その悪は・・・
僕には苦手な人がいる。
無論、好き嫌いあるのは仕方ないことだ。
だが、最近、「嫌い」だけでは済まされない、僕の人生にとって「邪魔」である存在がいる。それは同じクラスのN川だ。
そいつは何から何まで僕に似ている。
身長も体重も髪型も成績も。そのため少し差がつくとよく比べられるのだった。だがいつも上をいくのはN川だ。それが非常に気に食わない。どんなに僕が頑張っても一つ上を行く。
ある日、とうとう僕のなかのなにかが切れた。
僕には生まれ持っての才能がある。それは自分のなかの悪を出すこと。最近使うことはなかったが、昔は試しに昆虫や、動物に対してやっていた。どんどん強力になっていった。
悪を出しそれを相手に向けることで対象者はこの世から消える。最高だ。
ついにそれを実行する時がきた。
僕はN川に不審がられないようまず校庭に呼び出し、それから学校裏に連れていった。そして無言でそれを実行した。
みるみるうちにN川は消えていった。
そう思っていたのだが、何故かN川以外も消えていくではないか。N川は首を傾げながらなにか言っていた。
僕はふと両手をみた。すると、薄くなっている両手は次第に消えていく。
僕はその時、確かに「悪を出すことができた」そう思い口角を上げた。