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異世界フィッシング ~釣具召喚チートで異世界を釣る~  作者: マキザキ
第1章:オーダー! 恐怖の魔女会議
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第18話:開催!魔女会議 【中編】




「雄一さん! 大丈夫っスか!?」



 いよいよメインディッシュであるフカヒレラーメンとフカヒレ焼き餃子の仕上げにかかっているテントの前で、ミコトがイエローポーションを差し入れてくれた。

 おお……連続テレポートで魔力が減った体に沁みわたる……。


 岩の上からでも見えるほど、ド迫力の大回転斬り祭りを披露していたミコトだが、その血色は普段にも増して良い。

 心なしか興奮しているようにも見える。



「首尾は上々だ。ミコトこそ大丈夫か?」


「なんかもう調子バリバリっス! 今なら何回戦でも何時間でもヤれそうっス!」



 そう言って目を輝かせるミコト。

 ド下ネタをこんな場所で言うんじゃない!

 とか思っていると、水辺では多数の草食獣が激しい求愛行動を披露し、湖面では体を婚姻色と思しき黄色に染めたオアシスアンコウがビタンビタンと跳ねている。

 大地の魔女さんのバフって生物のそういう本能も刺激すんの……?


 いや!

 そんなことはいい!!

 さっさと上に戻って闇の魔女さんの話を聞きたい!

 無茶苦茶重要なこと話してる気がする!


 だが、ラーメンは麺の茹で加減が重要だ。

 俺がテレポートしてきた瞬間に麺を投入し、8分茹でて冷水で締め、そこにグラグラでトロットロのフカヒレスープをかけてお出しするので、必然的にしばらくの待ち時間が生じる。


 8分もあったら、ちょっとした小話程度終わってしまうに違いない。

 愛ちゃんがその内容をちゃんと覚えてくれていればいいのだが、弄られたり脅迫されたりで極度の緊張状態にある彼女に、全てを求めるのは酷だ。


 ……。

 しかし待機中、やることがない。

 周りは忙しくしているのに、俺一人手持無沙汰というのは気まずいので、テントの隅で身を縮めて待つ。

 ちょうど対魔物用の結界と、汚れ避けの風魔法障壁の向こうがよく見える位置なので、外で奮戦する皆の様子がよく見える。


 皇立騎士団の面々は、共通装備で基本に忠実な対魔物戦闘、即ち2人のバディを組み、小型の魔物に対しては2対1、大型に対しては即座にバディ同士が結託して4対1以上で戦う。

 やはり常に基礎訓練を続けてきたこともあり、搦め手を使わない魔物相手なら危なげなく捌けている。


 シャウト先輩はもうスペックの暴力という感じで、必殺パワーの荒ぶる電撃で群がる敵を次々にぶっ飛ばしていた。

 地を走る電撃がゴブリンの群れを蹴散らし、落雷がデザートオークを焼き焦がし、電撃かかと落としがギガントサンドデスワームを縦に切り裂く。

 すげぇ……。


 すげぇと言えば、このテントよりも守りが手薄なお偉方の観覧席だ。

 案の定魔物を防ぎきれず、お偉方のいる場所までサンドウルフやゴブリンが侵入しているのだが、陛下も法王サマもそれを剣やら杖やらで倒しつつ、岩の上を見守っている。

 驚いたのが地味メガネ総理まで、本を片手に魔法で魔物を蹴散らしていることだ。

 なんなの……。

 この世界強くないと出世できないの……?



「ユウイチ様!! ハァ……ハァ……! 12人前のメインディッシュです……! ハァ……ハァ……」



 ミコトの大回転斬りトルネードに巻き上げられて細切れになっていくサバクゴブリンやデザートヘルバイパー、サンドワイバーンなどを見物していると、顔を赤らめた給仕部隊の銀髪ちゃんが、息を荒くしながらラーメンが乗ったキッチンワゴンを持ってきた。


 大地のバフに当てられたのか、色っぽい表情を浮かべ、肩で息をして意外と大きめの胸をゆさゆさと揺らす様子は随分と……。

 ……。

 いかん。

 なんか俺の体も大地のバフに反応始めてる……。


「この気配!! 雄一さんの生命の昂りを感じるっスよおおおおお!! 浮気は許さんっス!!」という叫びが竜巻の中から聞こえてきたので、俺は即座にテレポートした。




////////////////////




 戻ると、楽しそうに談笑する魔女さん達と、真っ青になった愛ちゃんがいた。

 そ……想像以上の事態だ……。

 闇さんは一体何を……。


 などという疑問を精いっぱい握りつぶし、俺はカチカチになった愛ちゃんの分までラーメン&焼き餃子セットを配膳する。

 今更ながら、なかなかカオスな献立だ。


 無論、というべきかは分からないが、皆美味しそうに食べてくれている。

 風さんなんかは「ねー。私の選んだ人に間違いなかったでしょー?」と嬉しそうだ。

 水さんは相変わらず俺を見る目が怖いが、結構な勢いで麺を啜っていた。

 やはり究極生命体、箸の持ち方も、麺の啜り方も完璧だ。



(なあ愛ちゃん……。さっきどんな話があったの?)



 魔女さんたちの啜り音に紛れ、こっそりと愛ちゃんに話しかける。

 が、愛ちゃんは涙目で俺を見上げてくるばかり。

 いや、マジでどんな話題だったの!?

 不意にフワッと冷たい風が頬を撫で、「私語はだめだよ♡」という雰囲気が伝わってきたので、俺は慌てて姿勢を正した。


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