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異世界フィッシング ~釣具召喚チートで異世界を釣る~  作者: マキザキ
第1章:オーダー! 恐怖の魔女会議
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第11話:魔女会議に備えて




「はぁ……はぁ……ありがとうございます。だいぶ気分悪いの取れました」



 愛ちゃんが荒い息を抑えながら、ゆっくりと上体を起こそうとする。

 だが、まだ眩暈がするようで、「うう……」と小さく嗚咽を漏らし、再び俺の膝に寝転がってきた。



「ところで愛ちゃん。今の技は何なんだい? どっかで習ったの?」


「あ……はい。少し前の剣術講習で教えてもらいました。魔力消費量が凄すぎて実戦では使い物になりませんけど、こういう時に試してみるべきかなって思いまして」



 ……。

 あの講習かぁ……。

 やっぱりあの講習転生者連中となんか関わり有るんじゃ……?

 だってあの攻撃食らった分身体から火花出るのって、これまで戦った転生者のそれと同じだよな……?



「それよりも先輩何したんですかさっき!? 分身に攻撃受けても消えるだけで何ともないって言われたのに、分身が縛られた時私も動けなくなりましたよ!? あと背後からの不意打ちも避けますし、予知か何か出来るんですか!? あぁ……」



 急に興奮した愛ちゃんが起き上がってまくし立てたかと思うと、また魔力切れからくる立ち眩みで顔を伏せる。



「ああ、弓はね、狙ってる時特有の感知ピークが出るからすぐ分かるんだよ。集中して狙うからな。フロロバインドで君の本体が動けなくなったのは全く分からんけど……」


「感知スキルってそんな使い方もあるんですか!? すごい便利じゃないですか! ……あれ!? じゃあ私、先輩の戦闘用チートスキル全部引き出したってことですか! やりぃ!」


「やりぃ! じゃないよ全く……。普通に怪我しそうな戦法取ってくれちゃってまあ……。」


「だって先輩便利なスキルいっぱい持っててズルいんですもん! ちょっとはダーティーな戦法も取りますよぉ!」



 俺の膝に頭を乗せたまま、腕を胸の前でグッと構え、フンフンと鼻息を荒らげる愛ちゃん。

 まあ、色々とスキルを縛っていたとはいえ、武器召喚と魚矢、そして不完全な分身だけでここまで戦えたのは素直にすごい。

 ていうか純粋な戦闘センスはもう俺より上じゃないかな……。



「本当ですか! じゃあ私もシャウト先輩パーティーの主力ですね! あ痛!」


「調子に乗っちゃダメだっての。君はまだまだ魔力量が少ないんだから、無茶しちゃダメだよ」


「はーい……」



 そう言うと愛ちゃんはふぅと小さく息をつき、目線を天井のガラス窓へと向けると、ポツリと呟いた。



「空は……遠いですね」



 え、何いきなり。

 詩人に転向?



「いえ……。あの空の向こう……天界を挟んで私たちの世界があるんだなって思ってたんです。先輩って……元の世界に帰れる方法があるなら、どうしますか?」


「あはは……。俺もこっちに来た直後はそういうこと考えてたなぁ……。俺にはミコトがいるから、この世界で死ぬまで過ごす予定だよ。何らかの方法があるにしてもね」


「そうですか……」


「どうしたの。何かあったの……?」


「あ……いえその……私達、魔女さん達と会うわけじゃないですか? 魔女さん達って凄い存在なんですよね? 何か聞き出せないかな……と……」


「あー。それは考えたことなかった。でも確かに何か知ってるかもね。教えてくれるかは別として」



 俺はもう考えていない元の世界への帰還だが、愛ちゃんはまだ未練があるらしい。

 まあ、それは当然か。

 俺も2年目くらいまではだいぶ揺れてたし……。



「まあ、帰れないにしたって、今の世界でなんか偉業を成し遂げたら、次の転生先世界選ばせてくれるらしいし、君はその調子て鍛錬に励むべきじゃないかな。それこそ魔女会議を上手くいかせることだって十分偉業カウントされると思うよ」


「確かにそうですね……! 魔王とか悪の皇帝とかいない世界で成し遂げる偉業って何だろうと思ってましたけど、魔女会議も結構なチャンスですよね! よし! 頑張ろ!」



 そう言って愛ちゃんはピョンと立ち上がり、「今日はお手合わせありがとうございました!」と言いながら宿舎の方へ走っていき、ふらついてコケた。

 あーあ……。

 こりゃ分身スキルは当面の間封印させなきゃいかんな……。


 俺は地に伏せてうーうーと唸っている愛ちゃんを担ぎ、彼女の部屋へと運んだ。

 ……。

 生き急ぎ過ぎるなよ愛ちゃん……。

 今の君はとにかく無事に生き残ることが第一なんだから。


 さてと。

 お偉方は俺達なら多分大丈夫だろうって気安く言ってくれるけど、万に一つがあっては困る。

 魔女を相手に俺が何かできるわけでもないだろうけど、せめてコンディションは完璧にしていこうと思い、俺は持てる全ての装備を装着した上で、再び鍛錬場へと向かった。


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