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第23話:サステナからの依頼




 サステナが持ってきた依頼。

 それは、彼女の親父さんが行っていた改革を再開するための支援をしてほしいというものだった。

 邪神教に乗っ取られた偽市長は、実行途中の改革、発展計画を放置し、短期的集金に走った。

 即利益に繋がらない岩盤側を封鎖し、物珍しさから観光客が金を落としやすい樹木側に商店街を集中させた。

 さらに、元の市長が樹木、岩盤双方の生活水準を一定にすべく行っていた配給制を悪用し、封鎖された側への配給を減らして支出を削減。

 樹木側に対しても、大幅に増税したり、モノ申してくる富裕層を上流階級階層へ隔離し、税を強制徴収していたらしいのだ。

 あの豪華な街並みに住んでる人らも被害者だったのか……。


 こうして並べると本当にろくでもないことばかりだが、唯一功績があった。

 観光客の大幅増による経済効果である。

 恐らく邪神教徒をこの街に迎え入れるための策だったのだろうが、飛行甲板を3段に増築し、デイスやカトラス、その都市からの連絡便の本数を一気に増やしたのだ。

 街の出入りもかなり緩くなったことから、観光客数は約6倍に増えていた。

 おかげで街の財政はある程度潤っており、半年で荒らされた分の復興は早急に終えられる予定らしい。


 となれば、このまま岩盤側の正常化と、元市長が構想していたデイス、バーナクル~カトラスを結ぶ陸路の要所化を一気に進め、二度と妙な組織に奪われないような一枚岩の都市を目指したいとサステナは熱意を滾らせているのだ。


 それにあたり、デイスやバーナクル、カトラスへ続く道の整備をしたり、寂れた産業街となっている岩盤側の高収益化等を実行したいそうだが、長年閉鎖的だったインフィートのこと、それを上手く実行できそうな人材がだれもいない。

 外部から顧問を招こうにも、どこの馬の骨とも分からないような人物に依頼しては、またしても外患を持ち込む隙を与えてしまいかねない。

 そこで白羽の矢が立ったのが我ら、チームシャウトだったのだ。

 要は街を発展させるため、意見したり専門家を呼んできたり、土木屋、キャラバン部隊等を誘致したりしてほしいとのことだ。


 冒険者に頼むようなことなのかコレ……?

 と思ったのだが、シャウト先輩によると、二つ名持ちやギルドナイト以上の冒険者等には稀に来る依頼らしい。

 流石に街一つ丸々の発展事業につき合うのは先輩でも初めてらしいが。



「もちろん一朝一夕で出来るものとも思っていません。一先ず帰りがてらで構いませんので、デイス~インフィート間の陸路を再開拓してほしいのです。そしてこの通商依頼書をデイスの商会に渡してもらえませんか?」


「ああ、構わねぇぞ。冒険者連中の常駐希望者も募っといてやるわ」


「ありがとうございます! それにお応えできるよう、ギルド支部を拡張してお待ちしています!」



 先輩の二つ返事に、大喜びのサステナ。

 ギルドが賑わい、冒険者が一定数常駐すると、街や周辺の事細かな物事、トラブルに対しての素早い対応が期待できる。

 予算を節約しつつ、住民へのサービスを充実させたい都市にとっては非常にありがたいシステムである。

いや、住民の増加による税収の拡大、冒険者の往来による獣害の減少、治安の改善、街の防衛力の上昇、産業バリエーションの拡張、武器や装飾品産業活性化等々……。

 挙げればきりが無いほど多くのメリットが発生する。

 この世界のギルドと冒険者達はそれほどまでに大きな影響力を持っているのだ。


 さらに冒険者たちにとっても、依頼の食い合いが減り、食い扶持の確保がしやすくなる、地域限定の武器、装飾品が流通するようになるというメリットがある。

 所謂win-winというやつだ。

 そしてその大事業の先鋒となる俺達は、一般のそれに比べてかなり高額な依頼料以上の名声を得ることとなるだろう。



「と、いう訳だ! 歩いて帰るぞ!」


「「えぇ~~~~~!?」」



 ただ、そういったものにあまり興味がない俺達ゆるクエパーティーには、徒歩で帰るという面倒ごとに、またしても厄介な名声イベントと無駄に大きな責任が上乗せされただけでしかなかった。

 この依頼受けたくねぇ……。



「あ、帰り道に沿ってボニート川とは違う源流の川あんぞ」



 訂正。

 受けます。

 めっちゃ歩きます。


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