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白銀と金剛の竜舞  作者: フィア
序章
3/12

◇2 金剛の竜 -Gold Dragon-

 えー。魔法とか~上手く表現できないし~。


 ………。

 すみません。次回までに語彙と表現力上げてきます…(汗

「果てろ」


 竜を大きく旋回させながら、掌から高密度の光球を飛ばす。

 真っ直ぐ進む光球は正確にハゲのドタマを狙う。

 ついで竜と意思疎通。

 コイツは俺だから、自由に動かす事が出来る。

 光竜はその身を丸める。

 俺は振り落とされまいと背中に必死にしがみつく。

 竜は大きく光り、


 翼を広げる。


 KISHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!

 咆哮。そして大翼から、


 銀の羽根を飛ばす。


 大地は白銀に染まり、羽根は刺さった直後に塵と化す。

 広範囲攻撃魔法。

 下には倒れてる敵兵もいるが、知ったことか。

 目の前のハゲを殺す事が出来ればいいのだから。


「……ちっ」


 しかし。

 亀とハゲは無傷だった。


「……危ない攻撃をするものだな…仲間に当たったらどうするのだ…」

「そんなヘマはしねぇ」

「……いい覚悟だな」


 その目は、不思議と笑っていた。

 俺は睨みながら、不審に思う。


「アンタ、戦争に反対していなかったか?」

「…あぁ。最期まで陛下に反論した。が…」

「それ以上は言わなくてもいいぞ。だいたい想像はつくし、何より…」


 アンタはここで死ぬんだから。


 俺は呟く。

 そして、光を放つ――


 ――キィィン…


「甘い!」


 弾かれる。

 どうやら炎の防御膜でも周りに張っているらしい。

 しかし、それほどの魔力を、魔獣からも、あのハゲからも感じない。

 確かに量は多い方だが、自身のレベルを遥かに超越した密度の魔力ではない。

 俺の0.1割にも満たないはず。

 距離は離さず、光球を飛ばし続け、考える。


「…………炎…」


 そう。

 あの亀は亀であるはずなのに火を噴く。

 体内に溶鉱炉でもぶち込んであるなら別だが、本来亀という生き物は火を噴かない。

 召喚獣ならまだしも、あの亀は魔獣だ。

 どこかに仕掛けがあるはず。

 なら、その仕掛けは何か?


 少なくとも、魔力補給はされている様子は無い。

 魔力じゃない、力。


「…なるほど」


 俺は距離を取り、太陽に背を向けるように竜を羽ばたかせる。

 そして、急降下。


「逆光を利用するなど、古い戦い方だな若者よ!」


 亀は空に火を噴く。

 これでは竜は近づけられない。

 竜は・・


「古い考えをアレンジした物こそが、新しい世界への希望なんだよ」

「!? どこだ!?」


 慌てるハゲ。

 まぁ、そりゃあそうだろう。


 いきなり下から声がすれば、ビビリもするさ。


「な、貴様…!」

「まぁ、アンタに活用する機会は、もうないがな」


 俺は右手を今一度振り上げる。

 さぁ、俺の分身よ。

 汝の元の姿へ。


「リバース…」


 瞬間、竜は消え、視界が急に明るくなる。

 今日の日差しは炎天下並みだそうだよハゲ。

 災難だったな。

 さぁ。

 右手を下へ。


 放つ。


「リリース!」


 再び現れた光竜は、


 亀の短い足を掴み、空へ。


「しまっ…!」

「今思えば、あの時から始まっていたんだ」


 思い出す。

 倒れる皿。投げ飛ばされる俺。みんなの態度。そして…


 冷たかった地面。


「あの時触れた地面が異様に冷たかったのは、すでに地面の熱エネルギーを吸収されていたからだ。

 お前じゃない、その亀が。

 吸収し、変換、放出、展開。

 自在に操る。

 それがアンタの亀の能力。

 だけど弱点は…」


 亀を逆さ吊りにし、急上昇。

 雲より高い所。

 ここなら、吸収できないはずだ。

 俺はその足をしっかり眼球で捉える。


「足でしか、吸収できず、大地の魔力しか、変換できない」

「くっ…」

「玄武の、子供か…」


 ハゲは、甲羅と肉の間にバランスよく立っていた。


「…そうだ。世界に散らばった四大魔獣の一体。

 それの、子供だ」

「そうか。コイツは俺達がしっかり育ててやる。

 だから…」

「…フッ。ああ、私の負けだ」


 ハゲは自分の運命を悟り、目を瞑る。

 そして俺は冷酷に見下す。


「去ね…」

「この!」


 背後から、気配。

 目の前の人物を殺す事で頭がいっぱいになっていた俺は、気付けなかった。

 広がる、膨大な魔力に。


「んな…!?」

「おバカっちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 ヒュッ――

 ――ズドドドドドドドドドドドドドドドオオオオオオオオオン!


 ………。

 大の字になって、倒れたのは、俺。

 正直、竜をクッションにしてなかったら死ぬトコでした。

 上から亀がゆっくり降りてくる。


 輝く金剛の竜と共に。


「ダメでしょ! 簡単に殺そうとしちゃ!」


 竜の背中に乗る姫が、大変お怒りだ。

 ぷくーっと頬を膨らませているのがなんとも腹立たしい。


「い、言ってる事とやってる事が正反対だろうが! お前はあの高さで人間が落ちたらどうなると思ってんだ!?」

「な…! 卑猥だよ! 何どさくさに紛れてイッてるとかヤッてるとか…///」

「変な誤変換すんな!」


 ぎゃーぎゃーと口論。埒が明かない。

 姫はゴホンと咳払いし、話を元に戻す。


「とにかく、怒りに任せて攻撃的になっちゃ、ダメ! そろそろ学習しないと、竜王さまにチクっちゃうよ!?」

「そ、それだけはマジ勘弁!」


 俺は深く頭を下げる。

 まったく、と姫は息を吐いた。


「もー、地上の兵を守るのにどれだけ汗を流した事か…」


 その呟きに、俺は周りを見る。

 彼らの倒れる少し上空には、金色の膜が張り巡らされていた。

 もしあれが無かったら、兵たちは俺の竜の羽根で串刺しになっていたのだろう。

 …しかし……。

 姫がその膜を砕くのを見ながら、俺は失望する。


「まだ、貫けないのか…」

「反省の色が、見えないんだけど?」

「ゴメンナサイ!」


 俺は土下座までする。

 ちくしょー。いつか絶対一泡吹かせてやる…!


 と、姫は振り返り、事態をただ黙って傍観していた男に、話しかける。


「スタビライザーさん」

「…何だ?」

「何で、今回条約を無視して、このような暴挙に出たんですか?」


 彼は少し困った顔をした。


「…すまないが、我には分からぬ。

 所詮、大佐程度の身では、上の考える事などこれっぽちも分からんのだ。

 それでも何か聞きたいなら、我一人が捕虜となる。

 だから、この部下達は、見逃してやってくれないだろうか…」


 おいおい。


「ハゲ、もっと考えてから言えよ。

 そんな頼みが世の中に通用するわけ…」

「黙ってて」


 口をふさがれる。

 ………このアマ、帰ったらタダじゃおかんぞ…。


「スタビライザーさん。その条件は認めることが出来ません。

 ここにいる兵は、私達ジオレン王国に連れて行きます」


 あ、何だ。ちゃんと頭使ってるな。

 っていうか、え、何。ただ喋りたかっ…。



「保護という形で」



 ………。

 ?


『は?』

「スタビライザーさん、条約破棄のとき、其方の陛下に仰っていましたよね。

 『兵の無駄な血など見たくありません。

  兵こそ宝であり、命こそ国なのです』」


 彼は俯く。

 俺も、俯く事しか出来ない。


「でも、貴方は戦うしかなかった。

 風の噂で、家族を人質に取られたと存じております」

「………」

「おかげで髪は抜け落ち、あられもない頭になってしまったとか」

「感動がぶち壊し!?」


 これは俺のツッコミ。


「だからこそ」


 彼女は、言った。

 一国の王女として、立派に、胸を張って。

 金剛の光を背景に、彼女は輝いている。

 少なくとも、俺の目にはそう映ってしまった。


「一緒に、戦いましょう?」


 手を、伸ばす。


 ……しゃーねーなー。


「…おら」


 俺も、手を差し出す。


 彼は目を丸くし、そして、



 笑った。



「ハハハ、ハッハッハッハ!

 全く青臭い考えだ! ハッハッハ!」

「殺していい?」

「ダメ。…と建前上言っておくね」


 だが。

 彼は笑いすぎて出てしまった涙を拭いながら、


「実に、素晴らしい、提案だよ」


 手を、掴んだ。


「………」

「…あはっ」

「どうしても、この手で守りたかった物があった。

 だが、自分の力ではどうしようもなくて、非力さを嘆いた。

 そんな我でも…


 救えるだろうか? 女房を、息子を…」




「救えるぜ」



 俺は断言してやる。

 そうだ。

 この世で。


「叶わない願いなんて、ねえんだからな」


 俺も笑って、彼を受け入れた。






 これが、世界を揺るがす大戦争の発端となる、小さなキッカケだった。

 こないだ借りてきたフランダースの犬を見て泣いた、フィアです。

 感想等ございましたら感想欄、Skype、ブログ、ついったー等でご連絡してくださいな。

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