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白銀と金剛の竜舞  作者: フィア
序章
6/12

◇5 新学期こそ終わりの始まり

 そういや、この小説誰がヒロインなんだろう?

「ご趣味は?」

「ゲーム。ネトゲと…家庭用はRPGが好き」

「好きな食べ物は?」

「クレープとコーヒー」

「嫌いなのは?」

「俺にんじん食えねぇんだよな」

「魔力系統は?」

「…光」

「…タダでさえ少ないと言われる光属性の魔力…。

 流石は国の英雄とまで讃えられる兄貴っスね!」


 あー…。

 また言わなくていい事を言ってしまった。




 放課後。

 学校のすぐそばのお洒落な喫茶店内。

 放心状態のベルダのご機嫌をとるために「いいから行ってくるべさ」と担任にここのコーヒーの無料券を頂いたので来た。

 下校中に来た為、未だに制服姿である。

 …勿論。


「性格は変態だし、割とオタクでキモいけどなー。ガツガツ」


 それは何故かここでステーキ食ってるファームも同じ。


「…何でお前が当然のようにここにいやがる?」

「センセに頼まれて来たんだよ。

 「しっかりと二人を見守ってやるがいいぬらべっちゃ」って」

「もうアイツキャラ作る気無いだろ…」


 ハァ、と綺麗に拭かれているマグカップに口をつける。

 苦味が口いっぱいに広がり、コクが喉を染めて通過していく。

 おの担任は俺(問題児)の事よく分かっているらしく、だいたい俺の情報を知っている。

 …竜王が個人情報の横流しでもしたのだろうが。

 どういう訳かは詳しく知らんが、彼は俺がコーヒーを好きで、ここの店がお気に入りの一つである事を理解しているからこそ、ここに来させたのだろう。


 …飼い慣らされている気がする。


「はぁ…ズズズ…」

「兄貴、ここの珈琲好きなんすか?」

「んー大好き。

 あと、兄貴じゃねぇ」

「えーいーじゃんか兄貴ぃいー。ガツガツ」

「お前は黙って飯でも食ってろ…え?」


 いきなり店内に影が。

 暗い。

 あぁ、そうか。

 コイツが積み上げた皿の塔で、証明の光が遮られてるんだってえええええええええええええええ!?


「お、おま! 何で! まだ3時だぞ!?

 おやつの時間なんだぞ!?」

「ふ、甘いな…アタシは何時だって腹が減ってんだ!」

「それシャウトする事じゃなくね!?」


 がつがつがつがつ。

 ガツガツがつがつがつがつがつがつがつがつがつ。

 …ずっと、肉だけ食べてやがる…。


「…うぷ…」

「おお、ベルダ君、俺も不思議と気分が悪くなってきたんだ。席を替えようか」

「は、はい…」


 そそくさとテーブル席からカウンター席まで移動する。

 そして暴飲暴食に他人の食事妨害という迷惑極まりない少女はたらふく脂を吸収し続ける。


「…あんなに食って太らないんだから、誰かに嫌われてもいいのになぁ」

「ファームさんの事ですか?」

「…物分りが良くていいな、お前」

「それなら是非ワタクシめを舎弟に…」

「却下」


 そんなぁー、と口を曲げるベルダ。

 俺はその声を耳にしながらチラリと飢え女の様子を覗き見る。

 成績優秀。

 容姿端麗。

 その上、姫の部隊に若くして所属している。

 その上その上、性格がいい。

 ファームはそんな奴だ。


 こんな感じで、コーヒーを飲みつつファームの説明。

 どうせこれからも2年4組の仲間としてやっていくんだ。教えられて損な情報では無い筈。


「ファームさんはいわゆる、天才ってヤツ…」

「あー。かもな」

「…羨ましい、です」

「俺もだよ」


 そう言って笑う。

 そんな、と心外そうに俺を見るベルダ。


「師匠はだって、天才でしょう?」

「ワンランク俺への敬意が上がったな。まぁ、それは今は置いておく。

 俺は天才でも何でもねぇよ。

 使える魔法には限界があるし、何より有効活用出来ない。

 守る力じゃなくて、壊す力なんだよ。この手にあるのは」

「……」

「でもな、」


 俺はカウンターの向こうでグラスを磨く髭の濃いマスターをなんとなく眺めながら、想いを吐く。


「それでも、誰かの為に戦えるの楽しい」

「…『楽しい』? 嬉しい、じゃなくてですか?」

「あぁ。楽しい」


 俺は笑顔を見せる。


「特に、強い奴。

 こっちが圧倒されるような奴と戦うと興奮で逝っちまいそうになるし、沸騰して蒸発しちまいそうになる。

 力と力をぶつからせる度に、他人を想って俺が生きていられる証拠になる感覚。

 それが溜まらなく、楽しい」


 なんか話が逸れたな、とまた笑う。

 俺の表情にか、ベルダは小さく笑う。

 そしてグイッと手元のオレンジジュースを一気飲みすると、顔を引き締めて頭を下げた。


「…兄貴、その兄貴を見込んで、改めて心からお願いがあります」

「理由」

「…え?」

「何で、そんなに俺の舎弟になりたいの?」


 これは、俺の心からの疑問。

 別に誰かを舎弟にしたって構わない。

 しかし、ベルダの言葉からは、純粋な心ではなくて、…何て言うんだろうか。

 負の感情。

 それが読み取れた。


「…強く、なりたいんです」

「しつこいが、その理由は?」

「………」


 沈黙。

 …言えない事情でも、あるのだろうか。

 しかし、そんな奴を下に持ちたくない。

 友達ならいい。

 だが、配下に置くと言うのは全てを責任持って受け止める事だ。

 どんな重荷も、持ってやるという事だ。


 それをさせてくれないんじゃ、話にならない。


「…場所、変えてもいいですか?」

「構わんよ」


 席を、立つ。

 ………。





 因みに。


「ふー食った食った。

 あれ、二人とも?

 おーい!

 …ちくしょ、置いてかれた…」

「お客様。お会計はどうなさいますか?」

「おおマスター、アンタの常連につけといてくれ。

 倍返しで払わせるから」

「いえ、


 ここで、全額払っていただきます」


 俺のいない所で、ファームはかなり苦労していたらしい。


「え、いや、あの…」

「本日お客様が食事された額は19万5880βベータにございます」

「…金、持ってないつったら?」

「しょうが無いですね…


 全額分、ここで働いてもらうしかないですね」


「なっ…!」

「因みにウチのバイト代は自給780βなので、一日7時間シフト入れても一ヶ月はかかりますね」

「…だ、誰かー!」


 ファームが力一杯叫ぶ。

 彼女の想いが通じたのか、途中通りかかったクリルアに金を借りれたらしい。

 それまで彼女は延々と皿を洗っていたそうだが。

 その時、時刻は7時50分。

「利子は付けて返して頂きますよ?」と笑ってクリルアが書いた契約書にその時間は刻まれていた。

 そう。

 その時には既に、事は起こっていた。




@~@~@~@~@~…




 時は動く。


『諸君、我が国の王として伝える』


 エルキゼル・L・ノールドは、南の最強部隊竜撲滅ドラゴ・エルドに語る。

 その人数は5。

 明らかに少ないが、彼らの実力は確かだと、エルキゼルは確信していた。

 この甲冑に身を包んだ人間は、


 人間であって、人間でない。


『作戦は既に諸君らの耳に届いているな?』

「えぇ、陛下」


 筆頭トップであるコード:ディザイアが、志気を明らかにする。

 その言葉に、エルキゼルも頷く。


『君達に、この国の運命がかかっていると断言してもいい。

 だが!』


 大きな声で。

 既に拡声器で5人には聞こえていても。

 叫ばずにはいられない。

 これが、戦争。


『諸君は、必ず作戦を成功させるはずだ!』


 王の言葉は励まし。

 そして一国の主としての、最大の労い。

 これ以上に、民にとって喜ばしい物はない。

 5人は片膝をつき、

 深く頭を下げる。


『さぁ、見せてくれ!

 私に、





 『朱雀の片翅』を!!』





 5人は何も言わなかった。

 その代わりに、


 立ち上がり、

 振り返り、

 歩き、

 その背中に。


 真紅の大翼を形作る。


 そして、


 ――――グォオオッ!


 5人の英雄は飛び立つ。

 目的は、





 ジオレン崩壊。

 アル君は結構面倒見のいい性格の模様。

 だけど戦闘狂。

 誰かの為に何かが出来るって、どんな小さな事でも素晴らしい事だと思います。


 ……。

 こう、真面目な事言ってれば「キャーフィアサーン!」みたいに尊敬される作者に…。

 ……なれないかww

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