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ドリームリバース

僕はどれだけの時を歩んできたのだろうか。そして、これからいくつの時を歩むのだろうか?

目が覚めた僕はいつも通りパソコンの前にいた。このパソコンを手に入れたのは数カ月前のことだった。

僕はその頃仕事を辞めて毎日を無駄に過ごしていた。この日もいつもと同じように何もすることもなくただ漠然と時間が過ぎるのを待っていた。午後9時を過ぎた頃に一人で海に行くことにした。なぜ海に行こうと思ったかって?別に理由があるはけではない。仕事を辞めてから気分が落ち込んだりした時には海に来るのが習慣になっていたからだ。僕は車を走らせて近所の浜辺で一人煙草を吹かして海を眺めていたんだ。

すると、浜辺のゴミ箱に古臭いパソコンがあるのを見つけた。近くに行ってそれを見てみると珍しい型のパソコンでまったく見たことのないメーカーのものだった。パソコンの表面にはメーカーの名前らしきものが書いていた。

「ドリームリバース……」僕はそのメーカーの名前を呟いた・

その時、後ろから男の声がした。

「お前それ使うか?」

黒いサングラスに黒いハットをかぶった黒いコートの男がそこに立っていた。こんな時間にこんな所にいるなんて怪しすぎる。そう思った僕は車にダッシュで走ろうとした。しかし男は大きな声でこう言った。

「変えたいんだろ。今の情けない自分を!」

この時この男の言っている事がよくわからなかった。でも、僕はこの男は何かを変えてくれる気がした。確かに仕事を辞めてから全てに対してやる気が起きない。こんな自分を一番情けなく思っていたのは僕だった。今を変えたいでも変える勇気も力もない。だから僕はいつも心の中で願っていたのかもしれない………自分を変える力が手に入る事を。

僕は声を大にしてこう言った「あんたは力をくれるのか…僕に!」

「当たり前だ。その為に俺はそれをあんたに拾わせたんだから」


これが数カ月前にこのパソコンを手に入れた時の出来事だ。

その時であったその男の名前は神埼茂かんざきしげるこの男は素性や年齢は一切教えてくれなかった。風貌はどこにでもいる中年といったところだろうか。年齢は僕の予想では35歳ぐらいだろうか?

「おい!」

部屋のドアが勢いよく開く。

「腹減った!何か食いに行くぞ!」

神埼だった。いつもこの調子で神埼は僕に偉そうにしてくる。親分気取りでたまに腹が立つこともある。

しかし、神埼のお陰で僕は変われるだけの力を手に入れたのだから僕はこいつに文句を言うことはしないようにしている。

「わかったよ。すぐに出よう」

そして僕は昼食を神埼と食べてからまた自室に戻った。神埼はいつもは僕の部屋の隣でゲームをしている。どうやらゲームが好きなようだ。

でも、このドリームリバースを起動させる時だけは僕の部屋に来る。もうすぐ神崎が来る時間のようだ。

「おい!始めるぞ」

神埼はそう言うとドリームリバースを起動させた。

このドリームリバースというパソコンは普通ではない。このパソコンは自分の意識だけを過去に送って過去を変える事ができるのだ。これを手に入れてからありとあらゆる過去を変えてきた。

まず一番に変えた過去は仕事を辞めた過去を消した。僕が仕事を辞めたのは上司とのささいな言い合いが原因だった。それが原因で僕はいじめられて退社に追い込まれたのだ。その上司は以前は僕を可愛がってくれていた。しかし、仕事のことで対立したのが余程気に入らなかったのかそれ以降周りの人間を含めた十数人で僕をいじめた。執拗ないじめが僕を半年間苦しめた。

僕はまずドリームリバースでその過去に意識を送りこみ上司の意見を聞き入れ対立を避けた。そして、すぐに意識を現在に戻した。すると僕は仕事を辞めていなかった。なぜすぐにわかったかと言うとそれは僕にもよくわからない。でも、過去に行き現在を変えてもどれがどうのように変わったのかは、すぐにわかるようだ。

そして僕は今日もまた過去を変える…………




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