一の夜
「もういやだ。」
なんてことを呟きながらペンを走らせる。
彼女はもう長くないのだ。
もうすぐ彼女は人間であることをやめる。
彼女が嫌ったから、人生を。
「あはははは…。」
なんて。
なぜか分からないけど笑ってしまう。
「きっと憑かれてるんだろうね…私。」
何に?
人生に、神に。
私一人の部屋。
一生懸命書いた紙を机に置き。
ベランダにそっと足を踏みいれ。
私は私で 無くなります。
「こんばんは。神様、」
そう言って飛ぶ夜。
墜ちた人の世。
人の世一つの一夜の話。