に誘わせておいて乗らないなんて酷いっス」


「時間と気温考えろ、この食いしん坊め」


「あっ! お肉摘まんじゃ嫌っス! きゃはは! くすぐったいっス! あんっ!」



 と、二人でじゃれていると、ふと、何者かの視線を感じた。

 ハッとして振り返ると、いつものハーピィ便のお姉さんだった。



「えっと……お楽しみの途中申し訳ないのだけど……」



 気まずそうに封筒を二通差し出してくる。

 俺は慌てて生簀から上がり、タオルで体を拭き、それを受け取った。



「はい、こっちがエドワーズくんのお手紙、こっちがシャウトさんからの小包よ」



 あの二人からの郵便とは珍しいな。

 何だろ?

 とりあえず家の中に放っておく。



「しかし最近暑いわね~。夏羽に生え変わってるのに蒸れちゃうわ」



 そう言って、汗で透けた白いタンクトップを揺らすお姉さん。

 薄い羽毛に隠れているので、素肌は見えないが、何とも健康的なエロさだ。



「ちょっと水浴びして行かないっスか?」


「あら? いいの? お水汚れちゃうかもしれないわよ?」


「良いっス良いっス! 暑い中毎日配達してくれてるお礼っス!」



 「それじゃあお言葉に甘えて……」と、ミコトの誘われるまま、ズボンを脱ぎ、水に入るお姉さん。

 お姉さん……ノーパンなんだ……。

 彼女は水に頭まで浸かると、バシャバシャと身体を揺する。

 元から綺麗な水色の翼が、水に濡れてツヤツヤと輝く。

 体を覆う羽毛がぴったりと張り付き、スレンダーな肢体がくっきりと映える。

 少し見える地肌がなんとも……エロい……。



「ふう……涼しいわ~。あら?」



 健康的な色気に見とれていると、お姉さんが何かに気づいたような声を上げたので、思わずドキッとした。

 ただ、彼女の視線の先にあったのは俺ではなくミコトだった。



「ミコトちゃんその服可愛いわね! どこかで買ったの? それとも自分で作ったの?」



 彼女はミコトの水着をまじまじと見つめた。

 ミコトはスレンダーなお姉さんの体を間近で見せられ、かつ水着諸共自分のポッチャリ体形を凝視されて恥ずかしがっている。



「俺達の故郷……東方の暗黒大陸で使われている水浴び用の服ですよ。それを召喚術で出したんです」


「へぇ! 君たちの故郷って何でもあるのね! ちょっとこの服、デザインと材質だけでもスケッチ取らせてくれないかしら!」


「え……いいっスけど……。あっ! そんなスリスリしちゃ駄目っス! あっ! 羽の感触がすごいっ……!」


「はぁ~。この手触り素晴らしいわ! しかも伸縮性が高いのね! ミコトちゃんの体にこんなにピッタリフィットして……。この腰の部分の材質は何かしら!?」



 突然興奮するハーピィお姉さん。

 ああ、そういえばハーピィって元は機織りの種族なんだっけ……。

 その血が騒いでしまったのだろうか。

 長身のスレンダー亜人美女に体を弄られ、ビクビクと身体を震わせるミコト。

 エッチだ……。



「ふぅ~。素晴らしい服だわ! これは流行るわよ!」



 一通りミコトを撫でまわしたお姉さんは、すっきりとした顔でスケッチブックにメモを取っている。



「流行るって? お姉さん服のデザイナーでもやってるんですか?」


「あら? 言ってなかったかしら? 私達って朝は郵便配達、午後は服作りをしている子が殆どなのよ。むしろ配達は材料費を稼ぐための副業なの」


「確かにお昼以降はハーピィさん達殆ど見かけないっスね」



 ミコトがビクビクと身体を震わせながら、水から上がってきた。

 そんなに羽の感触が良かったのか……。



「流行りの服を生み出せば、それだけ部族内の名声が上がるというわけ。ふふっ……これでも結構芸術肌の種なのよ、アタシ達。意外だったかしら?」


 「もし良かったら、他のデザインなんかも見れたりしないかしら?」と、羽を揺らしておねだりしてくるお姉さん。

 視界の奥では、ミコトがびっくりした顔でブンブンと首を横に振っている。

 俺は迷わず召喚術を発動した。



「はうわ!? ちょっ……雄一さん!?」



 ミコトが着ていた水着が消滅し、今度は紺色の水着が出現した。

 所謂スクール水着というやつだ。



「あっ……み……ミコトちゃん……触らせて――――!!」


「ヒィ――――!!」



 ミコトの水着ファッションショー(おさわりOK)は昼まで続いた。




////////////////////




 はっ!?

 うわ! 夜!


 目を覚ますと既に辺りは闇に包まれていた。

 部屋の明かりを点けると、ベッドで満足げに眠るミコトの身体が露になる。

 ハーピィのお姉さんが去った後、俺は怒りと興奮から猛獣と化したミコトに貪り食われ、夜まで気を失っていたらしい。

 うっ……! 腰が!!


 ナヨナヨになった下半身を労わりつつ、玄関に下りると、俺が放り込んだ郵便が昼のまま転がっていた。



「カニのお礼状か……。無事食えたんだなアイツら」



 エドワーズからの手紙には


 カニありがとう

 今インフィートに滞在中

 みんな元気

 邪神教徒の襲撃があった

 あっさり撃退した

 もうすぐデイスに戻る

 愛するユウイチへ


 とのことが書かれていた。

 インフィートも襲われたのか……。

 まあ、デイスを襲撃した連中と同規模なら、エドワーズパーティーにかかれば一捻りだっただろう。

 最後の一分だけ露骨に字体が違うので、これはコモモの犯行だな……。

 あの子やだ怖い……。

 とりあえず俺も近況報告の手紙を書き、郵便ポストの回収ケースに刺しておいた。



 さて、シャウト先輩からの方は……と。

 ん? 何じゃコレ?

 包みの中から出てきたのは

「お前らにちょうどいいもん見つけた」

 とだけ書かれた手紙と、横長の宝石が埋め込まれた指輪×2だった。

 試しに嵌めてみると、宝石が青く光り始めた。

 光るといっても、せいぜい蓄光ワーム程度のものだが……。



「雄一さんおは……遅うございまーす」



 ちょうどミコトが下りてきたので、指輪を差し出す。

 「えっ!? えっ……!? 雄一さん……私を……一生大事にしてくれまスか……?」

 などと、涙を浮かべて言い出すミコト。

 いやごめん……そういうモノじゃないんだ……。

 コレが何かを説明すると、彼女は「はわっ!?」っと顔を羞恥に染めた。



「す……すみませんっス……ついつい勘違いを……。でも折角っスから……雄一さんに嵌めてもらいたいっス」



 と言って赤ら顔で左手を差し出してくるミコト。

 そんなこと言われると……困らない……嬉しい……。



「ミコト……」


「雄一さん……」



 二人見つめ合いながら、ミコトの左手の薬指に指輪を通す。



「えへへ……気分はちょっと早いっすけど、花嫁さん気分っスね」



 そう言って可愛らしく微笑むミコトの指で、宝石が白く光り始めた。


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