茶道部
「タケちゃん……」
「んあ?」
「青春だねぇ」
「……そだな」
授業終わりの放課後、廊下の窓から外を見やる二人。
部活動に勤しむ生徒たちを眺めている。
「僕らには無縁の世界だね」
「だなぁ」
入学式から数日の間は部活動勧誘時期。
特に運動部からの圧が物凄かったが、穏やかなオロチでは戦力にならない。
レクリエーション大会でも発揮されたように、運動神経は悪い。
タケルは活発的な方なのだが、同じく戦力外。
お試し参加中も酷い有様だった。
別目的も悟られ、居心地悪く退室した部は幾つもある。
(女生徒に向ける目線が良くないよ)
同級生・上級生お構い無しのガン見は、オロチでも引き気味だった。
(まぁ、どっちにしろ役に立てなかっただろうから、入部拒否されて良かったと思う)
そんなこんなで、二人はどこにも入部せずの帰宅部。
今からでも遅くないが、どこの部も勧誘の熱は過ぎた頃合い。
「──オロチん」
「何?」
「俺には一生、皆のような青春は来ないのかな……」
「汗水流すことだけが青春じゃないと思うよ」
「ううぅ、オロチん……お前って奴はやっぱスゲェよ」
(僕……今凄いこと言ったかなぁ?)
スポーツの汗ではない、汚い鼻水垂れ流すタケルは、その辺に落ちていた紙で顔を拭いていた。
「きたなっ」
「あ……何だこれ?」
タケルの鼻水付いた紙は、文化部の勧誘チラシ。
「「文化部?」」
声が重なったのは、互いに盲点だったから。
「そうか!この手があったか!!」
(うわ〜、タケちゃんの瞳がキラッキラだぁ)
「行くぞオロチん!俺たちの青春を取り戻しに!」
(こりゃあ、聞く耳持たなさそうだ)
タケルの後を走るオロチ。
風に飛ぶ鼻水を回避しつつ───
「あっっぶなっ!」
向かったのは茶道部。
「たのもー!!!」
勢いよく扉を開けるも、返ってきたのは鹿威しの音。
───カーン!
「たのもー!!!」
───カーン!
「たの──」
「ちょっ、タケちゃん、まずはノックしようよ」
「おっと、そうだった………」
───ピシャッ!
───ドンドン!
───ガラララ!
「たのもー!!!」
(最初からやってとは言ってないんだけど……)
「たのもー!!!」
「──さっきからうっさいのぉ」
「えっ……あっ……」
聞いたことのある声に驚く。
「「番長ぅ!?」」
「いかにもだ、な」
ノシッノシッと大柄な男オオクニヌシは、その大きな手には小さい茶碗を持っていた。
「茶道部員なの?」
「そうだぞ」
「似合わな!」
「うっさいわ!それくらい分かっとる」
「──何や賑やかやなぁ、どないしはったん?」
「あっ部長!すんません、実は………」
「入部希望者どす?」
「いや、僕たちは……」
「はい!まごうごとなき真実で候!今日を良き日に!入部したく存じまする!!」
(言葉がごっちゃごっちゃだあぁ)
「ヌシ君の友達なら歓迎やで、中へお入りや」
「「ヌシ君!?」」
「別にいいだろ、呼び方なんて……」
「ヌシ君は優しいやで、この前校舎近くにいた野良猫さんに餌与えとったし、足腰の悪い婆さんもおんぶした言うてはったんよ」
「えっ!」
「まぢか……」
「俺の話は勘弁してください」
「その所為で、レクリエーション大会遅れたみたいやし、堪忍やで」
「そうだったの?」
「まぢか……」
「うっ、まぁな。もういいだろ、この話は」
「そういや、ウチの自己紹介がまだやったなぁ。ウチの名前はアメノウズメ言うんよ。よろしゅう頼んます」
「こちらこそ!ここで永遠の愛を誓い合いましょう!!」
「度が過ぎるって……」
「おい、タケ!今日は俺らしかいねぇが、普段はもっと部員がいるんだ。ファンだってな……そいつらに殺されるぞ」
「さっきまで、二人っきりだっただとおぉぉ!?」
「論点ズラすな!言いたいのはそこじゃねぇ!」
「まあ元気な男の子やねぇ」
「はい!元気健康体男子です!」
「おい」
「おい」
(大丈夫かなぁ、これから……)
タケルの気持ち落ち着くまで終始ツッコミは続く。
帰宅部から茶道部へと、オロチたちの青春は始まった───かもしれない。
どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ、おつかれさま(・∀・)
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