白の影
暗殺、そんな中での一つの出会いが運命を変えていく。
平穏な日々で出会った運命の人。
最愛の人と出逢いに隠された秘密とは、、、。
俺が暗殺部隊だった時に一人だけ素性のわからないやつがいた。
その名は「レイ」。
というのも、コードネームすら語らないこいつの事を基本チームで動くこの業界で俺らが困って勝手につけた。
無はゼロ、ゼロは似たようなコードネームがいたから俺たちはそいつを「レイ」と呼ぶようにした。
暗殺者の名前としては美しすぎる名だが、いつも真っ白な装束に身を包み、奇妙な動物の面で覆うその顔は何も見えなくとも、動きや姿勢から美しいという意識を植え付けられていた。
とは言え、俺も人とは馴れ合いたくない。
心底どうでも良かったが、、、
「俺と組んでくれませんか?」
初めて声を聞いたとき、心臓が止まるかと思った。暗部では余計な会話をしないのが鉄則だ。
だが、大抵のやつは警戒心が強い故、なんとなくお互いの素性をしっている。
ただ一人、こいつを除いては、、、。
こいつだけは、誰一人として顔も、声も、性別さえもわからない。
奇妙な人物だ、、、。
それなのに今こいつは平然と俺に声をかけてきたのだ。
「……なんで俺なんだよ」
「あなたが一番強いからです。そして……」
そこで言葉を切った。
面越しに一瞬だけ垣間見たやつ目は、深い湖のように澄んでいてどこか悲しげだった。
今思えば、あそこでもっと会話を引き出せたかもしれない。だが、その時の俺は素性もしれないやつなんて心底興味がなかった。
すぐに入れ替わりのあるこの仕事に目立つ白のコスチューム。
よっぽど自信過か死にたがりかどちらかだ。
明日はいないかもしれない、そんなやつと仲良くするつもりはなかった。
結局、その日から何度かやつと一緒に仕事をした。ほぼ100%の成果を出すこいつに、俺は興味が湧いた。
俺と戦ったらどっちが、、、。
考えると自然と顔が緩むのが分かった。
俺は胸の奥で何かが熱く燃え上がるのを感じた。それは恐怖でも不安でもなく、むしろ期待に近いものだった。
自意識過剰、、と言われればそれまでだが、自分が最強であると自負していた俺は、日々の肯定された殺しという狂気じみた精神をもち、仕事に遊び心さえ持っていたように思う、
最初はまだ、こいつの事をおもしろい、と思える存在だったのだが、その興味は段々と怒りに変わっていった。
「おい、、、お前なぜ、、、俺の指示を無視した」
一緒に任務をこなすうちに、こいつは俺の命令を無視することが多くなった。いや、、、元々初めから聞く気はなかったのかも知れない。
だが、暗部の隊長の命令は絶対、毎回そうだが俺は部隊長だ。それは任務の成功率と部隊の生存率を最もあげられる存在だと国が認めているからだ。
それなのにこいつは今日、また、命令を無視し致命傷の仲間を助けに行きやがった。
助けたところであいつはもう助からない。
ならばお荷物になるだけだ、他の部隊の生存にもかかわる。
「暗殺部隊のリーダーの言うことは絶対だと教わらなかったか?」
入りたての新人でもないこいつはそんなこと、百も承知のはず。
俺たちは掟に縛られ、死を踏み台にしてここにいる。
暗部の部隊長の命令無視は死と同等の意味を持つ。
「おい、、、命令違反でお前をここで殺してもいいんだぞ」
何も喋らないこいつに殺意を持って発した言葉だが、その言葉を出した瞬間、俺にはこいつと戦える大義名分と言う言葉が頭をよぎってしまった。
、、、こいつと、戦える。
勿論、本気で殺す気などない。
だが、最強だと自負している自分に、目の前にいるこいつはこれとない甘美な獲物のように感じた。
「.......助けられた」
高鳴っていた鼓動に、こいつの一言で心臓は冷静になった、が、同時にだんだんと違う感情が芽生えた。それは、明確な憎悪と殺意だった。
「お前、、、本当に暗部か?」
ストンと顔のギリギリを目掛けてナイフを飛ばしてやった。
そうでもしなければ、こいつを今すぐにでも殺してしまいそうだったからだ。
「はっ、お前、自分が強いからっておごってんなよ。俺らの仕事は達成が絶対条件、仲間の命なんか二の次.......なんて」
レイの首にナイフを突きつける。
「思ってると思ったか?」
物凄い殺意で首にナイフを突きつけて見たが、こいつは微動だにしない。まるで、ここで殺されても良いと思っているようにも感じた。
「....ちっ。」
反撃でもしよう物ならちょっと痛い目をみせてやろうとしたが、、、。
俺はナイフを収めた。
やめたやめた、暗部が感情を露わにするなんて愚策もいいところだ。
ましてや仲間同士の戦闘なんてまるで意味を持たない。
「まあ、精々長生きしなよ」
じゃあな。
それが、、、そいつとの最後の任務だった。




