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イケメン君の頭の中  作者: すずめ屋文庫


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3/3

第3話 アキちゃんの友達の頭の中

私は今、茂みに隠れて「ある人物」を見張っている。もとい、観察している。大学で同じクラスの友人と共に。


「ある人物」とは、そう、最近告白されて付き合い始めたという友人の彼氏だ。


なぜこんな面倒くさい事を…この子は。はぁ。


友人曰く、「彼氏がかっこよすぎて辛い。本当にこんな地味な私でいいのか不安だから、彼のバイト先まで一緒に見に行ってほしい。」と。


そんな事をしても何もいい事なんてないよ、という言葉をぐっと飲み込み、世の中の男女が付き合い始めに起こり得る、疑心暗鬼な行動に私は付き合っている。


ちなみに、その彼氏のバイト先は大学から自転車で約30分先にある遊園地だ。キラキラした遊園地にキラキラなイケメン…。より彼が眩しく見えて、不安が増殖されなければいいのだが…。


「あ、出てきた!」


友人がこっそり言う。私は静かに視線の先を見る。

担当場所は観覧車。人が混み始め、スタッフの数が必要になったのだろう。


「あ…。」


また友人が呟く。

イケメンの彼氏の隣には、かなり目を引く美女がいた。配置場所に行くまでの間、なにやら仲よさげに談笑している。チラリと友人を盗み見る。友人はサーっと動揺した表情になり2人から目を離せないでいる。


彼女にそんなストーカーの様な行為をされてるとも知らず、2人は笑いあっている。と、美女がイケメンの肩をバンバンと叩く。イケメンもそれに笑顔で返す。


もう十分だろう…。


「帰ろっか?」


私が言うと、友人は「うん…。」とだけつぶやき、俯いて出口に向かっていった。その3歩後を私が歩く。


だからいわんこっちゃない。そんな事しても良い事なんてないって。不安があるなら、直接口に出さないと。なんて、恋愛経験0の私は心の中でつぶやく。だが、私の意見は概ね正しい。なぜなら乙女ゲーを相当数クリアしているから。知識だけならそんじょそこらの人間には負けやしない。まぁ、そんな事、口には出して言わないが。


正直、友人は地味だ。黒髪でストレートで、顔を出すのは恥ずかしいと、前髪と横髪で折角の地味なりに可愛いチャームポイントを隠している。そして、さっき見た女性は、かなり華のあるタイプだった。茶色いウェーブの髪、オールバックで1つ結びが似合うという、美人の中でも最上級の美人だった。花で例えると、まるで薔薇と百合を掛け合わせた様な…。


しかしながら、あのイケメンは友人を選んだ。


友人の細やかな気配り、優しさ、しかし、ちゃんと自分の芯をもっている所。そして、彼女はいつもニコニコしている。一緒にいると温かい気持ちにさせてくれる、そんなたんぽぽの様な友人を彼は選んだ。イケメンのくせに、人を見る目はあるんだな、と、友人からの告白を聞いた時、私は感心したものだ。


しかしなぁ…。


友人はそんな自分の良さに全く気づいていない。


イケメンくんよ、君は頑張っていると思うよ。君はこれまでの所、私の友人にとても誠実に向き合っている。


だがこればかりは、私が何か言った所で、何も解決はしない。


イケメンくんよ、アキは君が思うより中々手強いぞ。いい子なのだが、自信のなさゆえ、思い込んだら何をしでかすか分からない節がある。


私は君たち2人はお似合いだと思っているのだが、いかんせん、本人がまだ自覚が足りていない。


さぁ、どうでるか。


現在、黒髪長髪碧眼アレア様推しである恋愛マスターの私でも、この先の予測は不可能だ。未来はどう転ぶかわからない。結局は、当人同士の気持ちだからだ。


イケメンくん、君はこの試練にどう立ち向かうかな?


お手並み拝見としようじゃないか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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