ここから何か始まった
短編で出そうとしていたものを連載用に分けたため、短くなっています。
おかしいと感じることは何回もあった。でもきっと何かの間違えだと思っていた。
しかし度々友人たちから聞くカンストだのゲームクリアだの不思議な現象。俺はどうやったらそこまで辿りるのかと期待に胸を膨らませ、日々ゲームに没頭した。それはもう真剣に。
家に帰ったらすぐ電源ボタンを押し、ずっとできる様に充電しながらプレイして、時には睡眠時間を削っちゃったりしながら毎日ゲームライフを楽しんでいた。親には数えきれないほど怒られたし、あきれられたけど。
でもそれはいつかエンドロールを見て感動したり、図鑑を全て埋めもうやることないなって言ってみるため。自分のキャラが成長した姿を見て達成感を味わいたかっただけなんだ。
けど、けど……。あぁ、もう!
「こんな能力はいらないんだ、やめてくれ!」
* * * *
* * * *
水色に光るゲーム機。それは小学生のころサンタさんにお願いして貰ったゲーム機だ。これが俺の人生を狂わせてきた。
当時そのゲーム機が発売されると、周りの友達はこぞって買った。俺もそのゲームが欲しい一人で、親に何度もお願いした。でも勉強が疎かになるからと良く聞くセリフで断られた。
ならば俺も「大輔や司は買ってもらってたよ」というテンプレ攻撃。すると母上「うちはうち、よそはよそです」とお決まりの返事。テンプレVSテンプレ。てかテンプレはもう良いよ!
もうこうなったら頼れるのはサンタさんしかいない。俺はごくりと唾を呑む。いかに良い子と思ってもらえるか、それが勝負の分かれ目だ。当時の俺は風呂掃除から茶碗の持ち運びまでできることはすべてした。そして運命の二十五日。普段は寒くて布団から出たくないがその日は違う。朝お母さんに起こしてもらい、ぱっと枕もとを見る。
「あった……!」
そこには水色の袋が金色のリボンで結ばれそっと置いてあった。窓から差し込んだ光が当たり、まるで後光が差しているみたいだった。
急いでリボンを引っ張り袋を開けると中にはゲーム機とゲームカセット。俺はもらえたとしてもゲーム機だけだと思っていたため、嬉しくて発狂しかけた。
カセットを見てみると友達がやっているあれである、モンスターを育てて遊ぶ有名なやつである。きっと寝る前にサンタさんに向けて用意したホットミルクと、クッキーが効いたに違いない。俺はほくそ笑みながら昨日の俺に感謝した。
俺は嬉しくて嬉しくて、ご飯を食べたら即ゲームをした。冬休みになったということもあり、それからゲームに明け暮れた。ボタンに触れすぎて指が痛くなることは何度もあった。
そして休み明け、俺の図鑑は七割方埋まっていた。ゲームを持てたことが嬉しくて俺は友達に報告すると、ある言葉を言われたんだ。「レベルいくつ?」ってね。俺は正直に答えたさ。冬休みで結構強くなった自信もあったしな。
「一番強いのは50超えたかな」
俺がそういうと友人達はちょっと笑う。そして少しバカにするような口調で「おいおい、弱すぎだろ」と言ってきた。
それはそうだろう。友人達は何ヵ月も前から持っていたんだから。今思うと自分の強さを俺に自慢したかっただけだろうが、そのときの俺は凄い悔しい気分になったのを覚えている。
俺はその日を境に更にゲームにのめり込む様になった。毎日何時間もプレイしてプレイしてレベルを上げた。いつか友人たちに凄いと褒めてもらうために。
そしてタイミングはやって来た。
「そーいえばお前何レベになった?」
給食を食べているとき、友人が話題を振ってきたのだ。その時俺は図鑑をもう一段階上の状態にして、モンスター達のレベルも150を越えていた。
だから俺は堂々と現状を答えたね。けど友人達の反応は思っていたのと違った。まさかの爆笑。
「ひぃ、何言ってんだよ! そんなはず無いだろ」
「何でそんなバレバレの嘘つくんだよ? おっもしれぇーー」
「ちょ、マジかよ。あのゲームはレベル100がマックスだぞ?」
いや待て、何が起きている? 俺は訳のわからぬまま箸の動きを止め、目の前で笑う友人たちをただ見ていた。
お読み頂きありがとうございます! 初めてのローファンですが、気の向くまま、テンポ命で書いてみました。楽しんでもらえてると喜びます。
この話は実際に私がやったことをちょくちょく入れているので、書いてて楽しかったです。サンタさんの為にホットミルクとクッキーの準備とか。
さてこの話はジャンルをローファンタジーにしていますが、実際はコメディ感が強いかなと書いてて思ってます。でも現代の子が特別な能力を持っているっていうことでローファンタジーのはずなんです!
数話完結、不定期更新予定ですが付き合ってくれると嬉しいです。
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