兼任女子
「ちょっ……もう、何なのよこれ」
埃が宙を舞う。
現在アマテラスが居る場所は、去年廃部になった軽音楽部の活動室。
物置小屋とも化しているため、相当汚い。
「本当に私たちだけで復活させるの?」
1つずつ歩ける場所を確保しているのは、コノハナサクヤ。
「他の部活動がありますから、毎日は来れませんわ」
綺麗に床を掃くのは、ツクヨミ。
「大丈夫よ、きっと。三人ならできるわ」
“三人寄れば文殊の知恵”しかり、“三本の矢”しかり、三という数字は強固な意味を持つ───とアマテラスは思っている。
だがツクヨミの言うように、他の部活動にも既に入っている。
アマテラスは書道部、コノハナサクヤは写真部、ツクヨミは放送部と兼任するのは個人の自由だが、生半可な覚悟では続けられない。
学業だってあるし、友達とだって遊びたい。
アマテラスの言う軽音楽部復活は、そう簡単ではない。
「週一集まりましょ、それくらいできるでしょ?」
「んー、わかった」
「それなら、何とかなりそうですけど……皆さん経験は?」
「無い!」
「私も!」
「………」
こればかりは仕方ない。
この年齢で楽器に触れ歌唱の経験がある者は多くない。
英才教育を受けたツクヨミが引っ張るのは、当然ではある。
「ボーカル、ギター、ベース、ドラムスとありますが、3人しかいない以上はボーカルが楽器を兼任する必要があります。一応の確認ですが、ボーカル希望の方は?」
「はい」
「はい──って、何でツッキーも挙手してるのよ!」
「一番歌唱力ある方がするのは当然と思いますわ」
「私の歌はド下手って言いたいの?」
「そこまでは………」
「そう言うってことは少しは思ってるてことじゃない!」
「まぁ……」
「まぁってちょっと傷つくわね」
「アマのド下手ド音痴は置いといて、ツッキーは放送部じゃん?ここでも歌う必要なくない?」
「放送は歌ではありません」
「それでもだと思うけどな」
「ド下手ド音痴ド素人よりは、確かにハナちゃんの方が希望が持てます、が──」
「が?」
「ボーカルはメンバーの華ですから、他の何が悪くても見栄えは保つことができますわ」
「あーなるほど」
コノハナサクヤとツクヨミが話している最中、アマテラスの声は届いているが、二人ともガン無視。
『言い過ぎでしょ』とか、『慈悲は無いの?』とか、『この前のカラオケは違うの!』とかの言葉はしっかりと聴こえている。
三人寄ったことで状況整理は適ったが、三本の矢は今にも折れそうである。
「わかったわよ!ボーカルはツッキーに譲る!その代わり、私はギターかベースにさせて!」
「いいですけど、ハナちゃんは大丈夫?消去法で考えて、ボーカルがドラムスを兼任するのってあまりありませんの」
「んー、まぁ言い出しっぺのド下手ド音痴ド素人ド勝手さんの言う通りでいいよ。ドラムスの方が簡単そうだしね」
「ちょっと、変なあだ名つけないでよ!!」
「承知しました。それではこの形で活動して行きましょう」
「OK」
「話聞いてる!?ねぇ!!」
こうして、軽音楽部復活は成る。
「無視しないでよおぉ!!」
上手くいくかどうかは、また別の話。
どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ、おつかれさま(・∀・)
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更新日は不定期です。
週一程度に更新できたらと思ってます。
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